ミズノ株式会社 様

ミズノ株式会社 様

事例紹介

Google Cloud を活用したアプリケーション開発/センティリオンシステムの伴走サポートで内製化を実現

主にスポーツ用品の製造・販売を手がけているミズノ株式会社。野球やゴルフ、ランニングなど、数多くのスポーツ用品を幅広く展開しており、 2024 年 3 月の売上高は 2,000 億円以上にのぼる代表的な総合スポーツメーカーです。

同社では、自社が保有する膨大なデータを製品開発や競合優位性に繋げるべく、あらゆるデータを有効活用したいと考えていました。そこで、 Google Cloud によるアプリケーション開発の内製化を決意し、商品レコメンドアプリを活用した自社商品の市場シェア拡大を目指しました。

※本記事では、ミズノの Google Cloud を活用したアプリケーション開発の内製化事例について、ミズノ株式会社グローバルイクイップメントプロダクト部の橋口友洋氏のお話を交えながら詳しく解説します。なお、記事内で使用している画像は、当社センティリオンシステムの社内資料および YouTube の「スポーツ用品販売の未来を創造 - デジタル化がもたらす顧客体験とビジネスチャンス -」より抜粋

会社概要

企業HP:https://corp.mizuno.com/jp

バドミントン事業への注力と簡易システムの開発

ミズノはバドミントン事業も手掛けていますが、国内シェアは 2位(約 10% )であり、 1 位のトップブランドが約 70% のシェア占めている現状から、シェアの低いミズノが購買時の選択肢に入ることが難しい状態でした。

シェア拡大に向け、顧客特性を細かく分析したところ、下図の様に顧客を大きく 4 つに分類することができました。(新しいブランドに対する積極性を縦軸、トップブランドに対するバイアスを横軸として、 4 つの象限に顧客を分けています。)

ミズノ株式会社 様

図左下の顧客群(赤枠部)にビジネスチャンスを感じ、

  • 顧客
  • 商品
  • 販売スタッフ

を繋ぐ為のソリューションが有効な打ち手になると確信したため、自社内で VBA による簡易システムを作成し、簡単な質問から推奨ラケットを提案するソリューションの開発を行いました。

基本的に、バドミントンラケットを顧客に販売するためには、ある程度の専門知識が必要ですが、商品知識の少ない販売現場のスタッフでも販売活動を行える何かいい方法はないか?との相談が上がって来ていたことも、本ソリューション開発に乗り出す一因となりました。

簡易システムのテスト利用を行った結果、自分で商品を選ぶのではなく、誰かにオススメ商品を選んで欲しいという顧客ニーズを見事に掴んだと同時に、販売スタッフからは「商品提案のサポートになり、顧客とのコミュニケーションが改善した」と顧客・スタッフの双方から非常に多くのポジティブな声が届いた一方、以下のフィードバックも得られました。

  • PC が必須である
  • ユーザーインターフェースが見づらい
  • 履歴を蓄積・共有することができない

本格的にスポーツ用品店や量販店への展開するにあたっては、上記の点を解決しつつタブレット上で動くアプリケーションとすることに決定しました。

アプリケーションの開発基盤に Google Cloud を選定した理由

橋口氏:私自身はこれまで商品開発を担当していたため、どのようにアプリケーション開発を進めればよいのか、やり方がわからずに迷っている状態でした。そんな時、 Google 社から Google TAP ( Google Cloud Tech Acceleration Program :ユーザー企業の DX に向けた取り組みを加速させるための Google が提供するアジャイル型ワークショップ)を紹介されたことが Google Cloud を選定するきっかけの一つになりました。元々はアプリ開発を自社で内製化するのか、ベンダーに一任するのかなど、様々なことを考えていましたが、 Google  TAP に参加する中で内製支援の伴走という選択肢があることを知り、 Google Cloud を活用してアプリケーションを開発しつつ、センティリオンシステム社に内製化サポートを依頼することに決めました。

内製化の道を選んだ理由としては、弊社はまだまだ DX 化が進んでおらず、人材も不足しているため、既存社員の知識・技術を向上させるためにも内製化が必要だと考えていたからです。また、今になって振り返ってみると、 Google TAP の中で「何がユーザーにとって最も必要か」、「最短経路でサービスを検証するためにはどうすればよいか」の 2 点にこだわってアーキテクチャを検討したことが良かったと感じています。

数あるパートナー企業の中でセンティリオンシステムを選んだ理由

※ミズノ橋口友洋氏(写真左)、センティリオンシステム関戸氏(写真右)

橋口氏:アプリケーション開発に関する専門知識を持たない人間が作業を行うので、できる限り丁寧に教えていただきたいと思っていました。そのため、複数のベンダーと会話をしながら慎重に選定を進めていたのですが、センティリオンシステム社はとても丁寧に対応してくれたことが強く印象に残っています。また、弊社の内情を深く理解してくださった上で、サポート内容についても細かく提案していただけたので、これらのポイントがセンティリオンシステム社を選んだ大きな理由になっています。また、 Google TAP 後や打合せの際に現場のお店へ行き、現状を確認しながらシステムの構想についてディスカッションできたことや、開発の瞬間だけでなく現場のイメージも確認しながら一緒に作業を進められたことは印象に残っています。

センティリオンシステムの内製化サポート

ミズノが参加した Google TAP には、弊社センティリオンシステムも参加しています。 Google 社の協力のもと、アプリケーション構成は Google TAP の中で固め、実際の開発フェーズはセンティリオンシステムの内製化支援で進められています。

開発フェーズでは、次の 3 つを内製化支援の軸にしたいとリクエストがありました。

  • Google Cloud の環境構築や Web アプリ開発について網羅的に開発経験を積みたい
  • 今後の開発において、コアな部分は自社で対応できるようにしたい
  • 今後ベンダーの提示する内容について正しく判断できるスキルを身に着けたい

これらの要望に応えるため、センティリオンシステムではミズノ専門チームを組織し、できる限りミズノ主導でアプリ開発を進められるように全体を設計しつつ、同社が網羅的に様々な開発経験を積めるように役割分担しサポートを行いました。

Google Cloud を活用したラケットレコメンドアプリのアーキテクチャ

ラケットレコメンドアプリのアーキテクチャを図で示します。

実際に開発されたアプリケーションの画面です。

顧客がタブレット上で簡単な質問に答えるだけで、オススメのラケットが複数表示されて、同社の商品の中から推奨モデルをレコメンドしてくれる仕組みとなっています。さらに、自宅で再検討したい場合には、顧客がタブレットに表示された QR コードを読み取ることで、アプリのレコメンド結果をデータとして持ち帰り、事後確認できるような工夫を施しています。

ラケットレコメンドアプリを開発したことによる効果とメリット

橋口氏:現在、このアプリケーションは弊社の直営店で検証導入していますが、お客様とスタッフとのコミュニケーションが改善されています。従来、弊社のラケットは自然想起されない点が大きな課題でしたが、このアプリの利用者は少なからずミズノの商品に興味があると想定されるため、スタッフからお客様に声掛けしやすくなり、お客様の商品理解も進むようになりました。弊社の直営店は東京と大阪にありますが、約 2 ヶ月強で 300 回以上のアプリ利用が確認できており、そのまま購買に至ったケースもあるので、一定の効果は出ていると感じています。また、センティリオンシステムの内製化サポートで社内にノウハウが蓄積されたことで、限られた社内リソースの中でも短時間でプロトタイピングができるようになりました。その結果、事業部門や情報システム部門との連携が円滑化したことで、スピード感のある開発を実現できた点も大きな成果となっています。加えて、顧客情報や販売情報を現場スタッフにリアルタイムでフィードバックすることが可能になったので、現場目線でも非常にメリットのあるプロジェクトとなりました。

今後は社外での検証だけでなく、海外への展開も見据えています。さらに、 Vertex AI などの生成 AI ソリューションを活用し、顧客・スタッフの両者にとって有用なサービスにすることを目指しています。

まとめ

本記事では、 Google Cloud を活用してアプリケーションを開発したミズノの内製化事例をご紹介しました。 Google Cloud によるアプリケーション開発や内製化サポートのイメージを具体化できたのではないでしょうか?

当社 センティリオンシステム大阪事業所では、

  • 生成 AI の活用支援
  • システム構築やアプリケーション開発
  • Google Cloud の請求代行
  • Google Cloud の運用サポート
  • Google Cloud に関する技術サポート、コンサルティング

など、企業様のビジネスを加速させるための幅広いサポートをワンストップで提供しています。

さらに、アプリケーション開発の要件定義から運用支援、伴走化サポートまで、一気通貫したコンサルティングを実施しています。また、当社では今回ご紹介したミズノ以外にも、様々なアプリケーションの開発実績があり、豊富な経験をもとにアドバイスを行うことが可能です。

  • アプリケーション開発を検討している
  • ベンダーに依存せず、自社開発できるようにナレッジを蓄積したい
  • Google Cloud 開発を内製化したい

という方は、問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

本記事を参考にして、 Google Cloud の導入・活用を検討してみてはいかがでしょうか?

「Google Cloud および Google Workspace は、Google LLC の商標です。」