日本特殊陶業株式会社 様

日本特殊陶業株式会社 様

事例紹介

Google Cloud を活用した統合データ基盤の構築/センティリオンシステムの高い技術力で大幅な生産性向上を実現

スパークプラグなどの内燃機関用関連商品やニューセラミック商品の製造・販売を手がけている日本特殊陶業株式会社。2024 年 3 月時点、連結従業員数は 15,980 名にものぼり、国内 32 拠点、国外 61 拠点の拠点数を誇る国際的な総合セラミックスメーカーです。

同社では、データ利活用における様々な課題が顕在化しており、データの民主化や非効率な業務フローの改善、内製化によるデータ活用などを実現したいと考えていました。そこで、これらの課題を解決し、より優れたサービスをお客様へ提供するために、 Google Cloud を活用した統合データ基盤の構築を決意しました。

その結果、社員が自主的にデータを活用できるようになり、内製化への道が大きく開かれました。さらに、 Google Cloud の様々なサービスを組み合わせることで、非効率的だった業務フローは改善され、会社全体のビジネス成長に貢献しています。

本プロジェクトについて、日本特殊陶業グローバル戦略本部 DX 戦略室の寺嶋拓弥氏にお話を伺いました。

会社概要

企業HP:https://www.ngkntk.co.jp/

顕在化していたデータ活用の課題を Google Cloud で解決

日本特殊陶業では、次のような課題が社内で顕在化していました。

  • データ可視化と分析ツールの不統一性
  • 開発スキルの不足と外部ベンダー依存
  • ライセンス管理とデータの取得手法の非効率性

そこで、これらの課題を解決するために統合データ基盤の構築を決意。
Google Cloud の各サービスをフル活用し、組織全体でデータを効率的に扱うための環境構築に乗り出します。

日本特殊陶業グローバル戦略本部 DX 戦略室の寺嶋拓弥氏は次のように語ります。

日本特殊陶業株式会社 寺嶋氏

寺嶋氏:社内には多くのデータ可視化、分析ツールが導入されていましたが、これらのツールは機能や使い勝手にばらつきがありました。また、多くのツールはデータをローカルにダウンロードするだけの目的で使われており、データをプログラムで整形して利活用を行う文化が育っていなかったのです。

さらに、分析用のデータ処理やダッシュボードの開発を外部の開発ベンダーに都度発注するケースが多く、社内に開発スキルを持ったメンバーが少ないという点も課題の一つでした。このため、手元にあるデータの見方や粒度を少し変えるような柔軟な検証が困難な状況でした。

加えて、システム独自でライセンス管理をしているものも多く存在しており、権限設定やライセンス更新、ユーザー棚卸作業などに多くの時間を要していました。そして、多くのシステムはオンプレミス環境に構築されており、海外拠点からのデータ取得は国内の担当者に都度共有してもらうなど、非効率な業務フローとなっている領域も存在していました。なお、会社として「内製化をしたい」という気持ちが強かったため、外注の選択肢はなかったですね。

このように、日本特殊陶業ではデータ活用に関する様々な課題が残っていました。そして、これらを解決するための選択肢として、同社は Google Cloud の活用を決めました。

統合データ基盤のプラットフォームとして Google Cloud を選定した理由

統合データ基盤を構築するためのサービスは数多く存在しますが、日本特殊陶業はなぜ Google Cloud を選んだのでしょうか?この点について、寺嶋氏は次のように語ります。

寺嶋氏:弊社は 2014 年より Google Workspace をグループウェアとして導入しており、部門のメーリングリストによるドライブのアクセス権限管理など、 Google アカウントを使用した権限管理が実現されていました。これにより、既存のユーザーアカウントやプロセスの再設定が不要となり、 Google Cloud を導入ハードルが低い状態で使い始めることができた点が大きな魅力でした。

また、BigQuery の高い処理能力とスケーラビリティも選定の決め手となりました。 BigQuery は大規模なデータセットの高速な分析が可能であり、ビッグデータ処理の要求に応えることができます。これは、我々のデータ分析ニーズに対応するために必要不可欠な要素でした。さらに、Looker Studioを使ったデータの可視化を行える点も選定理由の一つです。

このように、既存の Google アカウントを活用した作業の効率化や、 BigQuery や Looker Studio など、 Google Cloud に搭載されている各種機能の高い利便性が Google Cloud を採用した大きな決め手となったようです。

高い技術力を評価し、数あるパートナー企業の中でセンティリオンシステムを採用

寺嶋氏:こちらの相談に対して、すごくホスピタリティのある対応をしてくださる点と、先を見据えた提案を実施いただける点が大きな決め手になりました。何よりも、センティリオンシステムの高い技術力がとても魅力的に映りましたね。また、言うべきところをきちんと指摘してくれるところも信頼できるポイントでした。

言われたらやる、というだけではなく、「この部分はこのように対応すると今後こういった懸念が発生します」などのリスク面もきちんと伝えてくれました。これらのフィードバックにより、常に情報をキャッチアップしながら作業を進めることが可能になっています。

Google Cloud は高性能なツールですが、無計画にサービスを使用した場合、目的を達成することはできません。 Google Cloud に搭載されている多種多様なサービスをどのように組み合わせて、どのようなシステム構成を採用するのか、このような運用周りの工夫を行うことで、初めて高品質な統合データ基盤を構築できます。

その意味では、高い技術力をもとに先回りの提案を行い、ユーザー目線で様々なアドバイス・サポートを提供したセンティリオンシステムは、まさに最適なビジネスパートナーであったと言えるでしょう。

Google Cloud の各種サービスを活用し、イベントドリブンかつサーバレスなアーキテクチャを実現

日本特殊陶業は Google Cloud を活用し、いよいよ統合データ基盤の構築作業に移ります。実際のアーキテクチャについて、寺嶋氏は次のように語ります。

寺嶋氏:日本特殊陶業のデータソースは、オンプレミスやデータセンター、クラウド環境、工場など、多岐にわたる場所に存在しています。これらのデータを統合するには、適切なネットワーク経路と、スケーラブルで使い勝手の良い汎用的なデータ連携メカニズムが必要でした。

そこで、データ連携には Datastream の他に Cloud Storage や Cloud Workflow など、Google Cloud の多彩なサービスを組み合わせることで、イベントドリブンかつサーバレスなデータ連携の仕組みを実現しています。また、データの有効活用を推進するため、エンドユーザー向けの公開ポータルサイトは Cloud Run を用いて実装されており、データカタログの参照には Dataplex 、SQL 生成には Vertex AI など、様々なサービスとの連携が行われています。

※参照元: Google Cloud 公式ブログ「日本特殊陶業 : 生成 AI とBigQuery を駆使して構築する効率的な統合データ基盤 - Vertex AI による SQL 記述支援

このように、日本特殊陶業が構築した統合データ基盤のアーキテクチャは、 Google Cloud の様々なサービスを組み合わせて構成されています。 Google Cloud には多種多様なサービス・機能が搭載されており、それぞれ強みや特徴は異なるため、最適な構成を実現するためには、日本特殊陶業のように専門家へ依頼することが有効な選択肢になります。

以下、今回の構成で登場した Google Cloud の各サービスの概要を表にまとめます。

サービス名概要
BigQueryペタバイト級のデータにも対応可能な統合型の AI 搭載データプラットフォーム
Datastreamサーバーレスで使いやすい変更データキャプチャおよびレプリケーションサービス
Cloud Storageスケーラブルで耐久性の高いオブジェクトストレージサービス
Cloud Workflowビジネスプロセスやアプリケーションの自動化を効率化するためのマネージドワークフローオーケストレーションサービス
Cloud Runコンテナ化されたアプリケーションを簡単に実行できるサーバーレスプラットフォーム
Dataplexデータ管理やデータエンジニアリングを効率化するためのプラットフォーム
Vertex AI機械学習モデルの開発・デプロイ・管理を簡素化するための統合プラットフォーム

Google Cloud の各種サービスを活用し、イベントドリブンかつサーバレスなアーキテクチャを実現

Google Cloud を活用し、統合データ基盤を構築した日本特殊陶業。統合データ基盤を導入したことで、具体的にどのような恩恵を受けられたのでしょうか?寺嶋氏は次のように語ります。

寺嶋氏:Vertex AI の導入により、社内のデータ分析と可視化に関するハードルを大幅に下げ、各事業部門がデータ分析を容易に実施できる環境を整備できました。さらに、 Vertex AI の SQL 生成機能は、 SQL だけではなくコード説明も生成してくれるため、 SQL の作成プロセスをユーザーが理解し、社員のスキル向上に繋がる効果もあると期待しています。

また、本件が社内における生成 AI サービス活用の第一弾となっており、社内で生成 AI 活用に興味を持った部門との協業に繋がるだけではなく、会社全体のビジネス成長に寄与する効果もありました。

このように、 Google Cloud で統合データ基盤を構築したことで、日本特殊陶業は様々なメリットを享受できたようです。その中でも、データの民主化を実現できた点と生成 AI の活用に向けた第一歩を踏み出せた点が大きなポイントとなりました。

センティリオンシステムとともに構築作業を進める中での印象的なエピソード

日本特殊陶業は、統合データ基盤を構築するうえでのパートナーとしてセンティリオンシステムを選びました。それでは、ユーザー目線で当社はどのように映っていたのでしょうか?寺嶋氏は次のように語ります。

寺嶋氏:従来、システム単位でデータを閲覧できるアカウントを独自に用意していましたが、複数システムのデータを Google Cloud に集約することで、 Google Workspace のアカウント情報を使いながら、各データのアクセス権限をコントロールできるようになりました。また、 BigQuery のカラムに対する柔軟な質問や説明項目の質問も実現できたのです。

例えば、「情報システム部員の名前一覧表を作りたい」と質問すると、システムは「情報システム部」を部門名称カラムの要素として認識し、対応する SQL クエリを自動生成してくれます。これらはとても画期的な仕組みであり、センティリオンシステムの高い技術力があったからこそ成し得た技だと感じています。

このように、寺嶋氏はセンティリオンシステムの高い技術力を連想させるようなエピソードを語っていました。統合データ基盤の構築は、実際に構築を行う前の設計プロセスが重要であり、自社の理想を実現してくれるパートナーの選定が大切であることが伺えます。

センティリオンシステムからの提案を主軸に Google Cloud のさらなる活用を推進

日本特殊陶業は無事に統合データ基盤の構築を実現しましたが、同社の挑戦はこれだけでは終わりません。センティリオンシステムからの様々な提案を主軸として、 Google Cloud のさらなる活用を模索しています。

寺嶋氏:統合データ基盤の精度向上が直近の展望です。その次は、予測分析のような取り組みにもチャレンジしたいですね。また、現状は単一テーブルに対してクエリを生成するのみですが、テーブル同士を組み合わせて使うような SQL のコード作成や BigQuery ML のモデル作成など、より高度な分析も実現できるように品質を高めていきたいです。

サービスとしての Google Cloud に対しては、 BigQuery における生成 AI 関連サービスの充実を期待しています。弊社と同じように、 BigQuery を全社的なデータ基盤として活用している会社は多いと思いますので、そこに対して様々な生成 AI 活用テンプレートを用意することで、より生成 AI の利活用が進むのではと考えています。

寺嶋氏の挑戦は終わりません。今回の統合データ基盤の構築を契機として、 Google Cloud のさらなる活用を模索し、センティリオンシステムとともに様々なチャレンジを続けていきます。

現代のビジネス環境において、データ分析と可視化の障壁を低減し、各事業部門がデータ活用を容易に行える環境を整備することは、戦略的に必要不可欠な要素です。日本特殊陶業のように、生成 AI を積極的に活用することで、組織内のデータ活用が促進され、持続的な競争優位性を築く一助になると言えます。

まとめ

本記事では、 Google Cloud をご導入された日本特殊陶業のご担当者様の声をご紹介しました。 Google Cloud による統合データ基盤の構築や生成 AI 活用のイメージを具体化できたのではないでしょうか。

センティリオンシステムでは、

  • 生成 AI の活用支援
  • システム構築やアプリケーション開発
  • Google Cloud の請求代行
  • Google Cloud の運用サポート
  • Google Cloud に関する技術サポート、コンサルティング


など、企業様のビジネスを加速させるための幅広いサポートをワンストップで提供しています。

また、 Google Workspace に関しても、実績に裏付けられた技術力や導入支援実績があります。企業様の状況に合わせた利用方法の提案や運用のサポートなど、企業様に寄り添ったサポートを提供していますので、関心のある方は問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

本記事を参考にして、 Google Cloud の導入・活用を検討してみてはいかがでしょうか?

「Google Cloud および Google Workspace は、Google LLC の商標です。」