オンプレミス→クラウド移行の5つ手順と7つの移行手法を解説

オンプレミス→クラウド移行の5つ手順と7つの移行手法を解説

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オンプレミス→クラウド移行の5つ手順と7つの移行手法を解説

近年、企業のデジタルトランスフォーメーション( DX )が進む中で、クラウド技術への移行は避けられない課題となっています。クラウドを活用することで、システムの柔軟性が高まり、コスト削減とリソースの最適化が可能になります。しかし、円滑な移行には綿密な計画と適切な手順が欠かせません。

クラウド移行のプロセスは、計画策定、対象システムの選定、クラウド環境の構築、データ移行、運用体制の準備など、多岐にわたります。移行の方法は、企業の規模、業態、既存システムの状況により異なります。

この記事では、クラウド移行の全体像と、移行を成功させるための手順・注意点を詳しく解説します。これからクラウド移行を検討しているエンジニアの方は、ぜひ参考にしてください。

クラウド移行の概要やメリット等を理解したい方は以下の記事がおすすめです。

目次

多くの企業がデジタルトランスフォーメーションの一環としてクラウド技術の本格導入に踏み切っています。従来のオンプレミスの IT インフラに比べ、クラウドサービスは優れた柔軟性とスケーラビリティ、コスト効率を備えています。そのメリットが認識されたことで、企業のクラウド移行が急速に進展しつつあります。

クラウド利用のトレンド

総務省の調査によると、2016年から2020年にかけて、企業におけるクラウドサービスの利用率は着実に増加しています。2020年時点で、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は68.7%と、約7割に達しています。この期間に、製造業、小売業、金融業など、多様な業種でクラウドの採用が進んだことがわかります。

出典:総務省 令和3年版 > 企業におけるクラウドサービスの利用動向

クラウド移行を推進する主な要因

総務省の調査によれば、企業がクラウドサービスを利用する主な用途は「ファイル保管・データ共有」(59.4%)、「電子メール」(50.3%)、「社内情報共有・ポータル」(44.8%)などです。一方で、「営業支援」や「生産管理」などの高度な業務用途でのクラウド利用は低水準にとどまっています。

出典:総務省 令和3年版 > 企業におけるクラウドサービスの利用動向

クラウド移行を推進する他の要因としては、社内での資産や保守体制の不要性、場所や機器を選ばずにサービスを利用できる柔軟性、高い可用性と安定した運用が可能となることがあげられます。さらに、クラウドベンダーによる継続的な機能拡張やセキュリティ強化も、企業の移行を後押ししています。

クラウドへの移行は、計画的かつ段階的なアプローチが必要です。
ここでは、成功に導くための主要な5つの手順を詳しく説明します。

  1. 移行計画の策定
  2. 移行対象のシステムやデータの準備
  3. クラウド環境の構築
  4. システム/データの移行作業
  5. 移行後の検証と運用体制の確立

STEP1.移行計画の策定

クラウド移行プロジェクトを成功させるためには、まずしっかりとした計画を立てることが重要です。
計画段階では、以下の項目を明確にしましょう。

  • 目標
  • 予算
  • スケジュール
  • 担当者と役割分担
  • 移行対象の選定
  • 移行方法の検討
  • リスク
  • クラウドサービスプロバイダーの選定

それぞれ詳しく説明していきます。

目標

予算

ライセンス費用、インフラコスト、移行作業費用など、移行に関わる全ての費用を事前に予算化します。

スケジュール

移行プロジェクトは複数のフェーズに分かれます。各フェーズ(計画策定、データの準備、クラウド環境の構築、移行作業など)の完了期限を設定し、マイルストーンを決めることで進捗を管理しやすくなります。

担当者と役割分担

クラウド移行プロジェクトには様々な専門家が関わります。主な役割は以下の通りです。

担当者役割
プロジェクトマネージャープロジェクト全体の計画、実行、監視を担当。
クラウドアーキテクトクラウド環境の設計と構築をリード。
システムエンジニアシステムの要件定義や設計を行う。
ネットワークエンジニアネットワークの設計、構築、維持を担当。
セキュリティエンジニアプロジェクトのセキュリティ要件と対策を管理。
データベースエンジニアデータベースの設計、実装、保守を行う。
テストエンジニアシステムのテスト計画、実施、品質保証を担当。
運用担当者システムの運用と維持管理を行う。

それぞれの役割と責任を明確にすることが重要です。

移行対象の選定

移行対象となるシステムやデータは、企業の規模、業種、ビジネスニーズによって大きく異なります。

  • 技術的な適合性
  • コストとリスク

の観点から、移行内容を検討する際に考慮すべきポイントをご紹介します。

まずは、技術的な適合性の話ですが、すべてのシステムやデータをクラウドに移行できるわけではありません。移行対象となるシステムやデータがクラウド環境に適合しているかどうかを評価する必要があります。

次にコストとリスクの話ですが、移行にかかる費用は、

  • 移行するシステムやデータの量
  • 移行方法
  • クラウドサービスの種類

などによって異なります。移行の費用対効果を事前に検討し、予算内に収まる範囲で移行する必要があります。

上記の選定方法に基づき、技術的に適合し、コストとリスクを適切に管理できるシステムか検討しましょう。もちろん、この際に最初に設定をした目標達成が可能かを検証することも忘れずに行いましょう。

移行方法の検討

どのように移行するのか、具体的な方法を決めます。

リスク

クラウド移行プロジェクトには、様々なリスクが伴います。事前にリスクを洗い出し、対応策を検討しておくことで、リスク発生時の影響を抑えることができます。

リスク例:

事例詳細
データ移行の失敗データ移行中にデータが失われる、破損するなどのリスクがあります。
システム移行の失敗システム移行後にシステムが正常に動作しないなどのリスクがあります。
セキュリティリスククラウド環境はオンプレミス環境よりもセキュリティリスクが高くなります。
コスト超過予算を上回るコストが発生するリスクがあります。特に、外部に依頼をしている場合で且つ、依頼者が予算を伝えている場合は要注意です。
運用トラブルクラウド環境の運用中にトラブルが発生するリスクがあります

クラウドサービスプロバイダー

主要なクラウドサービスプロバイダーには、以下のようなものがあります。
それぞれの特徴を比較検討し、自社に最適なプロバイダーを選ぶことが重要です。

サービスプロバイダー概要
Google CloudGoogle が提供するクラウドサービス。AI や機械学習などのサービスに強みがあります。
Amazon Web Services ( AWS )世界最大のクラウドサービスプロバイダー。豊富なサービスと機能を提供しています。
Microsoft Azureマイクロソフトが提供するクラウドサービス。オンプレミス環境との連携に強みがあります。
Oracle Cloud Infrastructure ( OCI )オラクルが提供するクラウドサービス。データベースサービスに強みがあります。

上記以外にも、様々なクラウドサービスプロバイダーがあります。自社のニーズに合ったプロバイダーを選ぶことが重要です。

これらの項目を事前に明確にしておくことで、スムーズなクラウド移行プロジェクトを実現することができます。

STEP2.移行対象のシステムやデータの準備

クラウド移行を円滑に進めるには、事前に移行対象のシステムやデータを適切に準備する必要があります。

主な作業は、

  • データのクレンジング
  • データの分類
  • システムのクラウド対応と強化

の3点です。

データのクレンジング

不要なデータを削除し、重複排除、フォーマット統一を行うことで、データの質を高め、効率的な移行を実現します。

実施内容概要
不要なデータの削除使用されていないデータや古いデータなどを削除することで、ストレージ容量を節約し、移行にかかる時間とコストを削減します。
重複排除データ重複排除ツールなどを利用して、重複データを削除することで、ストレージ容量を節約し、データ管理を効率化します。
フォーマット統一データの種類ごとに統一されたフォーマットに変換することで、データの互換性を確保し、移行後のデータ分析や活用を容易にします。

データの分類

データを種類や用途で分類し、各データに適切なアクセス権限を設定することで、セキュリティと管理性を高めます。

実施内容概要
データの分類データの種類(顧客情報、製品情報、財務情報など)や用途(分析用、運用用、アーカイブ用など)に基づいて、データを分類します。
アクセス権限の設定各データ分類に適切なアクセス権限を設定することで、誰がどのデータにアクセスできるかを制御し、情報漏洩などのリスクを防ぎます。

システムのクラウド対応と強化

クラウド環境で円滑に動作するよう、システムをクラウド対応に改造するとともに、セキュリティ対策を講じます。

実施内容概要
クラウド環境対応クラウド環境特有の API や機能を利用できるように、システムを改造します。
セキュリティ対策クラウド環境におけるセキュリティリスクを考慮し、ファイアウォールの設定、データ暗号化などの対策を施します。

STEP3.クラウド環境の構築

クラウドサービスプロバイダーと協力し、企業の要件に沿ったクラウド環境を構築します。主な検討ポイントは、

  • ネットワーク設計
  • ストレージ設計

の2点です。

ネットワーク設計

オンプレミス環境とクラウド環境を安全に接続し、必要な冗長性を確保したネットワークを設計します。具体的には、以下のような要素を考慮する必要があります。

実施内容概要
接続方法専用線、VPN 、インターネット接続など、複数の接続方法を比較検討し、最適な方法を選択します。
ネットワークセキュリティファイアウォール、侵入検知システム、暗号化などのセキュリティ対策を施し、ネットワーク上のデータを保護します。
冗長性複数のネットワークパスや接続方法を用意することで、ネットワーク障害が発生してもサービスを継続できるようにします。

ストレージ設計

データの種類と用途に適したストレージサービスを選び、バックアップ、パフォーマンス、セキュリティに配慮した設計を行います。

具体的には、以下のような要素を考慮する必要があります。

実施内容概要
ストレージサービスオブジェクトストレージ、ブロックストレージ、ファイルストレージなど、さまざまなストレージサービスの中から、データの種類や用途に合致したサービスを選択します。
データバックアップと復旧データ損失を防ぐために、定期的なバックアップと、万が一データが失われた場合の復旧方法を定義します。
ストレージパフォーマンスデータアクセス速度やスループットなどのパフォーマンス要件を満たすように、ストレージ環境を設計します。

STEP4.システム/データの移行作業

事前に計画された移行方式に従い、システム、アプリケーション、データをクラウド環境へ順次移行します。この移行作業は非常に重要な段階です。慎重かつ段階的に実施する必要があります。

移行作業の成功を確実にするために

移行作業を成功させるためには、

  • テストと検証
  • 専門家の適切な活用

の2点に特に注意する必要があります。

前者では、

  • 機能テスト、パフォーマンステスト、セキュリティテストなど、種々のテストを実施
  • テスト結果に基づき、移行要件の充足と問題の有無を確認

を行います。

後者では、

  • 専門家の知見を活用することで、移行作業を円滑に進められる
  • リスク低減やコスト削減にもつながる

などの、恩恵を得ることができます。

STEP5.移行後の検証と運用体制の確立

クラウド移行は、システムやデータの移行作業が完了しただけでは終わりません。移行結果の検証と、安定運用に向けた体制づくりが不可欠です。

移行結果の検証

移行後の検証は、移行作業が正しく完了したことを確認するために実施します。具体的には、以下の内容を検証する必要があります。

検証内容概要
機能検証移行後のシステムが要件通りに機能することを確認
性能検証移行前後での性能変化がないことを確認
セキュリティ検証セキュリティ要件を満たしていることを確認
データ検証移行前後でデータが正しく移行されていることを確認

検証は、テスト環境と本番環境の両方で行う必要があります。

運用体制の構築

移行後のシステムやアプリケーションを安定的に運用するために、運用体制を構築する必要があります。

体制構築内容概要
運用チームの編成システムやアプリケーションの運用を担当するチームです。運用チームには、システム管理者、アプリケーション管理者、ネットワーク管理者などが必要です。
運用ルールの策定システムやアプリケーションの運用に関するルールです。運用ルールには、障害発生時の対応手順、バックアップ手順、セキュリティ対策などがあります。
運用ツールの導入システムやアプリケーションの運用を支援するツールです。運用ツールには、監視ツール、管理ツール、自動化ツールなどがあります。

移行作業後も、上記の検証と体制整備を怠らず、クラウドのメリットを最大限に活用することが重要です。

企業がクラウド移行を行う際、様々な手法が選択できます。適切な手法は、既存の IT インフラ、ビジネス目標、コスト、時間、リスクなどの要因によって異なります。ここでは一般的な7つの手法を解説します。

Rehost (リホスト)

リホスト(別名「リフト&シフト」)は、既存のアプリケーションをそのままクラウド環境に移行する方法です。

例えば、オンプレミスで運用していた Web アプリケーションをクラウド上の仮想マシンにデプロイしたり、ファイルサーバーをクラウドストレージサービスに移行したりするといった方法があります。

迅速かつコスト効率に優れており、特に大規模なレガシーシステムをクラウドに移行したい場合に適しています。短期的なメリットを求める企業にとって魅力的ですが、パフォーマンスの改善は限定的で、将来的な最適化が必要となる可能性があります。

また、レガシーシステムの場合、複雑な依存関係やカスタマイズが多いため、リホストが難しい場合もあるので事前の検証は必ず行いましょう。

Refactoring (リファクタリング)

リファクタリングは、既存のアプリケーションの一部のコードを再構築して、クラウド特有の機能を取り入れることで、性能やコストパフォーマンスの向上を図ります。

具体的には、自社運用データベースをクラウドのマネージド DB サービスに切り替えたり、アプリケーションの主要な処理をサーバーレス FaaS に移植したりして、クラウド環境に最適化させます。

コスト削減や運用の効率化を追求しつつ、クラウドの機能を最大限活用したい企業にとって、リファクタリングは有力な選択肢となります。しかし、高度な技術力と綿密な計画、適切なリソース投入が必要不可欠であり、移行前に十分な検討と準備が求められます。

Revise (リバイス)

リバイスは、既存のアプリケーション全体のアーキテクチャや設計を根本から見直し、クラウドネイティブな形に再構築する手法です。リファクタリングがコード単位の部分的な変更であるのに対し、リバイスではアプリケーション全体の構造をマイクロサービスやサーバーレスなどのクラウド中心のアーキテクチャに全面的に作り直します。

クラウドネイティブな形に完全に再構築することで、スケーラビリティ、可用性、コスト効率を最大化します。また、既存のアプリケーションを全面的に作り直すため、移行のリスクが高く、ビジネスへの影響も大きくなる可能性があることに留意が必要です。

リバイスはリファクタリングよりも大規模な作業となり、より高度な技術力と時間、コストがかかりますが、徹底的にクラウド化を図りたい場合に最適な選択肢となります。

Rebuild (リビルド)

リビルドは、既存のアプリケーションをゼロベースで完全に新しいものに書き換える手法です。アプリケーションの機能は維持しつつ、設計からコーディングまですべてをクラウドネイティブに合わせて一から作り直します。

リビルドすることで、アプリケーション全体がクラウドネイティブな設計となり、自動スケーリングなどのメリットを最大限に享受できます。新しい技術の活用により、将来の拡張性や機能追加の自由度も大きく向上します。

しかし、既存アプリケーションを一旦廃棄してゼロベースから作り直すため、工数が最も多くかかります。高度な設計力とクラウドネイティブ開発のスキルが必須となるでしょう。既存システムの再構築を含めてコストが最も高額になる手法と言えます。

Replace (リプレース)

リプレース(別名「ドロップ&ショップ」)は、自社で保有している既存のアプリケーションやシステムをすべて廃棄し、クラウドベンダーが提供するサービスやソフトウェアに完全に置き換える手法です。

リビルドがゼロベースから新しいアプリケーションを自社で構築するのに対し、リプレースはクラウドベンダーの既存ソリューションを導入することが大きな違いです。自社で開発する必要がないため、リソース面でのコストは抑えられます。

具体例としては、従来自社で開発・運用してきた顧客管理システムを、Salesforce の CRM クラウドサービスに置き換えます。顧客管理システム全体をクラウドベンダーのサービスで実現できるのであれば、リプレースにより短期間でクラウド化が可能になります。

ただし、現行の業務プロセスやニーズがベンダー製品に合わない場合、カスタマイズが必要になったり、業務をベンダー製品に合わせざるを得なくなるリスクがあります。

リプレースが最適か否かは、既存システムの規模や複雑度、クラウドベンダーの製品機能に大きく依存します。短期間でクラウド化を進めたい場合に検討する手段の一つと言えます。

Retire (リタイア)

リタイアは、クラウド移行に際して不要となったシステムやアプリケーションを特定し、計画的に廃止・削減していく手法です。

リホスト、リファクタリング、リビルドなどの他の手法は、既存のアプリケーションをクラウド環境に移行させることが目的ですが、リタイアはその逆で、クラウド化の過程で不要になった古いシステムを retirement (廃止)させることを指します。

具体例としては、クラウド ERP を導入した結果、これまで使われていた在庫管理システムや会計システムが不要になった場合、それらのシステムをリタイアさせることが考えられます。これにより、IT ポートフォリオを合理化し、システム運用コストを大幅に削減できます。

ただし、リタイアの判断を誤ると、重要なデータが失われたり、ビジネスに支障が出るリスクがあります。廃止対象システムの重要性やデータの重要度を十分検討し、計画的な移行が求められます。

Retain (リテイン)

リホスト、リファクタリング、リビルドなどの他の手法は、既存のアプリケーションをクラウド上に移行することが目的ですが、リテインはその例外で、一部のシステムは移行対象外とすることを指します。

具体例としては、極めて重要な基幹システムや、業界の規制により社内に残す必要があるシステムなどです。金融機関の中核となる決済システムや、医療分野の電子カルテシステムなどは、安全性や規制遵守の観点からオンプレミスに残すケースが多くあります。

リテインの最大のメリットは、クラウドへの移行に伴うリスクをゼロに抑えられる点です。重要システムの可用性を最優先し、安定稼働を続けることができます。

リテインか否かは、システムの重要度や規制遵守、セキュリティ要件などを総合的に勘案して判断する必要があります。クラウド移行の中で一部システムを残す選択肢の1つとして検討されます。

クラウド移行は多くのメリットを提供しますが、成功するためには慎重な計画と実行が不可欠です。ここでは、クラウド移行時に注意すべき点と意識するべきポイント7選を紹介します。

移行計画

クラウド移行には多くのメリットがありますが、成功するためには綿密な計画と適切な実行が不可欠です。まず移行計画の策定が重要です。移行の目的と具体的な達成指標を設定し、移行対象のシステム/データと適切な移行方式を決定する必要があります。

さらに工程別のスケジュールとマイルストーンを設定し、関係者の役割分担を明確化するとともに、対応策を事前に検討しましょう。

コスト管理と最適化

コスト管理と最適化も意識すべきポイントです。不要なリソースを削減してコスト抑制を図り、クラウド利用予算を設定し、定期的に追跡・管理することが重要となります。

パフォーマンスとスケーラビリティの評価

さらにパフォーマンスとスケーラビリティの検証が必要不可欠です。移行システムのパフォーマンス要件を把握し、負荷テストを実施します。それに基づき適切なリソース調整を行い、自動スケーリング機能を活用することが望ましいでしょう。

移行プロセス中のリスク管理

移行プロセスでは、データ損失やサービス中断、パフォーマンスの低下など様々なリスクを事前に分析し、それらを回避するための具体的な対策計画を策定する必要があります。また移行テストを実施し、問題発生時のロールバック計画も準備しましょう。

データ整合性の確保と移行検証

データの整合性確保と移行検証も重要なポイントです。移行手順を明確化し、データの完全性と正確性を検証する必要があります。さらにバックアップとリストア手順を準備し、データ損失時の復旧対応を可能にしましょう。

移行後の継続的な運用管理とサポート

クラウド移行が完了した後も、継続的な監視、管理、サポートが必要です。

クラウド環境を常に監視し、問題が発生していないか確認し、定期的に管理することで、常に最新の状態を維持することができます。

エンドユーザーからの問い合わせに対応し、必要なサポートを提供することで、エンドユーザーは、安心してクラウドを利用することができます。

組織文化の変革とクラウド理解の促進

最後に組織文化の変革とクラウド理解の促進が不可欠です。クラウドファーストの考え方を組織的に共有し、従業員にクラウド活用の知識とスキルを付与する必要があります。さらに変化への抵抗を最小化する組織的なサポート体制を構築することで、クラウド移行を成功に導くことができるでしょう。

この記事では、企業におけるクラウド利用の現状、クラウド移行の手順、クラウド移行の手法、その際に留意すべき重要なポイントについて詳細に解説しました。クラウド移行はビジネスの成長とイノベーションを促進する重要なステップですが、企業の現状、移行期間、そして特有の要求に応じて、最適な移行方法は大きく異なります。

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