オンプレミスとクラウドを徹底比較!組み合わせて利用する3つのメリットとは?

オンプレミスとクラウドを徹底比較!組み合わせて利用する3つのメリットとは?

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オンプレミスとクラウドを徹底比較!組み合わせて利用する3つのメリットとは?

自社システムについて考える上では、オンプレミスとクラウドのどちらを選択するのかが重要なポイントになります。しかし、「オンプレミス」や「クラウド」という言葉を聞いたことがあっても、詳しい内容を理解している方は少ないのではないでしょうか?

本記事では、オンプレミスとクラウドの概要を分かりやすくご説明します。また、オンプレミスとクラウドとの比較や、組み合わせて利用するメリットについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

オンプレミスの「プレミス( premises )」は「建物・構内」を意味する英単語であり、オンプレミス( On - Premises )は自社でシステム運用を行う形態を示す言葉です。

システムを構築するためには、

  • 物理サーバー
  • ネットワーク回線
  • ソフトウェア

などを用意する必要がありますが、オンプレミスではこれらの設備を自社内やデータセンターなどに設置し、システムの構築から運用まで、すべての準備を自社で行います。

このように、オンプレミスはすべての設備を自社で揃えるため、状況に合わせて柔軟なシステム運用を実現できます。その一方、機器調達のコストやシステムの管理・運用にかかる工数が発生する点は、オンプレミスのデメリットであると言えます。

なお、オンプレミスは「オンプレ」という略称で呼ばれることも多いため、オンプレはオンプレミスを意味する言葉であることを覚えておきましょう。

クラウドは自社で設備を保有せず、他社のリソースを活用してシステム運用を行う形態を示す言葉です。一般的には、オンプレミスとクラウドは対比的に使われることが多く、代表的なクラウドサービスの例としては、 Google Cloud や AWS 、 Azure などが挙げられます。

クラウドはサーバーやネットワーク回線を自社で用意する必要がないため、サービスを契約するだけで簡単に使用開始できます。また、自社の状況に合わせて自由にスケーリング(リソースを増減すること)可能な点も、クラウドの大きなメリットの一つだと言えます。

ただし、クラウドは他社リソースを使用してシステムを運用するため、オンプレミスと比較してカスタマイズ性は低くなります。そのため、細かい作り込みを実施したい場合には、クラウドが不向きとなるケースも存在することを覚えておきましょう。

また、一口に「クラウド」と言っても、その種類は多岐にわたります。

代表的なクラウドの種類としては、

  • IaaS ( Infrastructure as a Service ): CPU やメモリなどのコンピュートリソースを提供するモデル
  • PaaS ( Platform as a Service ):アプリケーション開発の実行環境を利用するモデル
  • SaaS ( Software as a Service ):ソフトウェアの機能をサービスとして利用するモデル

などが挙げられます。

同じクラウドサービスでも、どの種類を選択するのかによって特徴や用途は大きく異なるため、自社の状況に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。

ここまで、オンプレミスとクラウドの概要をご説明しましたが、具体的にどのような違いが存在するのでしょうか?本章では、オンプレミスとクラウドとの比較について、あらゆる観点から分かりやすく解説します。

初期コスト

オンプレミスはすべての設備を自社で揃える必要があるため、高額な初期コストが発生するケースも珍しくありません。一方、クラウドは他社リソースを活用してシステムを運用するため、初期コストはほとんど発生しないことが一般的であり、サービスの利用料金を支払うだけで手軽に使うことができます。

運用コスト

オンプレミスの場合、システム・ネットワークの保守にかかる人件費やサーバーの電気代など、様々な運用コストが発生します。一方、クラウドはシステム運用の大部分をベンダーが担っているため、自社が費用を負担する必要はなく、サービスの利用料金の中に運用コストが内包されています。

拡張性

オンプレミスでリソースを拡張する場合、物理サーバーを追加する必要があるため、若干ハードルは高いと言えます。一方、クラウドは契約内容やプランを変更するだけで、簡単に拡張することが可能であり、柔軟なスケーリングを実現できる点が大きな特徴となっています。

冗長性

冗長性とは、システムが停止せずに継続稼働できることを意味する言葉です。オンプレミスで冗長性を担保する場合、複数サーバーを用意する必要があるため、経済的な負担が大きく現実的ではありません。

一方、クラウドで冗長性を確保するためには、複数リージョンでサービスを契約(データも複製)し、特定のリージョンで不具合が発生した場合は、別のリージョンでシステムを稼働させるような仕組みを構築する必要があります。

柔軟性

オンプレミスはすべてを自社で構築・運用するため、状況に合わせて自由自在にカスタマイズ可能であり、柔軟性が高い点が大きな特徴として挙げられます。一方、クラウドはクラウドベンダーが提供しているサービスを利用することが一般的なため、オンプレミスと比較すれば、柔軟性は低いと言えるでしょう。

セキュリティ

原則、オンプレミスは自社ネットワーク内での利用に限定されているため、外部への情報漏洩リスクを低減できます。一方、クラウドはインターネット経由でサービスに接続する仕組みであり、サイバー攻撃の対象となる可能性があります。

ただし、高度なセキュリティ機能を備えたサービスも多く存在するため、クラウドを選定する際には、セキュリティ面のチェックを忘れずに行ってください。なお、具体的なチェック方法やどのような項目を見れば良いのかが分からない場合は、第三者機関に使用用途などを伝えながら、要件を確認することをおすすめします。

バックアップ

オンプレミスの場合、バックアップを取得するためには、その仕組みを自社で構築する必要があり、バックアップを考慮に入れたシステム設計が求められます。一方、多くのクラウドサービスにはバックアップ機能が搭載されているため、事前に設定を行うことで簡単にバックアップを取得でき、予期せぬ事態が発生した場合でも、貴重なデータが消失してしまうリスクを低減できます。

災害リスク

オンプレミスはすべての設備を自社で揃えるため、データセンターの物理的な場所やセキュリティ対策の内容に応じて、災害リスクの大小は変動します。一方、クラウドは堅牢なデータセンターにサーバーを設置していることが多く、自然災害に対する備えは万全であると言えるでしょう。

運用開始までの期間

オンプレミスは物理サーバーやネットワーク回線などを準備する必要があり、実際の運用開始までに数ヶ月以上を要することが一般的です。一方、クラウドは既に完成されているサービスを利用する形態であるため、契約を締結すれば、すぐに利用開始できる点が大きな特徴となっています。

まとめ

最後に、ここまでご説明してきたオンプレミスとクラウドとの違いを表にまとめます。

項目オンプレミスクラウド
初期コスト高い低い
運用コスト人件費・サーバーの電気代などサービスの利用料金
拡張性低い高い
冗長性低いケースがある複数リージョンを契約すれば高い
柔軟性高いオンプレミスと比較すれば低い
セキュリティ高いオンプレミスと比較すれば低い
バックアップ自社運用に依存万全な体制
災害リスク自社運用に依存高い
運用開始までの期間長い短い

このように、オンプレミスとクラウドは様々な点で特徴が異なるため、自社の状況や要件を踏まえて、最適なものを選択することが重要なポイントになります。

オンプレミスとクラウドは、それぞれを単体で使うことが一般的ですが、状況によっては両者を組み合わせて利用するケースも存在します。

そして、このようにオンプレミスとクラウドを組み合わせて利用する形態は「ハイブリッドクラウド」と呼ばれており、実際に多くの企業がハイブリッドクラウドを活用し、自社のシステムを運用しています。

それでは、ハイブリッドクラウドにはどのような特徴があるのでしょうか?本章では、オンプレミスとクラウドを組み合わせて利用するメリットについてご説明します。

なお、ハイブリッドクラウドに関心のある方は、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:ハイブリッドクラウドとは?メリット・デメリットや導入を成功させるためのポイントを徹底解説!

柔軟性が上がる

クラウドはオンプレミスと比較して柔軟性が低く、自由にカスタマイズできない点がデメリットとして挙げられます。しかし、オンプレミスとクラウドを組み合わせれば、この課題を解決することができます。

例えば、細かいカスタマイズが必要な部分のみをオンプレミスで運用し、その他の部分はクラウドで運用するケースなどが該当します。このような運用を実現することで、クラウドの弱点を克服し、システム全体の柔軟性を高めることが可能になります。

コスト削減に繋がる

すべてのシステムをオンプレミスで運用する場合、物理サーバーやネットワーク回線などを自社で揃える必要があり、膨大な初期コストが発生します。そこで、オンプレミスとクラウドを組み合わせることで、自社のコスト削減を実現できます。

例えば、厳しいセキュリティ要件が求められるシステムはオンプレミスで運用し、その他の部分はクラウドでカバーします。これにより、初期コストを必要最低限に抑えつつ、システムの運用・保守にかかる人的コストの削減にも繋がります。

リスク分散を実現できる

オンプレミスとクラウドを組み合わせてシステム運用することで、有事の際のリスク分散を実現できます。なお、ここで言う「リスク」の代表例としては、システム障害や自然災害などが挙げられます。

どちらか一方のみでシステムを運用している場合、その環境が機能しなくなったら終わりですが、オンプレミスとクラウドを並行稼働させることで、想定外の事態にも柔軟に対応できるようになります。緊急時の事業継続は企業における経営課題の一つであるため、このようにリスク分散を実現できる点は、ハイブリッドクラウドの大きなメリットだと言えるでしょう。

最後に、ハイブリッドクラウドの活用事例をご紹介します。自社でハイブリッドクラウドを導入した際の具体的なイメージが湧くと思いますので、ぜひ参考までにご覧ください。

基幹システムでの活用

とある化学品メーカーでは、オンプレミスで構築している基幹システムの運用コストが課題になっていました。そこで、ハイブリッドクラウドを導入し、自社のコスト削減に向けて舵を切ったのです。

具体的には、機密性の高い重要な情報はオンプレミス環境へ格納し、日々利用するデータはクラウド上で管理・運用する形にシステム構成を変更しました。これにより、結果として従来の 30% ものコスト削減に成功しています。

加えて、クラウドはハードウェアの保守切れに伴うシステム更改などが不要なため、情報システム部門の工数削減にも大きく寄与しました。このように、ハイブリッドクラウドを活用して、コスト削減と生産性向上を実現した好事例だと言えるでしょう。

顧客管理システムでの活用

とある自動車メーカーでは、顧客管理を効率化するために CRM を導入しました。しかし、顧客との通話ログ・メールログの量が膨大であり、すべてを CRM のサーバーに格納した場合、容量が不足してしまうことが大きな課題となっていました。

そこで、同社は頻繁に使用するデータのみを CRM へ格納し、あまり使わないデータは他のクラウドサービスの環境に保管しました。つまり、自社が保有する情報をメインデータとサブデータに分けて、ハイブリッドクラウドの環境で管理したのです。

これにより、システム全体としてのコスト削減を実現できたことに加えて、将来的にデータ量が増えた場合にも、問題なく運用できるだけのキャパを作り出すことに成功しました。

本記事では、オンプレミスとクラウドの概要を分かりやすくご説明しました。

オンプレミスとクラウドはそれぞれ異なる特徴を持っており、どちらが 100% 正解と言い切ることはできません。状況に応じて最適な選択肢は変わるため、この記事を読み返して、重要なポイントを理解しておきましょう。

また、オンプレミスとクラウドを組み合わせて利用するハイブリッドクラウドも有効なシステム構成の一つです。企業がハイブリッドクラウドを活用することで、システムの柔軟性向上やリスク分散など、様々なメリットを享受できます。

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