システム内製化のメリット・デメリットとは?実現するためのポイントを紹介!

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システム内製化のメリット・デメリットとは?実現するためのポイントを紹介!

自社の生産性を向上させるためには、システム内製化が有効な手段の一つになります。企業がシステム内製化を実現することで、様々なメリットを享受できます。

本記事では、システム内製化のメリット・デメリットや実現するためのポイントなどを分かりやすく解説します。システム内製化を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

なお、システム内製化については以下の記事で詳しく解説しています↓

システム内製化とは?失敗要因や成功させるためのポイントを徹底解説!

企業がシステム内製化を実現することで、ビジネスにどのような影響を与えるのでしょうか?本章では、システム内製化のメリットをいくつかご紹介します。

変化に対して柔軟に対応できる

ビジネスを成長させるためには、市場のトレンドや自社の状況に応じて、システムを改善する必要があります。しかし、システムの開発・運用を外部委託している場合、思うようにカスタマイズできないケースが存在します。

その点、システム内製化を実現することで、自社のニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能になります。このように、変化に対して柔軟に対応できる点は、システム内製化の大きなメリットの一つだと言えるでしょう。

アウトソーシングは自社の工数削減に繋がりますが、すべてを外部企業に任せてしまうため、自社内にノウハウを貯めることができません。そのため、問題が発生した際に自社で解決することができず、 IT 人材が育ちにくい傾向にあります。

一方、システム内製化はシステムの開発から運用までの一連のプロセスを自社で完結する必要があります。これにより、自社にノウハウを蓄積することができ、システムに強い IT 人材の育成にも繋がります。

システムのブラックボックス化を回避できる

社内システムがブラックボックス化することで、障害発生時の対応やカスタマイズが困難になり、自社の生産性が著しく低下します。そして、システムの開発・運用を外部企業に任せている場合、システムがブラックボックス化するリスクはより高まると言えるでしょう。

しかし、システムを内製化すれば、社内システムに対する社員の理解に繋がり、結果としてシステムのブラックボックス化を回避できます。これにより、予期せぬトラブルや社会変化に柔軟に対応できる盤石なシステムを構築可能になります。

開発速度が上がる

アウトソーシングでは、委託先企業に要件を伝えたり、完成後のイメージを擦り合わせたりするなど、会社同士で都度コミュニケーションを行う必要があります。そのため、会議の日程調整などに時間を取られてしまい、システムの開発速度が落ちてしまうことも珍しくありません。

一方、システム内製化は自社内ですべての作業を完結するため、開発速度を上げることが可能です。ビジネスにおいてスピードはとても重要な要素であるため、この点はシステム内製化の大きなメリットの一つだと言えるでしょう。

セキュリティ向上

昨今、企業を狙うサイバー攻撃は高度化かつ多様化しています。そのため、自社の機密情報を守るためのセキュリティ対策は、すべての企業に求められる経営課題だと言えます。

そして、システムを内製化することで、自社のセキュリティ要件に応じてシステムを自由に作り込むことが可能なため、自社システムのセキュリティ向上に直結します。近年では、ベンダー各社が提供するシステムのセキュリティも高まっていますが、より堅牢性の高いシステムを実現するためには、内製化が有効な選択肢になります。

内製化を促進するため企業様向け資料

DXを推進するための一つの手段として内製化がフォーカスされています。
内製化に取り組もうと思われている方々を対象に、なぜ内製化なのか、内製化の理想と現実、それを踏まえた内製化を始めるポイントをお話しします。また、実際に弊社が行った内製化支援において成功されている顧客事例をご紹介します。

システム内製化には様々なメリットがありますが、その一方でデメリットも存在します。本章では、システム内製化の代表的なデメリットをご紹介しますので、自社でシステム内製化を検討する際の参考にしてください。

IT 人材を確保する必要がある

システム内製化を実現するためには、システムに詳しい IT 人材が必要不可欠です。しかし、日本では深刻な IT 人材不足が続いており、優秀な人材を確保することは容易ではありません。

実際、 IT 人材の不足により、システム内製化に踏み込めない企業は数多く存在します。そして、 IT 人材を雇用するためには、高い給与や採用コストなどが必要になるため、この点は事前に注意しておきましょう。

大規模開発には不向きなケースも存在する

システム内製化は自社リソースのみでシステムの開発・運用を行うため、一般的には大規模開発には不向きとされています。無理をして内製化を進めたとしても、担当者の業務過多で適切な開発・運用ができず、結果的に失敗に終わるケースも珍しくありません。

そのため、システム内製化を検討する際は、事前にプロジェクトの全体計画を策定し、そのシステムが内製化に適しているかどうかを慎重に判断することが大切です。この時、判断に迷ってしまう場合は、外部の専門家にアドバイスを求めることも有効な選択肢になります。

スパゲッティコードが起きる可能性がある

スパゲッティコードとは、ロジックが不明瞭で他人には読み取りにくいソースコードを意味する言葉です。システム構造が乱雑である様子を長く絡まったスパゲッティに例えて「スパゲッティコード」と呼ばれています。

社内にシステム設計をしたことがある人がいなかったり、開発経験者が乏しい場合は、システム開発を効率的に進めることができず、スパゲッティコードが起きる可能性があります。自社の状況によっては、この点もシステム内製化のデメリットの一つになると言えるでしょう。

現在、多くの企業がシステム内製化を実践し、自社の生産性向上を実現しています。本章では、システム内製化の成功事例を 3 つご紹介しますので、ぜひ参考までにご覧ください。

ファーストリテイリング

ユニクロなどを展開している「株式会社 ファーストリテイリング」では、消費者ニーズを迅速に満たすため、主体的に機能するエンジニアチームの構築に注力しました。同社のエンジニアは 2016 年時点では数十名でしたが、グローバル人材にまで採用の幅を広げた結果、現在は 100 名を超えるまでに増加しています。

そして、自社が高度な技術力を獲得するために内製化を進めた結果、システムへの機能追加が容易になったため、現場からの新たな要望が多く届くようになりました。これにより、現場の意見を柔軟にシステムに反映できるようになり、効率的なシステム運用を実現しています。

参照:【リアルとECの融合】「世界最高のシステムづくり」の舞台裏

カインズ

ホームセンターを展開している「株式会社 カインズ」では、アジャイル開発をベースとしてシステムの内製化を進めています。インドを拠点とする大手 IT 企業とパートナーシップを締結しており、自社と海外のエンジニアが一つのチームを形成し、自社がその組織を主導しながら活動している点が大きな特徴です。

また、国内の IT 人材採用を加速させて内製化を強化するため、「 CAINZ INNOVATION HUB 」というスペースを開設し、コミュニケーションやイノベーションを生み出す場として利用しています。さらに、エンジニアのライフスタイルに沿った勤務体系を取り入れた子会社を設立するなど、エンジニア目線で働きやすい職場づくりに積極的に取り組んでおり、 2025 年にはデジタル戦略本部の人員を 430 名体制に増強すると大々的に掲げています。

このように、アジャイル開発を活用してシステム内製化を実現しながらも、その土台となるエンジニアが働きやすい職場環境を工夫して整備している好事例と言えるでしょう。

参照:デジタルチームの内製化で、開発能力が2倍にカインズ流「チームの型」に学ぶ、採用と育成の秘訣

星野リゾート

リゾート・ホテルなどを展開している「株式会社 星野リゾート」では、ローコード・ノーコードで使えるツールを活用し、スタッフ全員が IT を活用できるような「全スタッフ IT 人材化」をコンセプトとして掲げ、自社のシステム内製化に積極的に取り組んでいます。

具体的な体制としては、中途採用のエンジニアと現場で働いていた社員が半々で IT チームを結成し、様々なプロジェクトを実践しています。例えば、大浴場の混雑状況を可視化する「温泉 IoT 」や GoTo トラベルキャンペーンのためのシステム構築などを手掛け、短期間での有用なシステム開発に成功しました。

過去に開発したアプリケーションの数は 800 以上に達しており、現場スタッフが開発者の一人として、より良いシステム・サービスを展開するために日々試行錯誤しています。

参照:星野リゾートが800ものアプリを内製 全スタッフIT人材化によって顧客体験を深化

システム内製化を実現するためには、具体的にどのような点に注意すれば良いのでしょうか?本章では、システム内製化を実現するための重要なポイントについて解説します。

内製化するシステムに優先順位を付ける

前述した通り、システムは何でも内製化すれば良いというわけではなく、内製化に向いているシステムと向いていないシステムが存在します。そのため、システム内製化を検討する際は、内製化するシステムに優先順位を付けることが大切です。

優先順位を付けることで、本当に内製化すべきシステムを明確化することができ、そのシステムの開発・運用に自社リソースを集中できます。このように、いきなり具体的な作業に着手するのではなく、まずはどのシステムを内製化すべきなのか、慎重に判断することが重要なポイントになります。

社内開発を行うためのツールを導入する

システム内製化を実現するためには、自社でシステム開発を行う必要があります。しかし、すべてを手作業で実施する場合、大きな工数が発生するため、社内開発用のツールを導入することをオススメします。

社内開発を行うためのツールを導入することで、システムの開発作業を円滑に進めることができ、自社の業務効率化や生産性向上に繋がります。市場には様々な開発ツールが存在するため、自社の状況に合わせて適切なものを選択してください。

IT 人材を採用・育成する環境を整備する

システム内製化の実現には IT 人材が必要不可欠です。もし、自社に IT 人材がいない場合、新たに IT 人材を採用・育成するための環境を整備してください。

また、 IT 人材を育成する場合は、第三者に教育を依頼することも有効な選択肢になります。専門家の研修を受けることで、豊富な知識や実践的なノウハウを習得できるため、自社のシステム内製化を強く推進することが可能です。

外部企業からの内製化サポートを受ける

システム内製化を成功に導くためには、外部企業からの内製化サポートを受けることも有効です。現在、多くの企業が内製化サポートを提供しており、あらゆる観点から自社の内製化を支援しています。

なお、当社センティリオンシステム 大阪事業所でも企業様の内製化支援を行っており、貴社の状況に合わせて、体制づくり支援や開発計画支援、クラウド開発スキルアップ支援など、様々な支援メニューを提供しています。
関心のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

本記事では、システム内製化のメリット・デメリットや実現するためのポイントなどを解説しました。

企業がシステムを内製化することで、ノウハウ蓄積やシステムのブラックボックス化の回避など、様々なメリットを享受できます。ただし、一方で大規模開発には不向きであったり、スパゲッティコードが発生するリスクがあったりするため、この点には十分に注意してください。

また、システム内製化を実現するためには、いくつか重要なポイントが存在します。これらを意識することで、システム内製化を成功に導くことができるため、この記事を読み返して重要なポイントを理解しておきましょう。

当社センティリオンシステム 大阪事業所はこれまでの多くのクラウド開発を支援してきた知見を活かし、クラウドを活用した内製化に取り組まれるお客様を全力でサポートします。

以下のような課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

  • クラウド活用を推進するための開発体制作りが進まない
  • 既存資産をどのようにクラウド移行するか検討する知見が不足している
  • 内製化するためのクラウド開発スキルを持った人材が不足している
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貴社の状況に合わせて、体制づくり支援や開発計画支援、クラウド開発スキルアップ支援など、様々な支援メニューを提供しています。無料相談も可能なため、まずはお気軽にご連絡いただければと思います。

本記事を参考にして、システム内製化への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?