分かりやすい! Vertex AI の具体的な使い方を利用シーン別に徹底解説

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分かりやすい! Vertex AI の具体的な使い方を利用シーン別に徹底解説

Vertex AI をご存知でしょうか? Google のパブリッククラウド「 Google Cloud 」に内包されているサービスの一つであり、様々な機能を搭載した機械学習のプラットフォームです。

Vertex AI はとても便利なサービスである一方で、数多くの機能が備わっているため、どのように使えば良いのか迷ってしまう方も多いと思います。本記事では、 Vertex AI や生成 AI の基礎知識に加えて、 Vertex AI の具体的な使い方を利用シーン別に分かりやすく解説します。

Vertex AI のご紹介をする前に、 AI 活用における事前準備について理解しておきましょう。

AI を活用する際の重要なポイントとして「タスクを明確化する」という点が挙げられます。これは、 AI 活用のゴール・目的から逆算したうえで、 AI に何をやらせるのかを具体的に決めるということです。

例えば、製造業の外観検査を例に考えてみます。なお、外観検査とは、工場の生産ラインで外観上(目に見える部分)の品質チェックを行う工程のことです。

外観検査を人間が目視で行う場合、

  • 商品が流れてくる
  • 検査員が商品を取る
  • 色々な角度から商品を目で見る
  • 商品を振り分ける

のような複数のプロセスが存在しますが、外観検査に AI を活用する場合は、これらのプロセスの中で、どの部分を AI にやらせるのかを具体的に決めていきます。

ただし、必ずしも従来のフローをそのまま AI に置き換える必要はなく、 AI の導入効果を最大化するためにフローそのものを変更したり、状況に応じてタスクを追加・削除したりすることも有効な選択肢になります。

このように、 AI をビジネスシーンで活用する際には、 AI で効率化したい業務を複数のプロセスに因数分解し、事前準備として AI のタスクを明確化することが重要だと言えるでしょう。

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昨今、 ChatGPT をはじめとした Generative AI (以下、生成 AI と記載)が大きな注目を集めていますが、 Vertex AI には、生成 AI に関連した機能も数多く搭載されています。本章では、生成 AI の基礎知識について解説しますので、記事を読むうえでの参考情報としてご覧ください。

Generative AI (生成 AI )とは?

Generative AI (生成 AI )は機械学習の一分野であり、コンピュータープログラム自身がデータや情報を新しく生成する能力を有した、次世代の AI を意味する言葉です。

従来の AI は学習済みデータの中から適切な回答を探し出す役割が一般的でしたが、生成 AI は新しいデータやコンテンツを生成し、 0 から 1 を生み出せる点が大きな特徴となっています。なお、一般的には「生成 AI 」という単語が使われますが、「ジェネレーティブ AI ( Generateve AI )」という名称で呼ばれることもあります。

一般的な生成 AI は、膨大なトレーニングデータをもとに繰り返し学習することで、新しいデータやコンテンツを生成できるように設計されています。生成 AI の代表例としては OpenAI 社が 2022 年 11 月に公開した「 ChatGPT 」であり、これはテキストデータに基づいて、文章を自動生成できる生成 AI の一つとなっています。

また、 ChatGPT のような自然言語処理モデルに加えて、画像生成モデルも生成 AI の代表的なモデルであり、事前に学習した画像パターンなどを基にして、新しい画像を生成できます。この他にも、様々な場面で生成 AI の活用が期待されており、自社のビジネスを成長させるうえでは、生成 AI が有効な武器になると言えるでしょう。

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AI の世代による違い

一口に AI とは言っても、世代ごとに様々な種類が存在することをご存知でしょうか?

AI を世代別に大きく分けると、

  • ルールベースの AI
  • ディープラーニングを利用した AI
  • 生成 AI

の 3 つに分類することができます。

以下、それぞれの違いを図で示します。

生成AI AI世代

上図の通り、ルールベースの AI やディープラーニングを利用した AI は、計算能力や学習データの面においては優れていますが、複雑なタスクの実行は苦手分野だと言えます。一方、生成 AI はその逆の特徴を持っているため、自社の目的や AI の利用用途に合わせて、最適なものを選択することが大切です。

なお、生成 AI は GPU などのコンピューティングを多く消費するため、ルールベース・ディープラーニングの AI と比較して、コストが高くなる傾向にあります。生成 AI を活用する際には、この点も注意すべきポイントの一つとして覚えておきましょう。

次に、 Vertex AI の概要についてご説明します。

Vertex AI とは、 Google が提供しているマネージドな機械学習のプラットフォームであり、 Google Cloud に内包されているサービスの一つです。

Vertex AI を活用することで、

  • 機械学習 API の活用
  • 機械学習モデルの保存
  • 機械学習モデルのデプロイ
  • 予測のリクエスト

など、機械学習における様々な作業を行うことが可能です。

従来の AI 活用では、複数のソリューションを組み合わせて機械学習を実施することが一般的でした。しかし、これではモデルの開発・検証を行う際に遅れが発生してしまい、本運用へ至るまでに膨大な時間を要することになります。また、各種作業をうまく進めることができず、モデルが開発途中で失敗に終わることも珍しくありません。

そして、このような課題を解決するために Google が生み出したソリューションが Vertex AI です。 Vertex AI は Google Cloud に搭載されている数多くのサービスを一元的に集約し、統合されたユーザーインターフェースや API のもとで機械学習モデルを構築できる点が大きな特徴となっています。

また、 Vertex AI では、クラウドやオンプレミスなど、多種多様な環境のユーザーに対して、機械学習モデルを手間なく構築するためのツールを多数提供しています。これらを活用することで、 UI ベースのモデル開発やコードベースのモデル開発など、様々なアクションを実現することが可能になります。

Vertex AI に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

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Vertex AI には様々な機能が搭載されているため、どのように使えば良いのか、迷ってしまう方も多いと思います。そこで、本章では Vertex AI の具体的な使い方について分かりやすく解説します。

まず、 Vertex AI のプロダクトは、大きく次の 3 つに分けることができます。

  • すぐに利用できる学習済み API
  • Auto ML によるカスタム AI
  • 専門家向けツールによる AI 構築

以下、カテゴリごとの違いを図で示します。

このように、 Vertex AI のプロダクトは 3 つのカテゴリに分類でき、それぞれ強みや特徴が異なります。ここからは、どのような場合にどのプロダクトを選択すべきなのか、カテゴリ別に詳しくご説明します。

すぐに利用できる学習済み API

学習済み API とは、 Google が事前に学習を済ませているプログラムのことであり、学習データを用意する必要はなく、すぐに利用開始できる点が大きな特徴です。スピードとコストを重視する場合には、このカテゴリからプロダクトを選択すると良いでしょう。

代表的な学習済み API としては、

  • Vision API
  • Translation API
  • Speech - to -text
  • Recommendations AI

などが挙げられます。

例えば、 Vision API を活用することで、 画像内の複数のオブジェクトを検出・分類できますし、 Speech - to -text を使えば、自然言語による会話をテキストへ自動変換することが可能です。さらに、 Recommendations AI の活用により、ユーザーの行動履歴に基づき、商品のレコメンドを自動で表示するような運用も実現できます。

AutoML によるカスタム AI

AutoML とは、 Google Cloud で提供されている機能の一つであり、ユーザーデータを学習することで、カスタムモデルを簡単に作成できます。ノーコードで操作できる点が AutoML の大きな特徴となっており、 AI に学習させるためのデータさえ用意すれば、モデルをゼロベースで開発する必要はありません。

また、 AutoML でカスタム AI を構築するためには、 AutoML Tables が有効な手段になります。 AutoML Tables とは、構造化データを機械学習に活用するためのツールであり、需要予測や欠品予測、価格の最適化など、ビジネスにおける様々なシーンで活躍します。

専門家向けツールによる AI 構築

自社独自の複雑なタスクを AI で効率化したい場合、 AutoML だけで全てを実現することはできず、ユーザー自身がモデルを作成しなければいけません。このような時は、 Vertex AI の専門家向けツールを活用すれば、 AI モデルを容易に構築でき、その後の運用も含めて、作業を効率化することが可能になります。

代表的なツールとしては Vertex AI Workbench が挙げられますが、これは Jupyter ベースのエンタープライズ版 Notebook であり、スケーラブルかつユーザー管理を統一できる点が大きな特徴となっています。また、データ処理のタスクと連携して Notebook の読み込み・シェアができるため、ワークフローとの連携もスムーズに行うことが可能です。

前述した通り、 Vertex AI には様々な生成 AI サービスが搭載されています。どのようなものが提供されているのか、代表的なサービスをいくつかご紹介します。

提供されているサービス

PaLM API for Text & Chat

PaLM API for Text & Chat は、多目的かつ高精度な AI チャットボットを手間なく構築できるサービスです。カスタム言語タスクや複数ターンに対応しているため、あらゆるビジネスシーンにおいて有効に使うことが可能です。

Imagen

Imagen は、入力したテキストをもとに AI が画像を自動生成するサービスです。例えば、「お洒落なカフェの中で眼鏡をかけながらパソコンで仕事しているビジネスマン」のように、テキストで指示を与えることで、 Imagen が適切かつ高精度な画像を自動生成してくれます。

Cordey

Cordey は、独自のコードベースでモデルをカスタマイズできるサービスです。一般的には Text - to Code というカテゴリに位置付けられており、自然言語で「こんなコードを書いて欲しい」と指示を出すことで、その内容を読み取り、実際のコードを記述してくれます。さらに、自社の独自データを利用したコード作成も可能なため、幅広い用途に活用することができます。

Chirp

Chirp は Google が 2023 年 5 月に発表した、次世代の Speech-to-Text (自動音声認識機能)モデルです。特に、顧客エンゲージメントの強化に重点が置かれており、キャプションや音声アシストによって、顧客の母国語で深いコミュニケーションを取ることが可能になります。

データ保護されたファインチューニング

ここまで、 Vertex AI に搭載されている様々な AI サービスをご紹介してきましたが、「自社のデータが Google の学習に使われてしまうのではないか」と不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし、 Vertex AI はデータ保護されたファインチューニングを採用しており、 Google がお客様の社内データを閲覧することはできない仕組みになっています。そのため、 Vertex AI はビジネスシーンでも安心して利用できるサービスだと言えるでしょう。

本記事では、 Vertex AI や生成 AI の基礎知識に加えて、 Vertex AI の具体的な使い方を利用シーン別に分かりやすく解説しました。

Google Cloud の Vertex AI には様々な機能・プロダクトが搭載されており、企業がこれらを活用することで、効率的な AI 活用を実現できます。この記事を読み返して、 Vertex AI の概要や具体的な使い方を理解しておきましょう。

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本記事を参考にして、 Google Cloud の導入および Vertex AI の活用を検討してみてはいかがでしょうか?

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