クラウドを活用したアーキテクチャ設計の重要性とは?設計時の重要な 4 つのポイントを解説!

クラウドを活用したアーキテクチャ設計の重要性とは?設計時の重要な 4 つのポイントを解説!

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クラウドを活用したアーキテクチャ設計の重要性とは?設計時の重要な 4 つのポイントを解説!

昨今、クラウド技術が急速に普及し、多くの企業がクラウドサービスを活用して自社の業務効率化や生産性向上に繋げています。そして、クラウドを活用したアーキテクチャ(システムの設計・構造)のことをクラウドアーキテクチャと呼び、自社のビジネス成長を実現するうえで重要な要素となります。

本記事では、クラウドを活用したアーキテクチャ設計の重要性に加えて、クラウドアーキテクチャのメリットや設計時のポイントなど、あらゆる観点から一挙にご紹介します。自社でクラウド活用を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

まずは、クラウドを活用したアーキテクチャ設計の重要性について解説します。

従来の日本企業においては、オンプレミス環境でシステムのアーキテクチャを構築することが一般的でした。自社で物理サーバーやネットワーク回線などを準備し、システムの保守や運用もすべて自社が行っていたのです。

しかし、近年では新型コロナウイルスの感染拡大をはじめとして、大きな社会変化が次々に巻き起こっています。これに伴い、消費者ニーズや市場トレンドも変化しており、従来のオンプレミス運用では、これらの変化に対して柔軟に対応できないシーンが増えてきました。

このような背景から、現在は多くの企業がクラウドを活用したアーキテクチャ設計へと舵を切っています。クラウドを活用することで、様々な変化に対して柔軟に対応でき、状況に合わせて使用リソースを調整することも容易になります。

さらに、クラウドは自社で物理サーバーなどを用意する必要がないため、システム構築のスピードを格段に向上できます。加えて、インフラの運用・保守をはじめとした一部の業務をベンダーに任せられるため、自社の工数削減にも繋がります。

だからこそ、現在はクラウドを活用したアーキテクチャ設計が注目を集めているわけです。このように、オンプレミス運用における課題を解決し、自社のビジネス成長を実現するうえでは、クラウドアーキテクチャの活用が重要な鍵を握っていると言えるでしょう。

オンプレミスからクラウドへの移行については以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:クラウド移行とは?メリット・デメリットや移行時の注意点を徹底解説!

企業がクラウドアーキテクチャを活用することで、具体的にどのような恩恵を受けられるのでしょうか?本章では、クラウドアーキテクチャのメリットについて解説します。

コスト削減に繋がる

オンプレミスでアーキテクチャを設計する場合、物理サーバーやネットワーク回線など、様々なものを自社で用意する必要があり、数百万円の初期費用が発生することも珍しくありません。また、システムの運用・保守やインフラ部分のメンテナンスも自社で行うため、人的コストが追加で発生します。その点、クラウドはインフラ部分を自社で用意する必要がなく、ベンダーが一部の業務を巻き取ってくれるため、自社の業務効率化やコスト削減に繋がります。

環境構築のスピードが上がる

前述した通り、オンプレミスはインフラ周りの設備をすべて自社で揃える必要があるため、アーキテクチャの設計期間が長期化し、運用開始までに数ヶ月以上を要することが一般的です。一方、クラウドは既に完成されたサービスを契約して利用するため、導入後すぐに運用開始できます。ビジネスにおいて、スピードは競合優位性に直結するため、迅速にシステム環境を構築できる点は、クラウドアーキテクチャの大きなメリットだと言えるでしょう。

スケーラビリティが高い

オンプレミスでリソースを拡張する場合、物理サーバーを追加で設置する必要があり、実現のハードルは比較的高いと言えます。その点、クラウドは契約内容を変更するだけで、リソースを柔軟に拡張できるため、自社の状況に合わせて柔軟なシステム運用を実現可能になります。このように、変化の激しい現代においては、クラウドを活用したアーキテクチャ設計が有効な手段の一つになります。

BCP 対策を強化できる

BCP とは「 Business Continuity Plan 」の略であり、日本語では「事業継続計画」と呼ばれています。これは、有事の際でもビジネスを止めることなく、事業を継続させるための計画を意味しています。

オンプレミスの場合、設備をすべて自社で揃えるため、 BCP 対策を実現するためには、物理的なスペースを確保し、そこにバックアップ用のサーバーを設置する必要があります。一方、クラウドは堅牢なデータセンターで自社の貴重なデータを保管することが可能です。また、多くのクラウドサービスでは、自然災害に強いロケーション(場所)にデータセンターを設置しているため、有事の際にも安心してシステムを運用できます。

柔軟なワークロード管理を実現できる

多くの企業では、複数システムを同時並行的に利用しているケースが一般的であり、オンプレミスで運用する場合はワークロードの管理が煩雑化します。その点、クラウドアーキテクチャは、各システムのワークロードをクラウド上で一元管理できるため、柔軟かつ効率的にワークロードを管理することが可能になります。昨今、企業システムの複雑化・多様化が進んでいるため、柔軟なワークロード管理を実現できる点は、クラウドアーキテクチャの大きなメリットの一つだと言えるでしょう。

次に、クラウドアーキテクチャ設計時の重要なポイントを 4 つご紹介します。自社で実践する際の参考になると思いますので、ぜひ内容を理解しておきましょう。

マネージドサービスの活用

マネージドサービスとは、保守・運用の大部分をベンダーが担ってくれるサービスを意味する言葉です。システム構成によってはアーキテクチャが複雑化し、管理・運用に大きな手間が発生することもありますが、マネージドサービスを活用すれば、自社の工数を掛けずにシステムを運用することが可能になります。最近では、マネージドで提供されているクラウドサービスも増えていますので、クラウドアーキテクチャを設計する際には、ぜひ意識してみてください。

なお、マネージドサービスと混同しやすい言葉として「フルマネージドサービス」が挙げられます。マネージドサービスは一部業務をベンダーが代行しますが、フルマネージドサービスは、ほぼ全ての業務をベンダーが代行してくれます。例えば、フルマネージドサービスでは、 24 時間 365 日の障害対応なども提供されているため、万が一の際でも安心してサービスを利用できます。

セキュリティの強化

自社のみのプライベートな環境で運用するオンプレミスとは異なり、クラウドアーキテクチャは外部・内部の境界線が存在しないネットワーク上でシステムを運用します。そのため、クラウドアーキテクチャについて考える際には、安全性の担保が重要なポイントの一つになります。クラウド環境のセキュリティを高めるためのサービス・機能は数多く存在するため、自社のセキュリティ要件に合わせて、適切なセキュリティ対策を検討してください。

また、クラウドアーキテクチャを考えるうえでは、責任共有モデルについての理解を深めることも重要なポイントです。責任共有モデルとは、クラウドサービスを利用する際に、クラウド事業者とユーザーが領域ごとに責任・役割を持ち、両者が協力しながらサービスを運用する仕組みのことです。

例えば、 AWS の場合は IAM や AWS WAF (ファイヤーウォール)、 AWS Key Management Service (データ暗号化)などを使うことでセキュリティー関係の設定が可能であり、 Google Cloud の場合は  Identity and Access Management ( IAM )や Google Cloud Armor 、 Cloud Key Management Service などを利用して設定します。

継続的な PDCA の実践

クラウドアーキテクチャは「一度構築したら終わり」ではありません。社会情勢や市場ニーズは常に変化するため、外部環境に合わせて自社のアーキテクチャを定期的に見直し、 PDCA サイクルを回し続けることが大切です。これにより、システム環境をより洗練させることができ、結果として自社のビジネス成長に繋がります。

このように、一度クラウドアーキテクチャを構築したとしても、より最適な構成・仕組みへと改良できる可能性があります。当社センティリオンシステム 大阪事業所では、アーキテクチャに関するコンサルティングやアドバイスを提供しているため、関心のある方はぜひお気軽にご連絡ください。

オートスケーリングを含む自動化の仕組み

クラウドアーキテクチャを設計する際には、自動化を組み込んで自社の業務負荷を軽減することも重要なポイントです。例えば、オートスケーリングの仕組みを整備すれば、自社の状況に応じて、システムが使用リソースを自動的に調整してくれます。このオートスケーリングは、オンプレミスで実現するのは難しい機能であるため、クラウドアーキテクチャならではのメリットだと言えるでしょう。

この他にも、

  • インフラストラクチャ
  • 継続的インテグレーション / 継続的デリバリー
  • モニタリングと自動修復

など、クラウドアーキテクチャで自動化できるポイントは数多く存在します。自動化によって業務効率化を実現することで、社員は利益に直結するような生産性の高い仕事に集中できるようになるため、積極的に自動化を実現するための仕組みを検討してください。

なお、インフラストラクチャを自動化するためには、「テラフォーム( Terraform )」が有効なソリューションの一つになります。以下の記事でテラフォーム( Terraform )について詳しく解説していますので、関心のある方はぜひご覧ください。

関連記事:テラフォーム( Terraform )とは?特徴やメリット、活用する際のポイントを一挙に解説!

昨今、様々な企業がクラウドアーキテクチャを採用し、自社のシステムを構築しています。本章では、クラウドアーキテクチャの具体的な活用事例についてご紹介します。

任天堂 株式会社

ゲームソフトやアプリケーションなどを開発・販売している任天堂では、ゲームアプリの開発インフラとしてクラウドアーキテクチャを採用しています。同社では、新しいゲームアプリのリリース向けてプロジェクトを進めていましたが、開発環境におけるデータベースに課題を抱えていました。

具体的には、

  • 大量のトラフィックが発生しても快適に遊べるスケーラビリティ
  • ユーザー体験を損なわないパフォーマンス
  • サーバーやオペレーションコストの最適化

などが挙げられます。

そして、これらの課題を解決するために、フルマネージドなクラウドサービスを活用したクラウドアーキテクチャの構築に乗り出したのです。

クラウドアーキテクチャを採用することで、自由自在にリソースを調整でき、大量のトラフィックに対しても問題なく対応できるようになりました。さらに、フェイルオーバー(サーバー・システムを冗長化するための仕組み)を活用した結果、ダウンタイム 10 秒未満という安定的なシステム稼働を実現しています。

このように、クラウドアーキテクチャを活用し、自社の生産性向上とユーザーの満足度向上をともに実現した好事例となっています。

浜松市

クラウドアーキテクチャを採用しているのは民間企業だけではありません。例えば、浜松市は、デジタル技術による持続可能な都市づくりの推進を目的とした「デジタルファースト宣言」を打ち出しており、スマートシティの実現に向けた様々な取り組みを実践しています。

具体的には、行政サービスの利便性向上と住民の満足度向上を目指して、クラウドアーキテクチャを活用したデータ連携基盤を整備しています。これにより、住民は従来の煩雑な行政手続きから解放され、あらゆる手続きがオンライン上で簡単に完結できるようになります。

さらに、他の自治体でも同様の取り組みが普及していけば、各自治体が保有するデータを相互に連携させることで、より広い範囲でのデジタル化の推進や行政サービスの利便性向上に繋がります。このように、自治体がクラウドアーキテクチャを採用している面白い事例であったため、参考までにご紹介させていただきました。

最後に、クラウドアーキテクチャを検討する際の注意点について解説します。どのような点を意識する必要があるのか、重要なポイントを理解しておきましょう。

構成によってはセキュリティが弱くなるリスクがある

前述した通り、クラウドアーキテクチャを設計する際には、セキュリティ強化の観点が重要なポイントになります。万が一、セキュリティを考慮せずにアーキテクチャを設計・構築した場合、サイバー攻撃などの標的にされてしまうリスクが存在します。

さらに、セキュリティの脆弱性から自社の機密データが外部に流出した場合、情報漏洩などのインシデントに繋がり、取り返しがつかない事態に発展する可能性もあります。そのため、クラウドアーキテクチャを検討するうえでは、セキュリティの脆弱性について十分に考慮し、安全な環境でシステムを運用できるような工夫を施すことが大切です。

クラウドの知見を持つ IT 人材(クラウドアーキテクト)が必要になる

適切なクラウドアーキテクチャを設計するためには、クラウドの知見を持つ IT 人材(クラウドアーキテクト)が必要不可欠です。なお、クラウドアーキテクトはクラウド領域におけるプロフェッショナルを意味する言葉であり、その業務内容はクラウドサービスの選定やクラウド環境の設計、導入後の管理運用など多岐にわたります。

しかし、日本ではクラウドアーキテクトをはじめとした IT 人材が慢性的に不足しており、優秀な人材を確保することは困難です。このように、人材不足が大きな課題となり、クラウドアーキテクチャの導入が進まないケースも珍しくありません。

そのため、クラウドアーキテクトの中途採用が難しい場合には、既存社員に対して教育を施し、 IT 人材化することも視野に入れて動くと良いでしょう。なお、当社では、クラウド関連のスキルアップを目的としたサポートメニューを提供しているため、関心のある方は問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

めている理由の一つだと言えるでしょう。

本記事では、クラウドを活用したアーキテクチャ設計の重要性に加えて、クラウドアーキテクチャのメリットや設計時のポイントなど、あらゆる観点から一挙にご紹介しました。

企業がクラウドアーキテクチャを導入することで、コスト削減や迅速な環境構築など、様々なメリットを享受できます。この記事を読み返して、クラウドアーキテクチャを設計する際のポイントや注意点を理解しておきましょう。

当社では、これまでの多くのクラウド開発を支援してきた知見を活かし、クラウドを活用した内製化に取り組まれるお客様を全力でサポートします。以下のような課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

  • クラウド活用を推進するための開発体制作りが進まない
  • 既存資産をどのようにクラウド移行するか検討する知見が不足している
  • 内製化するためのクラウド開発スキルを持った人材が不足している
  • コスト削減の実現方法に悩んでいる
  • SRE を実現したい
  • ランニングコストを抑えたい

貴社の状況に合わせて、体制づくり支援や開発計画支援、クラウド開発スキルアップ支援など、様々な支援メニューを提供しています。また、アーキテクチャに関するコンサルティングも提供しているため、プロの目線から実践的なアドバイスを受けることができます。

気軽に無料で相談できるため、まずは問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。

本記事を参考にして、クラウドアーキテクチャの活用を検討してみてはいかがでしょうか?