わかりやすい! Google Cloud 料金の見積もり方法を 3 ステップで解説
Google のパブリッククラウドサービスである Google Cloud 。自社で Google Cloud を活用し、業務効率化や生産性向上に繋げている方も多いのではないでしょうか?
しかし、 Google Cloud は従量課金のサービスであるため、料金の見積もり方法がわからず、コストを把握できないという声を良く耳にします。そこで本記事では、 Google Cloud 料金の見積もり方法や意識すべき重要なポイントについてわかりやすくご説明します。
Google Cloud について詳しく知りたい方は、以下の記事が参考になります。
目次
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Google Cloud の料金体系
本章では、 Google Cloud の料金体系を複数の項目に分けてご説明します。料金を見積もるうえでの前提知識として、 Google Cloud がどのような料金体系になっているのかを理解しておきましょう。
初期コスト
Google Cloud は 100 % クラウドで提供されているため、初期コストなしで利用開始できます。オンプレミスの場合、物理サーバーの設置やネットワーク回線の敷設などで数百万円の初期投資が必要になるケースも珍しくありませんが、 Google Cloud であれば気軽にサービスを使うことが可能になります。
月額コスト
Google Cloud の月額コストとしてはサービスの利用料金が該当し、使った分だけ課金される「従量課金」の料金体系が採用されています。これにより、自社の予算に合わせて使用リソースを調整できるため、使い過ぎによる高額請求の回避に繋がります。また、 Google Cloud には料金計算ツールが用意されており、事前に利用料金の目安を把握できるため、ビジネスシーンでも安心して各種サービスを利用できます。
解約金
Google Cloud では、携帯電話のような解約金の概念は存在せず、どのタイミングで契約をやめたとしても、解約金が発生することはありません。サービスを無効化することで課金もストップになるため、契約期間を気にせずに利用できる点も Google Cloud の大きな魅力の一つとなっています。
支払い方法
Google Cloud の契約方法としては、
- Google 社との直接契約
- パートナー企業との契約
の 2 種類が存在し、それぞれ選択できる支払い方法が異なります。
Google 社と直接契約を行う場合は「クレジットカード払い」の一択になりますが、パートナー企業と契約すれば「請求書払い」を選択することも可能です。そのため、自社の経理サイクルに乗せるため、請求書を発行したい場合はパートナー経由で Google Cloud を契約すると良いでしょう。
なお、当社センティリオンシステム 大阪事業所では、 Google Cloud の支払い代行サービスを取り扱っています。クレジットカード払いが難しいお客様に対して、請求書での支払い代行を提供しているため、関心のある方は問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
Google Cloud 料金の見積もり方法
Google Cloud は従量課金のサービスであるため、料金の見積もり方法がわからずに困っている方も多いのではないでしょうか?
Google Cloud の料金を見積もるためには、
- 要件を決める
- 構成図を作成する
- フェーズごとのコストについて考える
- Google Cloud 料金計算ツールを使用する
という 4 つのステップを順番に進めていく必要があります。
Google Cloud は多機能なサービスであるが故に、自社の要件に応じて使用するサービス・機能や発生コストが大きく変動します。そのため、最初に要件を明確化することが料金を見積もるための第一歩になります。
そして、要件を決めた後は構成図を作成してください。要件と同様に、構成次第で使用するサービスや料金が異なるため、 Google Cloud のコストを見積もる際には、構成図の作成も重要な要素であると言えます。
その後、フェーズごとのコストについて考慮し、どのフェーズでどのようなコストが発生するのかを整理します。これにより、 Google Cloud 活用時のコストについて、全体の流れをもとにイメージできるようになるため、料金を見積もるうえでの参考情報として役立てられます。
また、 Google Cloud では「料金計算ツール」というものが Google 公式ページ内に用意されており、対象サービスなどの情報を入力することで、おおよその発生コストを事前に把握することが可能です。最後に、この料金計算ツールを使い、具体的な料金を算出すると良いでしょう。
以上が、 Google Cloud における料金の見積もり方法です。 Google Cloud の料金を見積もりたい場合には、上記の流れで対応を進めてみてください。
ただし、要件や構成図、フェーズごとの発生コストについて考える際には、意識すべき重要なポイントがいくつか存在します。そのため、次章以降では、どのような点に注意しながら Google Cloud 料金の見積もりを進めれば良いのか、ステップごとにわかりやすく解説します。
要件を決める際のポイント
要件を決める際には、次のような項目について考える必要があります。
- 可用性
- セキュリティ
- ネットワーク
- 性能
- バックアップ運用
それでは、具体的にどのような点を意識すれば良いのでしょうか?本章では、 Google Cloud の要件を決める際に意識すべきポイントをご紹介します。
可用性
Google Cloud では、「リージョン」と「ゾーン」という 2 つの要素によってロケーション(サーバーの構築時などに指定する地域)が決定されます。リージョンは「東京」や「西アメリカ」など、それぞれが地理的に離れている特定の場所を指す言葉であり、このリージョンの中に複数のゾーンが存在します。なお、ゾーンもそれぞれが地理的に独立していますが、リージョンと比較すれば近い距離にあることを覚えておきましょう。
そして、 Google Cloud で可用性を高めるためには、複数のゾーンやリージョンを使用し、インフラ環境を設計することが求められます。つまり、可用性を高めれば高めるほど、使うリソースが増えてコストも増大するため、 Google Cloud の料金を見積もるためには、どの程度の可用性が必要なのかを事前に明確化しておくことが大切です。
セキュリティ
自社のセキュリティ要件によっては、 Google Cloud のコストが大きく変動する可能性があります。なぜなら、 Google Cloud のセキュリティを高めるためには、その要件を満たすためのリソースを構築しなければならず、その分だけコストが高くなるためです。このように、 Google Cloud の料金を見積もる際には、セキュリティ要件が重要なポイントの一つになることを覚えておきましょう。
ネットワーク
Google Cloud をはじめとしたパブリッククラウドは、クラウドから外部へ通信を行う際に課金が発生することが一般的です。そのため、大容量の動画を扱う場合など、外部に対する通信量が多いシステムを構築する際には、ネットワークの通信量を事前に把握しておく必要があります。主にコンテンツの容量やアクセス数などを考慮しながら、どの程度の通信料金が発生するのかを見積もると良いでしょう。
バックアップ運用
データのバックアップを取得するためには、ストレージサービスを利用することが一般的です。そして、多くのストレージサービスは従量課金制を採用しており、使えば使うほど料金が上がるため、どれくらいの頻度でバックアップを取るのかによって発生するコストが大きく変動します。想定外の料金が発生しないよう、保存する予定のデータ容量を算出し、バックアップ運用にかかるコストを見積もっておくことをおすすめします。
構成図を作成する際の 3 つのポイント
構成図を作成する際には、次のような項目について考える必要があります。
- ロケーション
- 利用サービス
- データフロー
それでは、具体的にどのような点を意識すれば良いのでしょうか?本章では、 Google Cloud の構成図を作成する際に意識すべきポイントをご紹介します。
ロケーション
前述した通り、 Google Cloud では「リージョン」と「ゾーン」の 2 つの要素によってロケーションが決まります。そして、 Google Cloud の料金はリージョンごとに差があるため、どのリージョン(ゾーン)をいくつ利用する予定なのかを構成図に落とし込むことが大切です。これにより、自社の Google Cloud 料金を概算で把握することが可能になります。
利用サービス
Google Cloud には様々なサービスが内包されており、サービスごとに細かく料金体系が分かれています。そのため、自社がどのサービスをどの程度の容量使う予定なのかを明確化することで、正確な見積もりを行うことが可能になります。構成図を作成する際には、 Google Cloud の全体構成を図解し、具体的なサービス名や使用容量などを明記するように意識してください。
ネットワーク
Google Cloud では、外部に向けた通信を行う際にネットワークの課金が発生します。そのため、ネットワークの構成図を作成し、どのようなデータがどこに出ていくのか、データの流れがわかるように工夫することが大切です。これにより、ネットワーク部分の課金を見落とすことなく、 Google Cloud の料金を正確に見積もることが可能になります。
フェーズごとのコストについて考える際のポイント
フェーズごとのコストについて考える際には、次のような項目を意識する必要があります。
- 開発フェーズのコスト
- 運用フェーズのコスト
それでは、具体的にどのような点を考慮すれば良いのでしょうか?本章では、 Google Cloud のフェーズごとのコストについて考える際に意識すべきポイントをご紹介します。
開発フェーズのコスト
開発フェーズのコストとは、実際にシステムをリリースする前段階で発生するコストのことです。開発段階では、サーバーの起動時間の短縮や台数の節約など、極力コストを抑えながら作業を進めることが一般的です。そのため、サーバーをはじめとしたリソースにかかる費用は、本番の 50% から 70% 程度で考えておくと良いでしょう。
運用フェーズのコスト
事前の見積もりが正確であれば、システムのリリース後は予定通りに月々の課金が発生します。そのため、運用フェーズにおいては、 Google Cloud の課金状況を監視し、想定外の高額課金が発生しないような仕組みづくりを行うことが大切です。
なお、 Google Cloud のコストを抑えるためには、
- 無料枠
- 確約利用割引
- コストを抑えるためのコンサルティング
などを活用することが有効な手段になります。
例えば、無料枠や確約利用割引を使うことで、サービスをお得に利用することが可能です。また、コンサルティングを依頼すれば、自社の状況に合わせた Google Cloud の活用方法について、専門家からアドバイスを受けられるため、コストパフォーマンスを最大化できます。
加えて、 Google Cloud のパートナー企業の中には「支払い代行サービス」を提供している会社も存在します。 Google と直接契約する場合はクレジットカードでの請求になりますが、支払い代行サービスを利用することで、請求書払いへ切り替えることも可能になります。
このように、 Google Cloud にはお得かつ便利にサービスを利用するための仕組みが多数揃っているため、状況に合わせてこれらも上手く活用すると良いでしょう。
Google Cloud の料金体系やコストを抑えるためのポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、関心のある方はあわせてご覧ください。
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料金計算ツールの使い方
最後に、 Google Cloud の料金計算ツールの使い方についてご説明します。自社で料金計算ツールを活用する際の参考になると思いますので、ぜひ内容を理解しておきましょう。
1.料金計算ツールを開く
まずは、料金計算ツールを開いてください。料金計算ツールはブラウザベースで提供されているため、スマートフォンやタブレットなどでアクセスすることも可能ですが、操作性を考えると PC 利用がおすすめの選択肢になります。
なお、 Google アカウントにログインした状態で料金計算ツールを使えば、試算結果を保存できます。そのため、料金計算ツールを利用する際には、事前に Google アカウントへログインしておきましょう。
2.サービス利用料金を試算する
料金計算ツールを開き、以下の画面が表示されたら「 Add to estimate 」をクリックします。
次に、使用するサービスの選択画面に移行します。今回は例として「 Google Compute Engine ( GCE )」を選択しますが、自社の状況に合わせて任意のサービスを選んでください。なお、画面上部の検索バーから、サービス名で検索を行うことも可能です。
サービス選択後、各種パラメータを入力する画面が表示されます。自社が想定している利用方法に合わせて、項目を埋めてください。
以下、パラメータ項目の一覧( GCE の場合)を表にまとめます。
項目名 | 意味 |
---|---|
Number of Instances | インスタンス数 |
Instance-time | インスタンスの実行時間 |
Operating System/Software | サーバーで利用する OS |
Provisioning model | インスタンスのプロビジョニングタイプ |
Machine type | マシンタイプ |
Number of vCPUs | vCPU 数 |
Boot disk type | ブートディスクタイプ |
Boot disk size (GiB) | ブートディスクタイプのサイズ |
Add sustained use discounts | 確約利用割引の適用有無 |
Add GPUs | GPU 追加 |
Local SSD | Local SSD の容量 |
Region | リージョン |
すべての入力が完了したら、画面右上の「 Add to estimate 」から別サービスを選択し、同様の流れで必要項目を埋めていきます。
なお、使用するサービスが一つのみの場合は「 Add to estimate 」をクリックする必要はありません。
3.試算結果を確認する
すべてのサービスを追加したら、シミュレーションの作成は完了です。画面右下の「 ESTIMATED COST 」で各サービスの利用料金の合計を確認してください。
上図の場合、「 Google Compute Engine ( GCE )」と「 Cloud Logging 」の 2 つのサービスを追加しており、利用料金の合計は「 24,046 円 / 月」という試算結果が出ています。なお、試算結果は CSV 形式でダウンロードできるほか、通貨単位を日本円ではなく米ドルやユーロなどに変更することも可能です。
まとめ
Google Cloud は高性能なパブリッククラウドサービスですが、従量課金制を採用しているため、正確な見積もりが難しいケースも存在します。この記事を読み返して、 Google Cloud の料金を見積もるための流れや、意識すべき重要なポイントを理解しておきましょう。
当社では、これまでの多くのクラウド開発を支援してきた知見を活かし、クラウドを活用した内製化に取り組まれるお客様を全力でサポートします。
以下のような課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
- クラウド活用を推進するための開発体制作りが進まない
- 既存資産をどのようにクラウド移行するか検討する知見が不足している
- 内製化するためのクラウド開発スキルを持った人材が不足している
- コスト削減の実現方法に悩んでいる
- SRE を実現したい
貴社の状況に合わせて、体制づくり支援や開発計画支援、クラウド開発スキルアップ支援など、様々な支援メニューを提供しています。また、今回ご紹介した「 Google Cloud 」に特化したメニューも数多く提供しています。 Google Cloud に関するスキルの底上げや平坦化を検討されている方は、ベストプラクティスセミナーやテクニカル・アドバイザリーサービス、テクニカルコンサルティングなどをご検討ください。
さらに、 Google Cloud 料金のクレジットカード払いが難しいお客様に対しては、請求書での支払い代行サービスを提供しており、コストを抑えるためのコンサルティングも対応可能です。気軽に無料で相談できるため、まずは問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。
本記事を参考にして、 Google Cloud 料金の見積もりを実施してみてはいかがでしょうか?