生成 AI 開発に Google Cloud がおすすめな 6 つの理由

生成 AI 開発に Google Cloud がおすすめな 6 つの理由

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生成 AI 開発に Google Cloud がおすすめな 6 つの理由

Google Cloud には数多くの機能が搭載されていますが、実は生成 AI の開発にも強みを持っていることをご存知でしょうか? Google Cloud を活用することで、高精度な生成 AI を効率的に開発できるようになります。

本記事では、生成 AI の概要や Google Cloud の基礎知識に加えて、生成 AI 開発に Google Cloud がおすすめな理由を 6 つピックアップしてご紹介します。生成 AI に関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

生成 AI ( Generative Artificial Intelligence )は機械学習の一分野であり、コンピュータープログラム自身がデータや情報を新しく生成する能力を有した、次世代の AI を意味する言葉です。

従来の AI は学習済みデータの中から適切な回答を探し出す役割が一般的でしたが、生成 AI は新しいデータやコンテンツを生成し、 0 から 1 を生み出せる点が大きな特徴となっています。なお、一般的には「生成 AI 」という単語が使われますが、「ジェネレーティブ AI ( Generateve AI )」という名称で呼ばれることもあります。なお、この記事では以降「生成 AI 」という呼称を使用させていただきます。

一般的な生成 AI は、膨大なトレーニングデータをもとに繰り返し学習することで、新しいデータやコンテンツを生成できるように設計されています。生成 AI の代表例としては OpenAI 社が 2022 年 11 月に公開した「 ChatGPT 」であり、これはテキストデータに基づいて、文章を自動生成できる生成 AI の一つとなっています。

また、 ChatGPT のような自然言語処理モデルに加えて、画像生成モデルも生成 AI の代表的なモデルであり、事前に学習した画像パターンなどを基にして、新しい画像を生成できます。この他にも、様々な場面で生成 AI の活用が期待されており、自社のビジネスを成長させるうえでは、生成 AI が有効な武器になると言えるでしょう。

関連記事:生成 AI ( Generative AI )とは?メリットや具体的なサービス、活用事例まで一挙に解説!

Google Cloud は Google 社が提供するパブリッククラウドであり、以前は Google Cloud Platform ( GCP )という名称で親しまれていました。全世界で圧倒的なユーザー数を誇り、様々な企業が Google Cloud を活用して自社の生産性向上を実現しています。

Google Cloud と同じ種別のサービスとしては、 Microsoft 社の Microsoft Azure や Amazon 社の AWS などが挙げられます。これらは「 3 大クラウドサービス」と呼ばれており、数あるクラウドサービスの中でも、特に有名なものとして広く認知されています。

また、 Google Cloud では、 Gmail や YouTube など、 Google の代表的なサービスと同じインフラを採用しています。そのため、盤石なシステム基盤の上に構築されており、ビジネスシーンでも安心して利用できる点が、 Google Cloud の大きな魅力となっています。

さらに、 Google Cloud はデータベースやストレージなどの各種機能に加えて、 AI や機械学習のサービスも数多く展開しています。昨今、 ChatGPT をはじめとした「生成 AI 」が大きな注目を集めていますが、 Google Cloud には生成 AI に関連するサービスも多数搭載されています。

このように、 Google Cloud には様々な機能・サービスが備わっており、これらを活用することで、自社のビジネスを大きく成長させることができます。 Google の最先端のテクノロジーをフル活用したい方は、 Google Cloud が有効な選択肢の一つになると言えるでしょう。

関連記事:Google Cloud とは?特徴や利用シーンまで、 Google のパブリッククラウドを徹底解説!

Google Cloud は、生成 AI の開発に有効活用できるサービスとなっています。本章では、生成 AI 開発に Google Cloud がおすすめな理由を 6 つピックアップしてご紹介します。

AI モデルを自由にカスタマイズ可能

Google Cloud に搭載されている「 Vertex AI 」を活用することで、自社の状況に合わせて AI モデルを自由にカスタマイズできます。また、「 Generative AI Studio 」を使えば、プログラミングの知識がなくてもモデルをチューニングすることが可能になります。

このように、柔軟かつ簡単に AI モデルをカスタマイズできる点は、 Google Cloud の大きな魅力の一つだと言えます。 AI モデルを自由自在にカスタマイズ・チューニングすることで、様々なビジネスシーンにおいて AI の新たな可能性を発見できることでしょう。

Google の高性能な AI を利用可能

Amazon 社の「 Amazon Web Services ( AWS )」や Microsoft 社の「 Microsoft Azure 」など、生成 AI を開発できるクラウドサービスは複数存在しますが、 Google Cloud は高度な AI ・機械学習の技術を採用している点が大きな特徴です。

その理由としては、 Google が保有する「 Google 検索エンジン」が挙げられます。 Google は、自社の検索エンジンによって膨大なデータセットを保有しており、これらを機械学習モデルのトレーニングに活用することで、高精度な予測・解析を実現しています。

また、 2023 年 12 月には、 Google の新しい生成 AI モデルとして「 Gemini 」がリリースされました。 Gemini はマルチモーダル(テキストや画像、動画、音声など、様々なデータを入出力できる)特性を備えた最新の生成 AI モデルであり、複数のデータ形式を扱えるように開発されています。

このように、 Google は AI ・機械学習の領域において、常に市場の最先端を進んでいます。 Google の高機能な AI を活用できる点は、 Google Cloud で生成 AI を開発する大きなメリットになると言えるでしょう。

関連記事:Google のマルチモーダル AI 「 Gemini 」とは?概要や特徴、ユースケースまで一挙に紹介!

豊富なサービス群であらゆる領域をカバー

Google Cloud には、様々な AI サービスが内包されているため、あらゆる領域で幅広く活用できる生成 AI を開発可能になります。

具体的な例としては、

  • Imagen :テキストから画像を自動生成する
  • Vertex AI Codey APIs :テキストからコードを生成する
  • Conversation AI :質問に対して自然な文章で回答を返す

など、その種類は多岐にわたります。

これらを業務の中で活用すれば、自社の課題解決や業務効率化に繋がり、結果としてビジネス拡大や生産性向上などを実現できます。

直感的なユーザーインターフェース

Google Cloud の大きな特徴として、直感的に操作できるユーザーインターフェースが挙げられます。これにより、専門知識を持たない人でも簡単に作業ができ、安心して利用することが可能になります。

どんなに高性能なツールだとしても、その機能を使いこなすことができなければ、ツールのパフォーマンスは低くなってしまいます。その点、 Google Cloud は初心者でも容易に扱えるため、導入効果を最大化しやすいサービスだと言えるでしょう。

他 Google サービスとの連携でより便利に

Google が提供しているサービスの幅は広く、 Google Workspace や Google Cloud に搭載されている各種機能など、様々なサービスを展開しています。そのため、 Google Cloud で生成 AI を開発することで、 Google の他サービスとのシームレスな連携を実現でき、自社の生産性向上に繋がります。

例えば、 Google Cloud にはデータパイプラインのサービスである「 Dataflow 」が搭載されています。そして、広告代理店などが Dataflow を活用すれば、自社のビジネス機会創出に繋げることができます。

具体的には、クリエイティブに対する反応率を構造化データとして DWH ( BigQuery )に格納し、

  • クリック率
  • インプレッション数
  • リーチ数
  • CVR (コンバージョンレート:サイト訪問者が最終成果に至った件数の割合)

などを分析することで、好反応なクリエイティブの傾向を導き出せます。さらに、その結果をもとに生成 AI で同傾向のクリエイティブを生成することも可能です。

このように、豊富なサービスを組み合わせて使い、様々なシーンにおける生産性向上を実現できる点は、生成 AI を Google Cloud で開発するメリットの一つであると言えるでしょう。

新しい AI サービスが続々と追加

Google Cloud では、新しいサービスが次々に追加されています。例えば、 2023 年 5 月に開催された「 Google I/O 2023 」では、 AI 関連の様々な新規プロダクトが発表されました。

加えて、 2023 年 8 月 の「 Generative AI Summit 」では、 PaLM 2 や Codey の日本語対応が発表され、サービスの利便性がさらに向上しました。このように、 Google Cloud は新規プロダクトの追加や機能アップデートが頻繁に行われるため、常に最先端の AI テクノロジーを自社で活用できます。

これから生成AIを活用する企業様向け資料

Google Cloud の生成AIサービスはますます多様化しており、何を使えば何が実現できるのかを全て理解することは容易ではありません。まず Google Cloud の生成AIサービスの全体像を俯瞰し各サービスの特徴を説明したのち、生成AIの代表的な活用ユースケースに適したサービスを紹介します。

次に、 Google Cloud を活用した生成 AI の開発例をご紹介します。具体的にどのようなシーンで役立つのか、内容を詳しく見ていきましょう。

コンテンツ検索

Google Cloud で生成 AI を開発することで、コンテンツ検索の機能を実装可能になります。例えば、メディア運営会社が Generative AI App Builder を使えば、機械学習に関する専門知識がなくても、検索用のアプリケーションやチャットボットなどを手間なく生成できます。これにより、利用者は自身が求めている動画・音楽などをすぐに発見できるようになり、顧客満足度の向上に直結します。

高精度な情報抽出

Google Cloud の Vertex AI Search を活用することで、様々なシーンにおける情報抽出を効率化できます。例えば、企業の財務レポートや研究論文など、膨大なテキスト情報をもとに分析を行い、有益なインサイト(洞察)を抽出することが可能です。従来、これらの作業は人間が手動で実施していましたが、生成 AI の活用により大幅な工数削減と精度向上が期待できます。

商品カタログの作成

Google Cloud には、画像の検索・照合を行うための機能が数多く搭載されており、

  • Vision AI :画像の認識
  • Vertex AI Embeddings :類似コンテンツのマッチング
  • Vertex AI Matching Engine :コンテンツの保存・分類

など、様々なサービスが存在します。

これらを EC サイトで活用すれば、画像を用いた適切な商品説明やカテゴリ分けを行うことが可能になります。その結果、サイト利用者は快適にオンラインショッピングを楽しめるようになり、顧客満足度の向上やリピート率の改善に大きく寄与します。

クリエイティブコンテンツの作成

クリエイティブコンテンツの創出は、生成 AI の代表的な活用例の一つです。 Google Cloud の Generative AI Studio を使えば、テキストから新しい画像やコンテンツを生み出すことができるため、 Web 広告やメルマガなど、様々なビジネスシーンで活用できる高精度な画像・コンテンツを手間なく作成することが可能になります。

カスタマーサービスの生産性向上

Google Cloud の Conversation AI や Contact Center AI などを活用すれば、カスタマーサービスにおける生産性向上を実現できます。従来の AI のような機械的な返答ではなく、自然な文章で質問内容に対する回答を返すことができ、顧客満足度の向上にも寄与します。加えて、これまでカスタマーサービスに従事していた社員の人件費削減にも直結するため、 AI を活用する企業の目線では、様々なメリットを享受できると言えるでしょう。

エンジニアの生産性向上

Google Cloud の生成 AI は、エンジニアの生産性向上にも大きく役立ちます。例えば、 Codey という基盤モデルを使えば、自然言語(テキスト)を入力するだけで、その内容にマッチしたプログラミングコードを自動的に生成してくれます。そのため、エンジニアの工数削減や生産性向上に繋がることはもちろん、スキルの平準化を実現するうえでも有効に活用できます。

最後に、 Google Cloud で生成 AI を開発する際の注意点について解説します。自社で実践する時の参考になると思いますので、ぜひ内容を理解しておきましょう。

生成 AI の利用目的を明確化する

生成 AI の種類は多岐にわたるため、闇雲に「生成 AI を開発すれば何でも OK 」というわけではありません。まずは生成 AI の利用目的を明確化し、どのようなシーンでどのように活用するのかを具体的にイメージすることが大切です。生成 AI の開発自体が目的化してしまうと、思うような効果を得ることは難しいため、この点には十分に注意してください。

適切な AI サービスを選ぶ

前述した通り、 Google Cloud には多種多様な AI サービスが数多く揃っています。そのため、自社の状況に合わせて最適なサービスを選択・活用することが重要なポイントになります。例えば、チャットボット作成なら Conversation AI 、画像生成なら Imagen など、各サービスの違いや特徴を理解し、適切なものを選んでください。

関連記事:こんなにあるの? Google Cloud の生成 AI サービス 9 選を一挙にご紹介!

機密情報の取り扱いに注意する

生成 AI に自社の機密情報を読み込ませることも珍しくありませんが、万が一、その情報が漏洩した場合、取り返しのつかない事態に陥るリスクがあります。そのため、生成 AI を開発する際には、自社の機密情報を保護するための盤石なセキュリティを構築することが必要不可欠です。

その点、 Google Cloud はセキュリティ面も万全であり、

  • 複数の第三者認証を取得
  • 保管されているコンテンツの暗号化
  • 独自のセキュリティ基準を設定・公開
  • データセンターにおける物理的な多層防御

など、多くの観点からデータを保護するための工夫が施されています。このように、 Google Cloud であれば、常に安全な環境で生成 AI を開発することが可能になります。

権利関係を侵害しないように注意する

生成 AI はとても便利なツールですが、権利関係の侵害には注意しなければいけません。特に商用画像や広告素材などを作成する際には、著作権や商標権、意匠権、肖像権、パブリシティ権、プライバシーなどの法的権利を侵害していないか、細心の注意を払ってください。

また、最近では日本政府も AI から知的財産を守るための法的措置を検討しており、内閣府の有識者会議である「 AI 時代の知的財産権検討会」がまとめる中間報告について、日本政府は知的財産推進計画に反映させる方針を示しています。そのため、 AI の利用者は常に権利関係を念頭に置き、適正に AI を活用することが求められます。

本記事では、生成 AI の概要や Google Cloud の基礎知識に加えて、生成 AI 開発に Google Cloud がおすすめな理由を 6 つピックアップしてご紹介しました。

Google Cloud で生成 AI を開発することで、 AI モデルの自由なカスタマイズや他 Google サービスとの連携など、様々なメリットを享受できます。この記事を読み返して、具体的な利用シーンや開発時の注意点など、重要なポイントを理解しておきましょう。

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