昨今のデジタル技術の急速な発展に伴い、企業が保有するデータ量は増加し、その種類も多様化しています。そして、自社のビジネスを成長させるためには、様々なデータを分析・活用し、自社の課題特定や具体的なアクション検討に役立てる必要があります。
本記事では、データ分析の概要やメリット、成功させるためのポイントなどに加えて、具体的な始め方を 7 つのステップに分けて解説します。データ活用に関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
データ分析とは?
データ分析とは、自社が保有する様々なデータを多角的に分析し、有益なインサイト(洞察)を抽出することで、課題発見や運用改善などに繋げるための取り組みです。
一般的なデータは数字や文字の羅列であり、その情報だけでは意味を為しません。そのため、データ分析を行う上では、分析結果を分かりやすい形で見える化し、その情報をもとに具体的なアクションへ落とし込むことが重要なポイントになります。
昨今、デジタル技術の急速な発展に伴い、企業が保有するデータ量は爆発的に増加しました。これに伴い、自社のビジネスを成長させるためには、膨大なデータを分析し、その結果を今後の経営判断や意思決定に反映することが強く求められています。
また、一口に「データ分析」とは言っても、その手法は多岐にわたります。
代表的な分析手法としては、
- ABC 分析:自社商品を 3 つのランクに分けてデータを分析
- クロス集計分析:異なるカテゴリや変数の組み合わせにおけるデータの分布を分析
- アトリビューション分析:成果に対する各イベントの貢献度を見える化
などが挙げられます。
上記にピックアップした以外にも様々なデータ分析手法が存在し、それぞれ特徴やメリットは大きく異なります。そのため、自社の目的や取り扱うデータの種類に応じて、最適な分析手法を選択することが大切です。
具体的なデータ分析手法に関しては、以下の記事が参考になります。
関連記事:こんなにあるの?代表的なデータ分析の手法 10 選を一挙にご紹介!
データ分析のメリット
企業がデータ分析を行うことで、具体的にどのようなメリットを享受できるのでしょうか?本章では、データ分析の代表的なメリットについてご説明します。
なお、データ分析で得られる恩恵・メリットは、企業の業種業態によって異なります。そのため、ここで解説するメリットに関しては、あくまでも一般的な内容としてご理解いただければと思います。
自社の現状を把握できる
データ分析を行うことで、自社の強みや課題などを見える化でき、客観的な情報に基づいた現状把握が可能になります。これにより、自社が目指すべき方向性やアクションが明確になり、ビジネスをさらに成長させるための具体的な打ち手を検討できます。
データドリブンな意思決定を実現できる
従来の日本企業では、役職者や有識者の勘・経験によって意思決定を行うことが一般的でした。しかし、人による判断は常に正しいとは限らず、時には誤った意思決定を行ってしまうリスクがあります。その点、データ分析は客観的なデータをもとに判断を行うため、事実に基づいたデータドリブンな意思決定を実現できます。
市場トレンドを理解できる
自社のビジネスを成功に導くためには、消費者ニーズや市場動向など、外的要因に目を向けることも重要なポイントになります。膨大なデータを多角的に分析すれば、客観的な情報に基づいた状況把握が可能になるため、市場トレンドを理解した上で有効な打ち手を検討することができます。
データ分析における代表的な課題
昨今、多くの企業がデータ分析に取り組んでいますが、中にはプロジェクトが思うように進まないケースも存在します。本章では、データ分析における代表的な課題についてご説明します。
目的が明確化されていない
目的が明確化されていないことは、データ分析における大きな課題の一つです。データ分析はそれ自体が目的ではなく、何かを達成するための手段に過ぎません。そのため、まずは「何のためにデータ分析を行うのか」を明確化し、ゴールから逆算して分析作業を進めていくことが大切です。
データが蓄積・整理されていない
分析作業の基となるデータが蓄積・整理されていない場合、データ分析を効率的に進めることは困難です。まずは目的遂行のためにどのようなデータが必要なのかを検討し、それらを収集することがデータ分析の第一歩になります。
そして、一定量のデータを蓄積した後は、好きなタイミングで取り出せるようにデータを整理します。データウェアハウス( DWH )などの IT ツールを活用することで、効率的にデータを保管・整理できるため、ぜひ導入を検討してみてください。
データ量が多すぎる
データ量が多すぎる場合、本当に必要なデータがどれなのかを判断できず、分析作業が失敗に終わってしまう可能性が高くなります。また、不要なデータを保管することで、無駄なストレージ容量を使ってしまい、自社の IT コストの圧迫にも繋がります。そのため、データ分析を進める際には、データに優先順位を付けながら、情報の取捨選択を行うことが重要なポイントになります。
データが統合されていない
多くの企業では、複数のシステムを並行利用しているケースが一般的ですが、各システムのデータが統合されていない場合、データ分析を効率的に進めることは難しいと言えるでしょう。異なるソースのデータを使いやすい状態に統合することで、統一された価値の高い情報を得られるため、データを収集・整理する際には、データの統合もセットで考えてください。
IT 人材が不足している
データ分析では、膨大なデータを多角的に分析し、その結果をもとに有益な情報を抽出します。そのため、完全初心者がデータ分析を行うことは難しく、データに関する知識・経験を有した IT 人材が必要不可欠です。
しかし、日本では慢性的な IT 人材不足が続いており、優秀な IT 人材を確保することは容易ではありません。そのため、採用広告などの求人施策に加えて、既存社員へ教育を施し、 IT 人材化することも視野に入れて動くことをおすすめします。
データ分析の始め方を 7 ステップで解説!
ここまで、データ分析について詳しく解説してきましたが、具体的にどのような流れで分析作業を進めれば良いのでしょうか?
本章では、データ分析の始め方を 7 つのステップに分けて、わかりやすくご説明します。
Step.1 目的の明確化
前述した通り、データ分析はそれ自体が目的ではなく、何かを達成するための手段に過ぎません。そのため、まずは自社の目的やゴールを決めて、何のためにデータ分析を行うのかを明確化してください。目的が不明瞭な状態では、データ分析の効果は薄れてしまうため、時間をかけて慎重に検討することが大切です。
Step.2 データ要件の特定
目的を明確化した後は、設定したゴールから逆算して具体的なデータ要件を特定します。自社の目的を遂行するためには、どのようなデータが必要なのかを洗い出し、収集するデータを特定しましょう。この時、各データがどのシステムに格納されているのかを整理しておくことで、以降の作業を円滑に進めることが可能になります。
Step.3 データの収集
データ要件を特定したら、実際にそのデータを収集します。基本的には、社内システムから必要なデータを取り出すケースが一般的ですが、場合によっては社外ソース(外部 Web サイトなど)からデータを収集することもあるかもしれません。このように、データ分析を進めるための情報を一元的に集めて、すぐに取り出せる形で保管してください。
Step.4 分析手法の決定
データ収集が完了したら、次は分析手法を決定します。データ分析には様々な手法が存在するため、自社の目的や取り扱うデータの種類に応じて、どの分析手法を使うのかを慎重に検討してください。
例えば、自社サービスについて分析したい場合は ABC 分析が有効ですし、将来予測を行いたい場合はロジスティック回帰分析が効果的です。記事の前半でデータの分析手法に関する参考記事を載せていますので、関心のある方はあわせてご覧ください。
Step.5 データの整形
データの整形とは、データのクレンジングや名寄せを行うことであり、データの誤記や未入力・重複などの不備を修正し、データの正確性を高めるための作業を意味しています。データの品質は、データ分析の精度を左右する重要な要素であるため、データの整形は非常に大切なプロセスの一つであると言えます。
Step.6 データの分析
データ整形が完了したら、いよいよデータ分析のステップに移ります。収集・整形したデータを基にして、あらゆる角度から慎重に分析作業を進めてください。
なお、同じデータを対象とした分析でも、分析の観点や見方を少し変えるだけで、新しい発見があることも珍しくありません。そのため、多角的にデータ分析を行い、その結果を分かりやすく見える化することが重要なポイントになります。
Step.7 アクションの検討
データ分析は「分析して終わり」ではなく、その分析結果を基に具体的なアクションを打ち出してこそ価値が生まれます。データ分析の結果を踏まえて、自社の課題改善や生産性向上に向けた新たな取り組みを検討し、そのアクションを実行に移してください。
また、データ分析は継続的に PDCA サイクルを回すことが大切です。一度データ分析を行ったからと言って安心するのではなく、常に最新の情報を使って定期的にデータ分析を行い、その結果をアクションに反映し続けることで、データ分析の効果を最大化できます。
データ分析を成功させるためのポイント
データ分析を成功へ導くためには、いくつか意識すべき点が存在します。本章では、データ分析を成功させるためのポイントについて解説します。
全社的に取り組む
データ分析は属人的に進めるものではなく、組織全体で取り組むべき大規模なプロジェクトです。そのため、社員全員の協力体制のもと、一枚岩でデータ分析に取り組んでください。
このような状態を作るためには、社員向けにデータ分析の必要性やメリットなどを事前に説明することが大切です。また、経営層を巻き込んでプロジェクトを進めれば、 IT 予算を確保しやすくなるなど、様々なメリットを享受できます。
データ管理と品質の確保
データ分析の精度は、データの品質に大きく左右されます。そのため、データを適切に管理し、一定の品質を確保することは、データ分析において必要不可欠な要素だと言えます。
データを適切に管理するための仕組みを構築し、必要なデータを任意のタイミングで取り出せるような環境整備を行ってください。また、データの取り扱いに関する運用ルールを定めることで、データ品質の担保に繋がります。
スモールスタートで始める
データ分析では、膨大なデータを取り扱うことが一般的であり、複数のデータ分析を同時並行的にすべて行った場合、失敗してしまうリスクが高まります。そのため、スモールスタートで始めることが、データ分析を成功させるための重要なポイントの一つになります。
まずは、自社の状況に応じてデータ分析に優先順位を付けて、短時間で完了できそうなものや至急対応が必要なものなどを優先的に作業してください。そして、小さな単位でデータ分析の成功体験を重ねた後、範囲を拡大して本格的なデータ分析へ移行していきましょう。
IT ツールを導入する
膨大なデータを手動で分析するのは困難であるため、 IT ツールを導入して作業を効率化することが一般的です。
データ分析に利用できるツールの代表例としては、
- データレイク
- データマート
- データウェアハウス
- BI ツール
などが挙げられます。
IT ツールの導入にはコストを伴いますが、得られる恩恵は非常に大きいため、必要投資だと捉えて、前向きにツール導入を検討してみてください。
まとめ
本記事では、データ分析の概要やメリット、成功させるためのポイントなどに加えて、具体的な始め方を 7 つのステップに分けて解説しました。
企業がデータ分析を行うことで、自社の現状把握やデータドリブンな意思決定の実現など、様々なメリットを享受できます。この記事を読み返して、成功させるためのポイントや具体的な始め方を理解しておきましょう。
また、自社だけでデータ分析を進めるのが不安な場合は、第三者へ依頼することも有効な選択肢になります。専門家へ依頼することで、データ分析を円滑に進められることはもちろん、分析結果の精度を向上させることが可能になります。
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本記事を参考にして、データ分析への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?