Gemini とは?概要や特徴、ユースケースまで一挙に紹介!

Gemini とは?概要や特徴、ユースケースまで一挙に紹介!

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Gemini とは?概要や特徴、ユースケースまで一挙に紹介!

Gemini という言葉をご存知でしょうか? Google が提供するマルチモーダル AI であり、様々な特徴・メリットを有した人工知能( AI )となっています。

本記事では、 Gemini の概要や特徴、ユースケース、料金体系など、あらゆる観点から一挙に解説します。生成 AI について関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

Gemini について解説する前に、まずは「マルチモーダル AI 」という言葉を理解しておきましょう。

マルチモーダル AI とは、画像や音声、テキストなど、複数の情報源から様々なデータを収集し、それらをまとめて取り扱うことができる人工知能( AI )のことです。従来の AI はファイルの種類ごとに処理を行うことが一般的でしたが、マルチモーダル AI の登場により、異なる種類のファイルを一元的に処理できるようになりました。

例えば、これまでの防犯カメラは映像を記録するのみでしたが、マルチモーダル AI を防犯カメラに活用すれば、映像と同時に音声の録音・処理を行うことが可能になります。これにより、映像・音声という 2 つの情報を組み合わせた判断ができるため、防犯カメラの防犯性の向上に繋がります。

このように、マルチモーダル AI は数多くの場面で活用されており、これまでは困難であったことを実現可能にしています。 AI が一般的なものとして普及した現代において、マルチモーダル AI は大きな注目を集める存在となっていることを覚えておきましょう。

また、 ChatGPT のような自然言語処理モデルに加えて、画像生成モデルも生成 AI の代表的なモデルであり、事前に学習した画像パターンなどを基にして、新しい画像を生成できます。この他にも、様々な場面で生成 AI の活用が期待されており、自社のビジネスを成長させるうえでは、生成 AI が有効な武器になると言えるでしょう。

マルチモーダル AI の基本を理解したところで、次は Gemini の概要について解説します。

Gemini (読み方:ジェミニ)とは、 2023 年 12 月に Google が発表した生成 AI モデルであり、生成 AI における最先端のモデルとして注目を集めています。なお、 Google の対話型 AI サービスである「 Bard 」が Gemini へ統合されるなど、 Gemini を起点としたサービスの統廃合も進んでいます。

Gemini はマルチモーダル AI として提供されている点が大きな特徴であり、

  • テキスト
  • 音声
  • 画像

など、異なる形式のファイルを一元的に処理することが可能です。

詳しくは後述しますが、 Gemini は「マルチモーダル AI である」という点以外にも様々なメリットを有した AI モデルであり、様々なシーンで幅広く活用されています。企業が AI を活用し、自社の生産性向上を実現するためには、 Gemini が心強い武器の一つになると言えるでしょう。

一口に Gemini と言っても、その種類は多岐にわたります。本章では、 Gemini の代表的な 3 つのモデルについてわかりやすく解説します。

Gemini Nano

Gemini Nano は、 Gemini の中で最も気軽に利用できるモデルであり、スマートフォン(特に Google Pixel 8 )での使用を想定して設計されています。外部サーバーへ接続することなく、音声データをもとにしたテキスト要約やチャットアプリの返信内容の構築などを実行でき、 AI を活用した業務効率化に大きく寄与します。専門知識を持たない人が初めて Gemini を利用する場合には、 Gemini Nano が有力な選択肢になると言えるでしょう。

Gemini Pro

Gemini Pro は、幅広いシーンで活用できる Gemini のスタンダードモデルであり、複雑なクエリの理解や応答時間の短縮など、様々なメリットを享受できます。また、 2023 年 12 月に Vertex AI や Google AI Studio などの AI サービスについて、 Gemini API を介する利用が可能になった点も特筆すべきポイントだと言えます。

Gemini Ultra

Gemini Ultra は、あらゆるタスクに対応可能な Gemini の最上級モデルであり、テキストや音声、動画、プログラミングコードなど、様々なデータを瞬時に理解し、その内容に合わせた反応を即座に返してくれます。 Google の最先端の AI をフル活用したい場合には、 Gemini Ultra を選択肢に加えるとよいでしょう。

本章では、 Gemini の代表的な特徴について解説します。どのような特徴を持っているのか、具体的な内容を理解しておきましょう。

大規模な事前学習済みモデル

Gemini の特徴として、大規模な事前学習済みモデルを搭載している点が挙げられます。本来、 AI を活用するためには、モデルを自社で構築する必要がありますが、事前学習済みモデルを使えば、誰でも簡単に AI 活用をスタートできます。このように、専門知識を持たない初心者が AI を活用する場合、 Gemini が有力な選択肢になると言えるでしょう。

ネイティブマルチモーダル

前述した通り、 Gemini はマルチモーダル AI の一種であり、ネイティブマルチモーダルが大きな特徴の AI モデルです。テキストや音声、画像など、異なる種類のデータを一元的に処理できるため、あらゆる情報を Gemini にインプットし、それらを理解して適切な回答を返すことが可能です。そのため、 Gemini は様々なシーンでの活躍が期待されており、実際に多くの企業が Gemini を活用して、自社の業務効率化や生産性向上に繋げています。

高精度な推論能力

Gemini は数ある AI モデルの中でも、高精度な推論能力が大きな特徴となっています。膨大かつ複雑な情報を Gemini に読み込ませることで、インプットデータ(テキスト・画像など)を迅速に理解できるため、長文テキストの内容を要約したり、複数画像から特徴を抽出したりすることが可能になります。

高品質なコード生成

Gemini はテキストや画像、音声だけではなく、コード生成の領域でも有効に活用できる AI モデルです。例えば、 C++ や Go 、 Java など、様々なプログラミング言語を学習しているため、あらゆる言語のコードを生成することが可能です。そのため、 Gemini はエンジニアや開発者の目線でも実用性の高い AI モデルであると言えるでしょう。

Gemini が多くの注目を集めている理由の一つとして、技術的な背景が挙げられます。本章では、 Gemini にどのような技術が採用されているのか、その具体的な内容について解説します。

Transformer アーキテクチャの発展系

Transformer アーキテクチャとは、エンコーダとデコーダを Attention モデルで繋ぐネットワークアーキテクチャであり、従来の機械学習モデルと比較して、 AI の学習時間を大幅に短縮できる仕組みです。 Gemini は、この Transformer アーキテクチャを発展させる形で生み出された AI モデルであるため、短時間の機械学習のみで高速かつ高精度な処理を実現しています。

マルチモーダル学習の適用

マルチモーダル学習とは、異なる種類のデータを AI にインプットし、それらを統合的に処理できるようにする深層学習の手法の一つです。例えば、従来の機械学習では、 AI に「猫」を学習させる際、猫の視覚情報(画像)のみを使っていましたが、マルチモーダル学習では聴覚情報や嗅覚情報なども組み合わせて学習させることで、 AI がより人間に近い判断を行うことが可能になります。

昨今、生成 AI が大きな注目を集めており、市場には Gemini 以外にも様々な生成 AI サービスが存在します。本章では、 Gemini とほかの生成 AI サービスとの比較について解説します。

OpenAI の ChatGPT や DALL-E との比較

生成 AI と言えば、 OpenAI 社の ChatGPT や DALL-E などのモデルを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? Gemini と OpenAI 社の AI モデルは、業務効率化やアイデア創出などを行える点は共通していますが、実は明確に異なる部分があります。

前述した通り、 Gemini はネイティブマルチモーダルである点が大きな特徴ですが、 OpenAI 社が提供する AI モデルはネイティブマルチモーダル AI としての設計はされていません。例えば、 ChatGPT は テキスト生成、 DALL-E は画像生成といったように、特定の領域において強みを持つサービスです。

ChatGPT や DALL-E でマルチモーダルを実現することも可能ですが、その場合は ChatGPT と  DALL-E を連携させるなど、複数の AI モデルを組み合わせて使う必要があります。その点、 Gemini はネイティブマルチモーダル AI として構築されているため、異なる種類のデータをシームレスにやり取りできます。

Stable Diffusion などのオープンソースモデルとの比較

市場には様々な画像生成  AI が存在し、その中でも有名なサービスの一つがオープンソースモデルとして提供されている Stable Diffusion が挙げられます。

Stable Diffusion の特徴としては「潜在拡散モデル」を採用している点であり、これは低解像度のノイズの状態から、徐々に高解像度の画像を生成していく仕組みです。潜在拡散モデルはプロンプトで指示したテキストの意味を画像に反映するように学習されているため、利用者の意図を汲んだリアリティのある画像を生成できる点が大きな強みです。

その点、 Gemini は事前にインプットされた膨大な画像データをもとにして、プロンプトの指示に沿った画像を自動生成してくれます。そのため、時間や手間をかけずに高品質な画像を生成したいのであれば、 Gemini が有効な選択肢になります。

Gemini の強みと独自性

ここまで解説した通り、 Gemini は様々な強みや独自性を有する  AI モデルです。 Google の最新データをもとに AI を動かすことができ、時間をかけずに高精度な回答を返すことが可能です。

また、 Gemini はテキストや音声、画像など、異なる種類のデータを用いてマルチモーダルな事前学習が施されているだけではなく、追加のマルチモーダル情報を使ってファインチューニングを実施しています。

さらに、 Google ドキュメントや Google スプレッドシート、 Google Maps など、他の Google サービスとシームレスに連携できる点も、 Google の  AI モデルならではの特徴だと言えます。

このように、 Gemini を活用することで、ユーザーは数多くのメリットを享受できます。自社の業務効率化や生産性向上を実現するうえでは、 Gemini が心強い味方になることでしょう。

高性能な生成 AI と聞くと、「使うのが難しそう」という印象を抱く方も多いかもしれません。しかし、 Gemini は以下 3 つのステップを踏むだけで簡単に利用開始できます。

  1. Gemini へのアクセス
  2. 利用規約への同意
  3. プロンプトの入力

以下、それぞれの手順について図解つきで解説します。なお、本章で掲載している画像は Google 公式サイトの Gemini ページを参照元としています。

1.Gemini へのアクセス

まずは、こちらのリンクから Gemini へアクセスします。下図赤枠の「 Gemini と話そう」をクリックして次へ進んでください。なお、 Gemini はブラウザベースでアクセスできるため、 PC はもちろんのこと、スマートフォンやタブレットから接続することも可能です。

2.利用規約への同意

Gemini を利用するためには、利用規約に同意する必要があります。「利用規約とプライバシー」の画面が表示されたら、規約内容を確認したうえで右下の「同意する」をクリックしてください。利用規約ページを開いた時点では、右下のボタンは「詳細」という表記になっていますが、利用規約の全文をスクロールして読むと「同意する」というボタンに切り替わり、次へ進めるようになります。

3.プロンプトの入力

利用規約に同意すると、実際に Gemini を利用できるようになります。画面下部の赤枠の部分にプロンプトを入力することで、 Gemini がその内容を理解し、適切なアウトプットを返してくれます。

一例として、「柴犬について説明してください」というプロンプトを入力します。すると、以下のように柴犬に関する情報をわかりやすくまとめて返してくれます。

また、「柴犬の画像を出してください」というプロンプトを入力すれば、 Gemini の画面上で柴犬に該当する犬の画像を複数提示してくれます。さらに、画像の参照元リンクをあわせて表示してくれるため、権利関係の侵害についても考慮しやすくなります。

このように、 Gemini は直感的に操作できることをご理解いただけたのではないでしょうか?誰でも簡単に扱えるからこそ、 Gemini は様々な企業から多くの支持を集めていると言えるでしょう。

ここまで、 Gemini について詳しく解説してきましたが、具体的にどのような場面で活用されているのでしょうか?本章では、 Gemini の代表的なユースケースをご紹介します。

資料・画像の内容をテキスト化する

Gemini を活用すれば、資料・画像の内容をテキスト化することが可能です。対象となる資料や画像を Gemini に読み込ませ、プロンプトで「内容を説明してください」と指示するだけで簡単に完了します。さらに、資料に記載されていない関連情報も付加してくれるため、人間が内容を理解するのに大きく役立ちます。

手書きメモを要約・解説する

Gemini はテキストを要約できるのはもちろんのこと、手書きメモの要約・解説を行うことも可能です。手書きで書かれているメモの中身を AI が解析し、その内容をまとめたり説明したりすることができます。例えば、受電時や商談時のメモを Gemini で要約したり、取得した手書きアンケートを集計したりするなど、様々なビジネスシーンで便利に使えます。

商談・会議の録音データから議事録を作成する

Gemini はテキストだけではなく、音声に関する処理にも対応しています。例えば、商談・会議の録音データを Gemini にインプットし、「議事録を作成してください」とプロンプトを入力することで、長時間にわたる録音データを瞬時に理解して議事録を作成してくれます。そのため、人間による文字起こしなどの作業が不要となり、大幅な業務効率化に繋がります。

見たい YouTube 動画を自動検索する

Gemini を使うことで、自身が見たい YouTube 動画を自動検索してくれます。例えば、プロンプトで「柴犬の癒される動画を探してください」と指示すれば、その内容に該当する動画リストを自動的に生成します。このように、 Gemini は情報検索においても有効に活用できることを覚えておいてください。

AI から音声でアドバイスをもらう

2024 年 4 月現在、 Gemini は音声入力にしか対応していませんが、 Google は人間と AI が対話している世界観のデモ動画を公開しています。例えば、料理の画像を Gemini に読み込ませて、そのレシピの作り方を音声で質問すれば、 AI が適切な回答を音声で返すような使い方が考えられます。これが実現すれば、料理教室と同じような体験を AI で実現でき、作業の効率化やミスの回避に直結するでしょう。

プログラミングコードを自動生成する

Gemini はテキストや画像だけではなく、プログラミングコードを自動生成することも可能です。従来、コードはシステム担当者やエンジニアが独自に構築していましたが、 Gemini を使えば大幅な業務効率化に繋がります。また、 1 つのリクエストに対して複数のコードを生成・提案してくれるため、好みや状況に合わせて、任意のものを選択できる点も嬉しいポイントです。

最後に、 Gemini の料金体系について解説します。

2024 年 4 月時点では、 Gemini は無料で利用できます。 Google アカウントを持っている方であれば、回数制限なしで自由自在に Gemini を使うことが可能です。

ただし、 Gemini Ultra を使いたい場合や複雑なタスクを処理したい場合など、 Gemini の機能をフル活用したいのであれば、有料プランである「 Gemini Advanced 」を契約する必要があります。 Gemini Advanced の利用料金は「月額 2,900 円」となっているため、自社の目的・状況に合わせて、無料版 Gemini と Gemini Advanced を使い分けてください。

なお、 開発者向けに提供されている「 Gemini API 」を利用し、 Gemini Pro を使う場合には、独自の料金体系が適用されます。どれくらいの料金が発生するのか、事前にコストシミュレーションを行い、費用を把握しておくとよいでしょう。

本記事では、 Gemini の概要や特徴、ユースケース、料金体系など、あらゆる観点から一挙に解説しました。

企業が Gemini を活用することで、高精度な推論や高品質なコード生成など、様々なメリットを享受できます。この記事を読み返して、 Gemini の特徴やユースケースといった重要なポイントを理解しておきましょう。

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