DX 内製化に必要な事前準備とは?具体的な進め方を 7 ステップで解説!

DX 内製化に必要な事前準備とは?具体的な進め方を 7 ステップで解説!

DX内製化技術ブログ

DX 内製化に必要な事前準備とは?具体的な進め方を 7 ステップで解説!

自社のビジネス成長を実現するためには、デジタルトランスフォーメーション(以下 DX と記載)が重要なポイントの一つになります。そして、最近では DX を自社だけで完結させる「 DX 内製化」に取り組む企業も珍しくありません。

本記事では、 DX 内製化に必要な事前準備や具体的な進め方など、あらゆる観点から一挙に解説します。自社で DX 内製化を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

なお、 DX に関心のある方は以下の記事が参考になります。

DX (デジタルトランスフォーメーション)はもう常識?!あらためてDXをわかりやすく解説するうえ、成功させるためのポイントや成功事例までをご紹介!

まずは、「 DX の内製化」という言葉の意味について理解しておきましょう。

DX の内製化とは、システムの開発・運用などを外部へ委託せず、自社のリソースだけで DX を実現することを意味します。

DX は組織全体で取り組む大規模なプロジェクトであり、様々な IT システムやデジタル技術を活用して、自社の生産性向上やビジネスモデルの変革などを目指します。そのため、自社の工数を削減する目的で、システムの開発・運用などを外部企業へ委託するケースも珍しくありません。

しかし、外部委託を行うためには、当然ながら委託コストが発生します。また、作業を外部へ任せることは自社の工数削減に繋がりますが、その一方で、知識・ノウハウを自社に蓄積できないというデメリットが存在します。

このような背景から、 DX の内製化に舵を切る企業は一定数存在します。内製化を行うことで、コスト削減やノウハウ蓄積などを実現できるため、そのメリットは大きいと言えるでしょう。

内製化に関しては以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:システム内製化とは?失敗要因や成功させるためのポイントを徹底解説!
関連記事:システム内製化のメリット・デメリットとは?実現するためのポイントを紹介!

昨今、多くの企業が DX 内製化に向けて舵を切っていますが、思うようにプロジェクトが進まないケースも珍しくありません。本章では、企業の DX 内製化を阻む要因について解説します。

DX 人材が不足している

DX 人材とは、 DX を推進するためのスキルを有した人材のことであり、

  • 能動性
  • プロジェクトマネジメント力
  • 革新的なアイデア性
  • IT ツールの利用スキル
  • データ活用のスキル

など、 DX 人材には様々なスキルが求められます。

しかし、これらのスキルを保持している優秀な人材を確保することは困難であり、 DX 人材の不足が企業の DX 内製化を阻む要因の一つになっていると言えるでしょう。

DX の目的・方向性が定まっていない

DX はそれ自体が目的ではなく、何かを実現するための手段に過ぎません。しかし、 DX の目的や方向性が定まっていない状態で DX に着手してしまう企業は一定数存在し、この場合、プロジェクトが思うように進まない可能性が高まります。このように、 DX の目標設定や方針が不明瞭であるが故に、企業の DX 内製化が停滞してしまうケースは珍しくありません。

社内関係者からの協力が得られない

DX および DX 内製化は属人的な取り組みではなく、組織全体で推進すべき大規模なプロジェクトです。そのため、社内関係者からの協力が得られない場合、 DX 内製化を円滑に進めることは困難だと言えます。 DX 内製化のメリットや効果を関係者へ説明し、プロジェクトを促進するための環境整備に努めてください。

ここまで、企業の DX 内製化を阻む要因についてご説明しましたが、具体的にどのような準備を行えば良いのでしょうか?本章では、 DX 内製化に必要な事前準備について解説します。

DX 人材の確保

DX 内製化を行う際には、はじめに十分な DX 人材を確保してください。積極的に DX 人材の採用を行うことはもちろん、社内で人材育成プログラムを検討するなど、多角的なアプローチで人材確保に取り組むことが大切です。

なお、自社だけで DX 人材を教育することが難しい場合は、第三者へ研修を依頼することも有効な選択肢になります。短期間でのスキルアップを目指せますし、そのノウハウを自社内に蓄積できるため、組織全体のスキルの底上げにも繋がります。

関連記事:スキルトランスファーとは?進め方や成功させるためのポイントを徹底解説!

DX 内製化の全体計画の策定

DX 内製化に着手する場合、いきなり具体的なアクションに移るのではなく、最初にプロジェクトの全体計画を策定することが重要なポイントになります。 DX 内製化を複数の段階に分けて、「いつまでに何をやるのか」を明確化してください。

これにより、 DX 内製化の全体像を関係者内で共有できるようになり、プロジェクトを円滑に進めることが可能になります。 DX 内製化の成否は全体計画の内容に大きく左右されるため、時間をかけて慎重に検討することが大切です。

DX 推進に向けた企業文化の醸成

前述した通り、 DX 内製化を成功させるためには、社内関係者からの協力が必要不可欠です。事前に社員を集めて DX 内製化のメリットや必要性を説明し、プロジェクトに協力してもらうための体制を整えてください。

また、 DX 内製化の実現には IT ツールの導入が有効な手段になりますが、初期段階で DX 内製化に対する経営層の合意を取得しておけば、十分な IT 予算を確保することができ、プロジェクトを円滑に進めることが可能になります。

アウトソーシング状況の見える化

DX 内製化を実現するためには、自社がどのような業務を外部委託しているのかを把握する必要があります。そのため、アウトソーシング状況の見える化は必要不可欠な要素であると言えるでしょう。

アウトソーシングの内容や委託先、コストなどをリスト形式で分かりやすく整理して、現状を正しく把握できるように事前準備を行ってください。また、アウトソーシング状況を見える化することで、 DX 内製化で取り組むべき箇所を具体化できるため、プロジェクトを円滑に進めることが可能になります。

開発環境・品質管理体制の整備

DX 内製化を進める場合、開発環境や品質管理体制の整備が必要不可欠です。これらの領域はアウトソーシングの対象となることが多いですが、 DX 内製化では開発・品質管理も自社内で完結する必要があるため、入念に事前準備を行うことが大切です。

開発環境や品質管理体制が整備されていないと、自社のサービス開発や顧客満足度に悪影響を及ぼす可能性が高まります。まずは要件を具体化し、自社リソースで適切な体制を整えられるように準備しておきましょう。

本章では、 DX 内製化の進め方を 7 つのステップに分けて解説します。自社で DX 内製化を実践する際の参考になると思いますので、ぜひ内容をご覧ください。

Step.1 社内関係者の合意を取得する

まずは、 DX 内製化に対する社内関係者の合意を取得しましょう。 DX 内製化を実現することでどのようなメリットがあるのか、事前に説明会などを開催して丁寧に説明してください。内製化プロジェクトを円滑に進めるためには、社内関係者の協力が必要不可欠であるため、この合意取得はとても重要なステップであると言えます。

Step.2 アウトソーシング状況を見える化する

次に、自社のアウトソーシング状況を見える化します。どのような業務をどれくらいのコストで外部委託しているのか、分かりやすく整理したうえでリスト化してください。この時、アウトソーシングのレベル感や要件などを書き留めておくことで、内製化を行う際の参考情報として使うことができ、プロジェクトを円滑に進めることができます。

Step.3 DX 内製化の目的・対象箇所を明確化する

アウトソーシング状況を見える化したら、 DX 内製化の目的・対象箇所を明確化してください。これにより、優先順位を付けながら段階的に DX 内製化を進めることが可能になります。はじめは難易度が高くなく、かつ、内製化によるメリットが大きいものを優先して着手すると良いでしょう。

Step.4 DX 内製化の全体計画を策定する

DX 内製化の目的や対象箇所を定めた後は、プロジェクトの全体計画を策定してください。ゴールから逆算してアクションを複数の段階に分け、いつまでに何をやるのかを明確化します。この時、アクションごとに責任者・担当者を割り当てることで、円滑なアクション実行に繋がります。

Step.5 開発環境・品質管理体制を整備する

全体計画を策定したら、次は開発環境・品質管理体制の整備に取り組んでください。アウトソーシングを内製化した後も一定の質を担保できるよう、要件整理やリソース調整など、多角的な視点から準備を進めることが大切です。開発環境や品質管理は自社のビジネス成長に直結する重要な要素であるため、時間をかけて慎重に検討しましょう。

Step.6 アウトソーシングを部分的に減らす

体制整備が完了した後は、いよいよアウトソーシングの削減に取り組みます。まずは優先的に着手すべき箇所に絞り、これまでアウトソーシングしていた業務を内製化へ移行してください。いきなり全てのアウトソーシングを撤廃することは難しいため、中長期的な目線で段階を踏みながら内製化を進めることが大切です。

Step.7 アウトソーシングを撤廃して本格的な DX 内製化に取り組む

最後に、社内に存在する全てのアウトソーシングを撤廃し、自社で完結させることができれば DX 内製化は完了となります。ただし、内製化して満足するのではなく、 DX 内製化のプロジェクト全体を振り返り、上手くいった点や課題点などを書き留めておくことが大切です。これにより、 DX 内製化に関する知見・ノウハウを社内に蓄積でき、今後の参考情報として活用することができます。

DX 内製化を実現した後は、その運用を安定的に継続させるとともに、必要に応じて改善を行うことが求められます。本章では、内製化後の運用と継続的な改善について、重要なポイントを 2 つご紹介します。

運用フェーズの管理と監視

内製化した後のシステム運用を考える際には、パフォーマンス測定と KPI 設定が重要なポイントになります。例えば、システムの稼働率を測定する仕組みを作り、具体的な KPI (目標値)を定めて、その数値をベースに管理・監視を行ってください。

このように、定量的な指標を定めることで、社員全員が共通認識を持ってシステムと向き合えるようになります。また、アウトソーシングしていた時の稼働率などがわかる場合は、それらの数値を目指すべき KPI として設定するのも良いでしょう。

継続的な改善とイノベーションの推進

DX は一過性の取り組みではなく、定期的に PDCA サイクルを回すことで価値が高まります。そのため、 DX を内製化した場合も継続的な改善を行い、イノベーションの推進に繋げていくことが大切です。

そして、業務改善を効率的に進めるためには、アジャイル開発が有効な手段になります。アジャイル開発とは、小さな単位の開発・テストを繰り返す開発手法であり、開発スピードを高めつつ、急な仕様変更にも柔軟に対応できます。

また、最近は生成 AI をはじめとした人工知能( AI )の技術が急速に発展しています。これらを上手く活用し、業務の効率化・自動化を図ることも、内製化した後の運用を円滑に行うための重要なポイントの一つだと言えるでしょう。

最後に、 DX 内製化を成功させるためのポイントをいくつか紹介します。ぜひ、自社で DX 内製化を実践する際の参考にしてください。

以下の記事で DX 内製化の具体的な事例をご紹介しています。

関連記事:事例から考える DX 内製化の課題と成功のポイントとは? 7 つの成功事例を一挙にご紹介!

スモールスタートで始める

いきなり全ての業務を内製化しようとしても、思うようにプロジェクトを進めることはできません。そのため、 DX 内製化を成功させるためには、スモールスタートで始めることが重要なポイントになります。まずは業務を棚卸しして優先順位づけを行い、重要度の高いものから順に着手していきましょう。

DX 人材の教育を視野に入れる

前述した通り、優秀な DX 人材を確保することは容易ではありません。そのため、既存社員に対して教育を行い、 DX 人材化することも視野に入れてください。また、人材育成をサポートしている企業も数多く存在するため、必要に応じて外部研修なども活用すると良いでしょう。

事前にコストシミュレーションを実施する

DX 内製化を実現するためには、様々な IT ツールを活用することが一般的です。しかし、ツールの導入にはコストを伴うため、事前にコストシミュレーションを行い、どれくらいの費用が発生するのかを把握しておくことが大切です。この時、ツールの導入コストをマイナスに考えるのではなく、 DX 内製化を実現するための必要投資として捉えて、前向きに導入を検討してください。

本記事では、 DX 内製化に必要な事前準備や具体的な進め方など、あらゆる観点から一挙に解説しました。

企業が DX の内製化を実現することで、委託費の削減やナレッジの蓄積など、様々なメリットを享受できます。この記事を読み返して、必要な事前準備や具体的な進め方などを理解しておきましょう。

当社センティリオンシステム 大阪事業所はこれまでの多くのクラウド開発を支援してきた知見を活かし、クラウドを活用した内製化に取り組まれるお客様を全力でサポートします。以下のような課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

  • クラウド活用を推進するための開発体制作りが進まない
  • 既存資産をどのようにクラウド移行するか検討する知見が不足している
  • 内製化するためのクラウド開発スキルを持った人材が不足している
  • コスト削減の実現方法に悩んでいる

貴社の状況に合わせて、体制づくり支援や開発計画支援、クラウド開発スキルアップ支援など、様々な支援メニューを提供しています。無料相談も可能なため、まずはお気軽にご連絡いただければと思います。

本記事を参考にして、 DX 内製化に向けた第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?