Google Cloud は Google が提供するパブリッククラウドであり、全世界で圧倒的なユーザー数を誇るサービスです。実際に多くの企業が Google Cloud をビジネスシーンで活用し、自社の業務効率化や生産性向上を実現しています。
しかし、 Google Cloud は従量課金制を採用しており、やや複雑な料金体系となっているため、コストを把握できずに困ってしまうケースも珍しくありません。本記事では、 Google Cloud の概要を解説しつつ、具体的な料金体系やコストを抑えるためのポイントなどをわかりやすくご説明します。
目次
Google Cloud とは?
※引用:センティリオンシステム公式ページ「 Google パートナー事業」
まずは、 Google Cloud の概要について理解しておきましょう。
Google Cloud は Google 社が提供するパブリッククラウドであり、以前は Google Cloud Platform ( GCP )という名称で親しまれていました。全世界で圧倒的なユーザー数を誇り、様々な企業が Google Cloud を活用して自社の生産性向上を実現しています。
Google Cloud と同じ種別のサービスとしては、 Microsoft 社の Microsoft Azure や Amazon 社の AWS などが挙げられます。これらは「 3 大クラウドサービス」と呼ばれており、数あるクラウドサービスの中でも、特に有名なものとして広く認知されています。
また、 Google Cloud では、 Gmail や YouTube など、 Google の代表的なサービスと同じインフラを採用しています。そのため、盤石なシステム基盤の上に構築されており、ビジネスシーンでも安心して利用できる点が、 Google Cloud の大きな魅力となっています。
さらに、 Google Cloud はデータベースやストレージなどの各種機能に加えて、 AI や機械学習のサービスも数多く展開しています。昨今、 ChatGPT をはじめとした「生成 AI 」が大きな注目を集めていますが、 Google Cloud には生成 AI に関連するサービスも多数搭載されています。
このように、 Google Cloud には様々な機能・サービスが備わっており、これらを活用することで、自社のビジネスを大きく成長させることができます。 Google の最先端のテクノロジーをフル活用したい方は、 Google Cloud が有効な選択肢の一つになると言えるでしょう。
Google Cloud の料金体系の特徴
本章では、 Google Cloud の料金体系についてご説明します。どのような特徴があるのか、ぜひ内容を理解しておきましょう。
従量課金制
Google Cloud は従量課金制を採用しており、使えば使うほど料金が高くなります。そのため、 Google Cloud を活用する際には、事前に料金の見積もりを行い、発生するコストを事前に把握しておくことが大切です。なお、 Google Cloud だけに限らず、 Microsoft Azure や AWS などの他パブリッククラウドも、同じように従量課金制のサービスとなっています。
Google Cloud 料金の見積もり方法に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
初期費用が不要
Google Cloud は 100% クラウドで提供されており、オンプレミスのように物理サーバーなどの設備を用意する必要はありません。毎月の利用料金のみでサービスを使用できるため、初期費用は発生しないことを覚えておきましょう。このように、気軽にサービスを利用開始できる点は、 Google Cloud の大きなメリットの一つだと言えます。
解約金が不要
携帯電話をはじめとした一部のサービスでは、解約のタイミングによって解約金が発生するケースも珍しくありません。しかし、 Google Cloud には解約金の概念がなく、いつでも好きな時にサービスを解約することが可能です。また、管理画面でサービスを無効化するだけで解約処理が完了するため、煩雑な手続きが不要な点も嬉しいポイントです。
2 パターンの支払い方法
Google Cloud の契約方法としては、
- Google 社との直接契約
- パートナー企業との契約
の 2 種類が存在し、それぞれ選択できる支払方法が異なります。
Google 社と直接契約を行う場合は「クレジットカード払い」の一択になりますが、パートナー企業と契約すれば「請求書払い」を選択することも可能です。そのため、自社の経理サイクルに乗せるため、請求書を発行したい場合はパートナー経由で Google Cloud を契約すると良いでしょう。
また、パートナー経由で支払いを行うことで、一定額の割引を受けられたり、 Google Cloud の活用方法に関するアドバイスを受けたりすることも可能です。このように、パートナーを経由することで、 Google Cloud をよりお得に利用できます。
なお、当社センティリオンシステム 大阪事業所では、 Google Cloud の支払い代行サービスを取り扱っています。クレジットカード払いが難しいお客様に対して、請求書での支払い代行を提供しているため、関心のある方は問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
Google Cloud の代表的なコスト
ここまで、 Google Cloud における料金体系の特徴を解説してきましたが、実際にサービスを利用する際には、具体的にどのようなコストが発生するのでしょうか?
Google Cloud の代表的なコストとしては、
- 仮想サーバー
- ストレージ
- データベース
- 負荷分散
の 4 点が挙げられます。
ここからは、上述した 4 つのコストについて、 Google Cloud の具体的なサービスを交えながら、わかりやすくご説明します。
仮想サーバー
Google Cloud はクラウドサービスの一種であるため、実際にサービスを利用する際には仮想サーバーが必要不可欠になります。そして、 Google Cloud で仮想サーバーとして利用できるサービスは Google Compute Engine ( GCE )が該当します。
GCE には数多くのマシンタイプが存在し、どのマシンタイプを利用するのかによって料金は変動しますが、ここでは E2 標準マシンタイプの「 Tokyo ( asia-northeast 1 )リージョン」を例にとって料金をご紹介します。
マシンタイプ | CPU | メモリ | 月額料金 |
---|---|---|---|
e2 - standard - 2 | 2 | 8 GB | 63.98523 米ドル |
e2 - standard - 4 | 4 | 16 GB | 127.97046 米ドル |
e2 - standard - 8 | 8 | 32 GB | 255.94092 米ドル |
e2 - standard - 16 | 16 | 64 GB | 511.88111 米ドル |
e2 - standard - 32 | 32 | 128 GB | 1023.76295 米ドル |
※ 2024 年 2 月時点の情報
※参照元: Google 公式サイト「 Compute Engine の料金」
このように、 GCE は使用するマシンタイプや CPU 、メモリなどに応じて、コストが変動する料金体系となっています。そのため、自社の状況に合わせて、最適な組み合わせを選択することが重要なポイントになります。
ストレージ
Google Cloud で取り扱うデータを保存するためには、ストレージを利用する必要があります。そして、 Google Cloud に搭載されているストレージサービスとしては Cloud Storage が該当します。
以下、 Cloud Storage のデータ保存時におけるコストを表にまとめます。
場所 | Standard Storage( GB 単位 / 月) | Nearline Storage( GB 単位 / 月) | Coldline Storage( GB 単位 / 月) | Archive Storage( GB 単位 / 月) |
---|---|---|---|---|
東京( asia - northeast 1 ) | 0.023 米ドル | 0.016 米ドル | 0.006 米ドル | 0.0025 米ドル |
大阪( asia - northeast 2 ) | 0.023 米ドル | 0.016 米ドル | 0.006 米ドル | 0.0025 米ドル |
台湾( asia - east 1 ) | 0.020 米ドル | 0.010 米ドル | 0.005 米ドル | 0.0015 米ドル |
香港( asia - east 2 ) | 0.023 米ドル | 0.016 米ドル | 0.007 米ドル | 0.0025 米ドル |
シンガポール( asia - southeast 1 ) | 0.020 米ドル | 0.010 米ドル | 0.005 米ドル | 0.0015 米ドル |
※ 2024 年 2 月時点の情報
※参照元: Google 公式サイト「 Cloud Storage の料金」
このように、 Cloud Storage の料金は利用するストレージの種類や保存場所によって変動します。また、データを保存するためのコストに加えて、リソース情報の変更をはじめとしたオペレーション料金などが別途発生します。
データベース
データベースも Google Cloud における代表的なコストの一つであり、具体的なサービスとしては Cloud Spanner が挙げられます。なお、 Google Cloud には複数のデータベースサービスが存在し、 Cloud Spanner の他にも Cloud SQL などがデータベースとして利用されますが、ここでは一例として Cloud Spanner を取り上げます。
以下、 Cloud Spanner の料金体系を表にまとめます。
サービス | カテゴリ | 料金 |
---|---|---|
コンピューティング容量 | リージョン構成 | 0.09 米ドル( 100 処理ユニット / 1 時間あたり) |
マルチリージョン構成 | 0.30 米ドル( 100 処理ユニット / 1 時間あたり) | |
データベースストレージ | リージョン構成 | 0.30 米ドル( GB 単位 / 月) |
マルチリージョン構成 | 0.50 米ドル( GB 単位 / 月) | |
バックアップストレージ | リージョン構成 | 0.10 米ドル( GB 単位 / 月) |
マルチリージョン構成 | 0.30 米ドル( GB 単位 / 月) | |
ネットワーク | 上り(内向き) | 無料 |
同じリージョン内の下り(外向き) | 無料 | |
同じ大陸内のリージョン間の下り(外向き) | 0.10 米ドル( GB 単位 / 月) |
※ 2024 年 2 月時点の情報
※参照元: Google 公式サイト「 Spanner の料金」
このように、 Cloud Spanner は、
- コンピューティング容量
- データベースストレージ
- バックアップストレージ
- ネットワーク使用量
の 4 つの要素に基づき、料金が決まる仕組みとなっています。
負荷分散
自社のシステムを円滑に運用するためには、負荷分散が重要なポイントになります。そして、 Google Cloud における負荷分散のサービスとしては Cloud Load Balancing が挙げられます。
以下、 Cloud Load Balancing の料金体系を表にまとめます。
項目 | 単価 | 課金単位 |
---|---|---|
最初の 5 つの転送ルール | 0.025 米ドル | 1 時間あたり |
追加の転送ルール 1 つあたり | 0.010 米ドル | 1 時間あたり |
※ 2024 年 2 月時点の情報
※参照元: Google 公式サイト「 ネットワーキングのすべての料金体系」
このように、 Cloud Load Balancing は転送ルールごとに課金が発生する仕組みとなっています。なお、データ処理の料金に関しては、トラフィックが処理される場所に応じて、使用しているリージョンごとに課金されます。
Google Cloud 料金計算ツールでより具体化に料金を把握する
Google Cloud の料金について考える際には、料金計算ツールの活用が有効な選択肢になります。なお、料金計算ツールとは、 Google の公式サイト上に用意されており、サービスの利用料金の目安を事前に計算できるツールのことです。
※出典元: Google 公式サイト「 Google Cloud's pricing calculator 」
料金計算ツールに必要情報を入力することで、どのサービスをどれくらい使った場合にどの程度のコストが発生するのかを簡単に把握できます。そのため、まずは料金計算ツールを使い、発生コストの目安をチェックしておくと良いでしょう。
ただし、料金計算ツールで精緻な料金を算出するためには、
- 可用性
- セキュリティ
- ネットワーク
- バックアップ運用
- システム全体の構成図
など、様々な要素を考慮する必要があります。
以下の記事で要件を決める際のポイントや構成図を作成する際の注意点などについて解説していますので、関心のある方はぜひご覧ください。
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Google Cloud のコストを抑えるための 3 つのポイント
最後に、 Google Cloud のコストを抑えるための 3 つのポイントをご紹介します。自社で Google Cloud を活用する際の参考になると思いますので、ぜひ内容をご覧ください。
スモールスタートで始める
Google Cloud は従量課金制を採用しており、使えば使うほど料金が高くなる仕組みとなっています。そのため、スモールスタートで利用開始することで、想定外の高額請求を回避できます。
また、 Google Cloud は 100% クラウドで提供されており、柔軟なスケーリングが特徴の一つであるため、自社の状況に合わせて容易に使用リソースを調整することが可能です。まずは Google Cloud の利用対象に優先順位を付けて、重要なものから順番に着手すると良いでしょう。
なお、 Google Cloud には「予算アラート」という機能が搭載されており、利用料金が一定額に達した場合に、ユーザーに対して自動通知(アラート)を送ることができます。これにより、想定外の高額請求を事前に回避できるため、必要に応じて活用することをおすすめします。
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無料枠・確約利用割引を活用する
Google Cloud の各種サービスには、無料枠や確約利用割引が用意されていることがあります。そして、これらを活用することで、 Google Cloud をお得に利用することが可能になります。
無料枠とは、使用リソースが一定量に達するまでサービスの利用料金が無料になる枠のことであり、確約利用割引とは、一定期間サービスを利用することを約束し、その代わりに一定の割引を受けられる制度のことです。
例えば、 Google Cloud を気軽に試したい場合には無料枠が有効ですし、一定期間サービスを利用することが決まっている場合は、確約利用割引を使うべきだと言えます。どちらもユーザーにとって経済的なメリットが大きい制度であるため、積極的に活用を検討してください。
コストを抑えるためのコンサルティングを活用する
Google Cloud をお得に使いたい場合は、コストを抑えるためのコンサルティングも有効な手段になります。 Google Cloud には多彩なサービスが搭載されており、使用する機能や自社のシステム構成などによって、発生する費用が大きく変わることも珍しくありません。
そこで、第三者の専門家にコンサルティングを依頼すれば、自社の状況や要件に合わせて、最適な Goolgle Cloud の活用方法についてアドバイスを受けることができます。これにより、 Google Cloud のコストを抑えつつ、サービスの導入効果を最大化することが可能になります。
なお、当社でも Google Cloud のコストを抑えるためのコンサルティングサービスを提供しています。無料相談も可能なため、関心のある方は問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
まとめ
Google Cloud は高性能なパブリッククラウドサービスですが、従量課金制を採用しているため、正確な見積もりが難しいケースも存在します。この記事を読み返して、 Google Cloud の料金を見積もるための流れや、意識すべき重要なポイントを理解しておきましょう。
当社では、これまでの多くのクラウド開発を支援してきた知見を活かし、クラウドを活用した内製化に取り組まれるお客様を全力でサポートします。
以下のような課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
- クラウド活用を推進するための開発体制作りが進まない
- 既存資産をどのようにクラウド移行するか検討する知見が不足している
- 内製化するためのクラウド開発スキルを持った人材が不足している
- コスト削減の実現方法に悩んでいる
- SRE を実現したい
貴社の状況に合わせて、体制づくり支援や開発計画支援、クラウド開発スキルアップ支援など、様々な支援メニューを提供しています。また、今回ご紹介した「 Google Cloud 」に特化したメニューも数多く提供しています。 Google Cloud に関するスキルの底上げや平坦化を検討されている方は、ベストプラクティスセミナーやテクニカル・アドバイザリーサービス、テクニカルコンサルティングなどをご検討ください。
さらに、 Google Cloud 料金のクレジットカード払いが難しいお客様に対しては、請求書での支払い代行サービスを提供しており、コストを抑えるためのコンサルティングも対応可能です。気軽に無料で相談できるため、まずは問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。
本記事を参考にして、 Google Cloud 料金の見積もりを実施してみてはいかがでしょうか?