Google Cloud の無料枠を使えるサービスをご紹介!使い方や利用時の注意点まで一挙に解説

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Google Cloud の無料枠を使えるサービスをご紹介!使い方や利用時の注意点まで一挙に解説

Google が提供するパブリッククラウドサービスである Google Cloud 。豊富なソリューションが揃っており、実際に多くの企業が Google Cloud を活用して、自社の業務効率化や生産性向上を実現しています。

そして、 Google Cloud には、サービスを一定量まで無料で利用できる「無料枠」が用意されています。本記事では、 Google Cloud の無料枠について、対象のサービスや使い方、注意点など、あらゆる観点から一挙にご説明します。

Google Cloud については、以下の記事で詳しく解説しております。

Google Cloud の無料枠には、大きく分けて「無料トライアル」と「 Always Free 」の 2 種類が存在します。以下、それぞれの仕組みについて詳しくご説明します。

無料トライアル

Google Cloud の無料トライアルとは、 Google Cloud の新規ユーザー向けに提供されている無料クレジットのことであり、 Google Cloud の各種サービスを 90 日間 300 米ドル分無料で利用できる仕組みです。

無料トライアルは、

  • 登録から 90 日間が経過
  • 合計 300 米ドル分のクレジットを利用

のいずれかに該当した時点で終了となります。

無料トライアルの残日数・残クレジットは Google Cloud の管理コンソール上で確認可能なため、定期的に状況をチェックしながら利用することをおすすめします。また、無料トライアルが終わった後はリソースが停止し、有料アカウントへアップグレードする必要がありますが、早期にアップグレードすればトライアル中に作成したリソースをそのまま継続利用できます。

Always Free (無料枠プロダクト)

Always Free とは、無料枠が設定されているプロダクトに限り、事前に定められた枠の範囲内でサービスを無料で利用できる仕組みです。 Google Cloud の全ユーザーが使うことができ、無料トライアルのような利用期限の縛りはありません。

また、 Always Free は 1 ヶ月ごとに無料枠が付与されるため、一定の範囲内までは毎月無料でサービスを利用できますが、余った無料枠を翌月以降に繰り越すことは不可能です。なお、前述した無料トライアルと Always Free を併用する場合、 Always Free の無料枠で消費したリソースが無料トライアルの 300 米ドルから引かれることはありません。

そして、 Always Free の無料枠を超過した分が有償となり、 Google Cloud の請求に加算されます。このように、無料トライアルや Always Free を活用すれば、料金を抑えながら経済的に Google Cloud を使うことが可能になります。

本章では、 Always Free を使って一定額まで無料で利用できる Google Cloud プロダクトをご紹介します。なお、 Always Free の対象プロダクトは多数存在しますが、すべてを紹介することは難しいため、ここでは代表的なものに絞って取り上げています。

BigQuery

BigQuery は Google が提供するフルマネージド型データウェアハウスサービスであり、ペタバイト級の大規模データの高速処理や複雑なクエリを柔軟に実行することが可能です。また、 Web ブラウザベースのインターフェースがわかりやすく、サーバー管理が不要な点も BigQuery の大きな特徴だと言えます。

これにより、ユーザーはコストを抑えながらデータ分析基盤を構築でき、的確な意思決定や競争力の向上が期待できます。このように、 BigQuery は規模を問わずあらゆる企業に適した、高速・スケーラブル・使いやすく低コストなデータ分析ソリューションとなっています。

以下、 BigQuery の無料枠です。

  • 1 TB のクエリ(1 か月あたり)
  • 10 GB のストレージ(1 か月あたり)

BigQuery について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。

関連記事(近日公開):BigQuery とは? Google の高性能なデータウェアハウスを徹底解説!

Cloud Run

Cloud Run はフルマネージドで提供されているコンテナの実行環境です。なお、コンテナとはアプリケーションや設定用ファイル、ライブラリなどを OS 上にまとめたものを意味します。

通常、コンテナを使用する際は Kubernetes (コンテナのオーケストレーションツール)の知識を求められることが一般的です。しかし、 Kubernetes を使うには一定のスキルが必要となるため、学習にかける費用・時間を確保しなければならない点が大きな課題だと言えます。

もちろん、 Kubernetes を使わずにコンテナを扱うことも可能ですが、オーケストレーション(設定・管理などの作業を自動化すること)を実現するためには、 Kubernetes を避けて通ることはできません。そして、このような課題を解決するうえで Cloud Run が有効な選択肢になります。

構築したコンテナイメージを Cloud Run の環境に乗せることで、 Kubernetes によって処理できる様々な機能を手間なく実現できます。このように、 Cloud Run の活用により、開発者は煩雑なインフラ管理から解放され、コードの書き込みやデプロイメントに集中できるようになります。

以下、 Cloud Run の無料枠です。

  • 200 万リクエスト(1 か月あたり)
  • 360,000 GB 秒のメモリ、180,000 vCPU 秒のコンピューティング時間
  • 1 GB の北米からの下り(外向き)ネットワーク(1 か月あたり)

Cloud Run について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。

Cloud Build

Cloud Build とは、 Google Cloud でビルド(プログラムのソースコードから実行可能なアプリケーションやライブラリなどを作り出す作業)を実行するためのサービスです。

Cloud Build では、様々なリポジトリやクラウドストレージなどからソースコードをインポートし、仕様に合わせてビルドを実行できます。また、 Docker コンテナや Java アーカイブなどのアーティファクトを生成することも可能です。

さらに、 Cloud Build を活用することで、ソフトウェアのサプライチェーンを保護できる点も大きな魅力の一つとなっています。 Cloud Build は「 SLSA ( Supply chain Levels for Software Artifacts )」という、 Google が提唱しているソフトウェアサプライチェーンにおける完全性確保のためのフレームワークの要件を満たしているため、ビジネスシーンでも安心して使用できるサービスだと言えるでしょう。

以下、 Cloud Build の無料枠です。

  • 120 ビルド分数(1 日あたり)

Cloud Build について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。

Google Kubernetes Engine( GKE )

Google Kubernetes Engine ( GKE )は Kubernetes の運用を効率化できるサービスであり、 GKE ならではの様々な特徴を有しています。

例えば、 GKE はマネージドサービスとして提供されており、インフラ部分の保守・運用は Google が対応するため、自社の負荷軽減に繋がります。障害などのトラブルが発生した場合でも、 Google のエンジニアが全面的に対応してくれるので、ビジネスシーンにおいても安心して利用できます。

また、 GKE には使いやすいコンソール(管理画面)が搭載されており、これを使うことでクラスターを簡単に構築できます。さらに、負荷に応じてノードを自動的にスケーリングしたり、 Google Cloud のアカウントと連携して権限制御をしたりするなど、ビジネスシーンで便利に使える機能が多数備わっています。

加えて、 GKE には「 GKE Standard 」と「 GKE Autopilot 」という 2 つのモードが用意されており、 GKE Autopilot を使えば、ユーザー側でマスターノード(構成内で特別な役割を有しているノードのこと)を管理する必要はなく、 GKE 側で管理してくれる点も嬉しいポイントです。

GKE の無料枠としては、請求先アカウントごとに 1 つの Autopilot またはゾーンクラスタのクラスタ管理料金が無料になります。 Autopilot モードで作成されたクラスタの場合、 Pod は vCPU 、メモリ、ディスクのリソースリクエストに対して秒単位で課金され、標準モードで作成されたクラスタの場合、各ユーザーノードに Compute Engine の標準料金が適用されます。

GKE について詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。

本章では、 Google Cloud の無料枠の使い方について解説します。図解付きでわかりやすくご紹介しますので、ぜひ自社で活用する際の参考にしてください。

Step.1 Google アカウントを作成する

Google Cloud の無料枠を使うためには、はじめに Google アカウントを作成する必要があります。無料版 Gmail のアカウントでも Google Cloud の無料枠を利用可能なため、手軽に試したい方は無料版 Gmail のアカウントを作成するとよいでしょう。なお、 Google Workspace のアカウントを持っている場合は、そのアカウントを Google Cloud のアカウントとして使うことができます。

Step.2 無料トライアルを開始する

Google アカウントを作成し、 Google Cloud へログインすると以下のページが表示されます。画面中央にある「無料で開始」のボタンをクリックしてください。

Step.3 利用規約を確認する

次に、国の選択や最新情報に関する通知メール、利用規約などを確認する画面に遷移します。内容をチェックし、問題なければ「同意して続行」をクリックしてください。

Step.4 支払い情報を登録する

利用規約を確認した後は、支払い情報の登録画面に移ります。「お支払いプロファイル」に名前・住所などの基本情報を入力し、「お支払い方法」に利用したいクレジットカード情報を入力してください。すべての入力が完了したら、最下部の「無料で利用開始」をクリックします。

Step.5 好きなサービスを利用する

Step.4 まで完了すれば、 Google Cloud の無料枠を使える状態になります。実際に利用したいサービスを選択し、リージョンやゾーン、マシンタイプなどを選んで使ってみましょう。

以上が Google Cloud の無料枠の使い方です。想像以上に簡単にスタートできることをご理解いただけたのではないでしょうか?無料枠は Google Cloud を気軽に試したい時に最適な仕組みであるため、ぜひ積極的に活用してください。

Google Cloud の無料枠を超えてサービスを利用した場合、リソースの使用量に応じて従量課金で料金が発生します。そのため、どのような仕組みで課金されるのかを把握しておくことは、とても重要なポイントになります。

Google Cloud の代表的なコストとしては、

  • 仮想サーバー
  • ストレージ
  • データベース
  • 負荷分散

の 4 つが該当し、それぞれの使用量に応じて利用料金が変動します。

Google Cloud の無料枠を超えた場合、思いがけない高額請求に発展しないよう、どのリソースでどれくらいの料金が発生しているのかを正しく把握することが大切です。なお、 Google Cloud の料金について考える際には、料金計算ツール( Google 公式サイト上に用意されているサービス利用料金の目安を計算できるツール)の活用が有効な選択肢になります。

※出典元: Google 公式サイト「 Google Cloud's pricing calculator

細かい使い方については以下で詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください。

料金計算ツールに必要情報を入力することで、どのサービスをどれくらい使った場合にどの程度のコストが発生するのかを簡単に把握できます。そのため、まずは料金計算ツールを使い、発生コストの目安をチェックしておくと良いでしょう。

Google Cloud の料金体系については以下の記事で詳しく解説しているため、関心のある方はあわせてご覧いただければと思います。

なお、当社センティリオンシステム 大阪事業所では、ランニングコスト最適化に向けたアドバイスやコンサルティングを提供していますので、お困りのことがありましたら問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。その他にも、ベストプラクティスセミナーで Google Cloud について体系的に学ぶことも可能となっています。

Google Cloud の無料枠は利用期間や使用容量の上限が設定されているため、 Google Cloud 導入前の検証(試験運用)を目的として利用されることが一般的です。それでは、具体的にどのような使い方が考えられるのでしょうか?

例えば、 BigQuery のストレージには「 1 ヶ月あたり 10 GB 」の無料枠が用意されており、実行されたクエリ結果のテーブルはキャッシュに 24 時間保存されますが、キャッシュから結果が取得された場合はそのクエリに対して課金が発生することはありません。そのため、小容量のログデータをストレージに保管して分析するなど、小さい規模の処理であれば BigQuery を無料で試すことが可能です。

また、 Cloud Run もリクエストやメモリ、コンピューティング時間、北米からの下り(外向き)ネットワークなどに対して無料枠が設定されており、リクエストの処理時間に応じて課金が発生する仕組みとなっています。仮に、リクエスト数を月間 100 万までに抑えて、 CPU やメモリなどのリソースを節約しながら使えば、十分に無料枠の範囲内でリクエストを処理できます。

このように、 Google Cloud の無料枠の活用により、各サービスを気軽に使うことが可能になります。これから Google Cloud を導入しようと検討されている方は、無料枠で使用感などを試してみるとよいでしょう。

Google Cloud の無料枠はユーザーにとって嬉しい仕組みですが、利用する際にはいくつか注意すべきポイントが存在します。本章では、 Google Cloud の無料枠を利用する際の注意点を 3 つご説明します。

利用条件を事前に確認する

無料枠を使うためには、 Google Cloud および Google Maps Platform の新規ユーザーであることが一つの条件になっています。そのため、過去にこれらのサービスを利用していたり、無料トライアルに登録していたりする場合は、新たに Google Cloud の無料枠を使うことはできません。想定外のケースで慌てることがないよう、自身が無料枠を利用できるか否か、事前にチェックしておくことをおすすめします。

無料枠が設定されていないプロダクトがある

前述した通り、 Google Cloud の Always Free はプロダクトごとに適用可否や使用上限が定められており、数ある Google Cloud サービスの中には、無料枠を使えないものも含まれています。そのため、これらのサービスを使用するためには、無料トライアルの 300 米ドル分を消費するか、料金を支払うしかありません。 Always Free の無料枠を使う場合は、 Google 公式ページを事前にチェックし、自社が利用予定のサービスが対象か否かを確認しておきましょう。

利用時にクレジットカード登録が必要になる

無料枠の範囲を超えてサービスを有料で使うか否かに関わらず、 Google Cloud の無料枠を利用する際にはクレジットカード情報を事前登録する必要があるため、最低 1 枚のクレジットカードを用意しなければいけません。無料枠の範囲内でサービスを使うだけであれば、課金が発生することはありませんが、クレジットカードが必須となる点は注意事項の一つとして覚えておきましょう。

Google Cloud には、無料枠以外にもお得にサービスを利用するための仕組みが用意されています。最後に、 Google Cloud のコストを抑えるための無料枠以外の方法について、代表的なものをいくつかご紹介します。

確約利用割引

確約利用割引とは、一定期間のサービス利用を約束することで、その代わりに一定の割引を受けられるようになる制度のことです。そのため、 Google Cloud を一定期間利用すると決まっている場合には、確定利用割引の適用により、各種サービスをお得な金額で利用できます。 Google Cloud の長期使用を見込んでいる方は、ぜひ積極的にご検討ください。

ただし、確約利用割引を受けるためには、一定の条件(利用期間、最低利用料金など)を満たす必要があります。割引率や適用条件は、サービスや利用形態によって異なるため、詳細については、事前に確認しましょう。

代理店と契約して割引を受ける

Google Cloud の契約形態は、

  • Google との直接契約
  • 販売パートナー(代理店)との契約

の 2 種類が存在しますが、代理店との契約を選択することで、一定額の割引を受けられる可能性があります。割引の金額や詳しい条件などは代理店ごとに異なるため、複数の代理店を比較検討し、サービスをお得に利用できる会社を選ぶとよいでしょう。

また、 Google と直接契約する場合の支払方法はクレジットカードのみですが、代理店の場合は請求書払いができる会社も存在します。この点も代理店と契約する際の大きなメリットになるため、忘れずに覚えておいてください。

なお、当社センティリオンシステム大阪事業所も代理店ですので、お困りごとや検討事項がございましたら、お気軽にお問い合わせください

予算アラートの活用

Google Cloud には標準で「予算アラート」という機能が搭載されており、サービスの利用料金が一定額に達した場合に、ユーザーに対して自動通知(アラート)を送ることができます。なお、アラート送付の閾値は任意の値に設定することが可能なため、自社の状況に合わせて金額を自由にカスタマイズできる点が大きな特徴です。

本来、 Google Cloud の利用料金は管理画面から確認するのが一般的ですが、これでは毎回コンソールを開く手間が発生してしまいます。その点、予算アラートであれば自動的に通知を送ってくれるため、工数を掛けずにサービスの過剰利用を検知できます。

このように、予算アラートを使うことで Google Cloud の適正利用に繋がります。サービスの高額請求を回避したい場合には、予算アラートが有効な武器の一つになると言えるでしょう。

Google Cloud の予算アラートに関しては以下の記事で詳しく解説しています。

必要最低限の構成にする

Google Cloud は使用量に応じて料金が変動する従量課金制を採用しており、使った分だけ多くのコストが発生します。そのため、利用時のサービス構成を必要最低限にすれば、コストの最適化に繋げることができます。

もし、どのような構成にすべきか迷ってしまう場合には、コストを抑えるための外部コンサルティングも有効な手段になります。第三者の専門家にコンサルを依頼すれば、自社の状況や要件に合わせて、最適な Goolgle Cloud の活用方法についてアドバイスを受けることが可能なため、コストを抑えつつ、 Google Cloud の導入効果を最大化できます。

なお、当社でも Google Cloud のコストを抑えるためのコンサルティングサービスを提供しています。無料相談も可能なため、関心のある方は問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

本記事では、 Google Cloud の無料枠について、対象のサービスや使い方、注意点など、あらゆる観点から一挙にご説明しました。

Google Cloud の無料枠を活用すれば、様々なサービスを気軽に利用でき、導入前に使用感を試すことが可能です。また、導入後も Always Free でコストを抑えられるため、どのサービスが無料枠の対象になっているのかを事前に確認しておきましょう。

当社センティリオンシステム 大阪事業所はこれまでの多くのクラウド開発を支援してきた知見を活かし、クラウドを活用した内製化に取り組まれるお客様を全力でサポートします。

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本記事を参考にして、 Google Cloud の無料枠を活用してみてはいかがでしょうか?