AWS Azure Google Cloudの生成 AI サービスを比較してみた!
クラウドプラットフォームによる生成 AI サービスは、現代の IT 業界において非常に注目されています。本記事では、AWS 、Azure 、Google Cloud の生成 AI サービスのそれぞれの特徴と利点を徹底的に比較し、3つのユースケースでどのプラットフォームのサービスが良いのか?検証してみたいと思います。
目次
クラウド生成 AI サービスの概要
ここではクラウドプラットフォームによる生成 AI サービスの基本的な概要と背景を説明します。生成 AI は、人工知能の一分野であり、コンピュータが人間のように文章、画像、音声、コードなどを生成することを可能にする技術です。近年、深層学習技術の発展により、生成 AI は飛躍的な進歩を遂げ、様々な分野で活用されるようになりました。
クラウドプラットフォームは、生成 AI サービスを提供する上で重要な役割を果たしています。クラウドプラットフォームは、高性能なコンピューティングリソース、大規模なデータストレージ、そして高度な機械学習フレームワークを提供することで、生成 AI モデルの開発と運用を効率化します。
生成 AI サービスは、企業が新しい製品やサービスを開発したり、既存の業務を効率化したりする上で、強力なツールとなります。例えば、マーケティング分野では、生成 AI を用いてパーソナライズされた広告を作成したり、顧客とのコミュニケーションを自動化したりすることができます。また、製造分野では、生成AIを用いて製品設計を最適化したり、生産計画を立てたりすることができます。
前置きが終わりましたので以下では、AWS 、Azure 、Google Cloud という主要なクラウドプラットフォームが提供する生成 AI サービスについて、深掘りをして詳しく解説していきます。
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AWS が提供している主な生成 AI サービス
Amazon SageMaker
Amazon SageMaker は、AWS が提供するフルマネージドの機械学習サービスで、開発者やデータサイエンティストが機械学習モデルの構築、訓練、デプロイを迅速かつ効率的に行えるよう支援します。SageMaker は、初心者から上級者まで幅広いユーザーに対応し、機械学習プロジェクトの全ライフサイクルをサポートします。
SageMaker の主要な機能には、データの準備、モデルの訓練、自動モデルチューニング、モデルのデプロイ、継続的な監視と管理が含まれます。これにより、ユーザーは大規模なデータセットを簡単に取り扱い、高精度の機械学習モデルを迅速に作成できます。また、SageMaker は統合された Jupyter ノートブックを提供し、インタラクティブなデータ探索と可視化を可能にします。
具体的な使用例としては、需要予測、カスタマーサポートの自動化、画像認識、異常検知などがあります。例えば、e コマース企業が SageMaker を使って顧客の購買パターンを分析し、個別にカスタマイズされた商品推薦を行うことができます。
Amazon SageMaker は、スケーラブルなインフラストラクチャと高度なセキュリティ機能を備えており、企業が迅速に機械学習モデルを開発し、運用環境にデプロイできるようにします。これにより、ビジネスの俊敏性を向上させ、競争優位性を確保することができます。
Amazon Bedrock
Amazon Bedrock は、AWS が提供する生成 AI サービスの一つで、基盤モデル( Foundation Models, FM )と呼ばれる強力な AI モデルを活用しています。このサービスは、テキスト生成、画像生成、コード生成など、多様なジェネレーティブ AI タスクを支援します。
Amazon Bedrock は、企業が AI アプリケーションを迅速に構築・展開できるように設計されています。これにより、開発者は複雑な AI モデルの訓練や管理を行う必要がなくなり、ビジネスの課題解決に集中できます。また、Amazon Bedrock は高度なセキュリティ機能を備えており、データのプライバシーを保護しながら安心して利用できます。
具体的な使用例としては、カスタマーサポートの自動化、マーケティングキャンペーンのコンテンツ生成、ソフトウェア開発におけるコード補完などがあります。これにより、業務効率を大幅に向上させることが可能です。
Amazon Bedrock は、直感的なインターフェースと強力なAPIを提供し、開発者が簡単に利用できるようになっています。これにより、企業は迅速にAI技術を導入し、競争力を高めることができます。
Amazon CodeWhisperer
Amazon CodeWhisperer は、AWS が提供する AI 駆動のコード生成支援ツールです。このサービスは、開発者が効率的に高品質なコードを書くのを支援し、ソフトウェア開発プロセスを大幅に改善します。CodeWhisperer は、機械学習モデルを活用して、コードの自動補完、コード例の提示、エラーチェックなどをリアルタイムで行います。
開発者が IDE (統合開発環境)でコードを書いている際に、CodeWhisperer は次に入力するべきコードを予測し、提案を行います。これにより、タイピングの時間を短縮し、バグの発生を減少させることができます。また、新しい言語やフレームワークを学ぶ際にも、コード例を提示することで学習曲線を緩和します。
具体的な使用例としては、API 呼び出しのコードを自動生成する、複雑なアルゴリズムの実装を支援する、コードのリファクタリングをサポートするなどがあります。これにより、開発者はより創造的で価値の高いタスクに集中できるようになります。
Amazon Polly
Amazon Polly は、AWS が提供する高度な音声合成サービスです。この AI を活用したテキスト読み上げ( Text-to-Speech )技術は、自然な人間の声を忠実に再現し、テキストを流暢で表現豊かな音声に変換します。
Polly は多言語対応で、様々なアクセントや方言を含む多数の音声を提供しています。ユーザーは用途に応じて適切な声を選択でき、さらに SSML( Speech Synthesis Markup Language )を使用して、イントネーション、速度、音量などの細かな調整も可能です。
このサービスの特徴は、ニューラルテキスト読み上げ( NTTS )技術を採用していることです。これにより、より自然で表現力豊かな音声生成が実現し、長文の読み上げでも一貫した高品質を維持します。
Polly は、電話システムの自動応答、e ラーニングコンテンツ、ポッドキャスト制作、デジタルアシスタント、アプリケーションの音声インターフェースなど、幅広い用途に活用できます。API を通じて容易に導入でき、リアルタイムの音声生成にも対応するため、動的なコンテンツにも柔軟に対応可能です。
Azure が提供している主な生成 AI サービス
Azure OpenAI Service
Azure OpenAI Service は、Microsoft Azure が提供する強力な生成 AI サービスで、OpenAI の先進的な AI モデルにアクセスし、幅広いアプリケーションに応用できるようにします。このサービスは、自然言語生成( NLG )、対話型 AI 、コンテンツ生成など、さまざまな生成AIタスクに対応しています。
Azure OpenAI Service は、OpenAI の GPT シリーズなどの高度な生成 AI モデルを利用し、ユーザーが入力したテキストをもとに自然で一貫性のあるテキストを生成することができます。これにより、マーケティングコンテンツの作成、カスタマーサポートの自動化、インタラクティブなチャットボットの構築など、多様な用途に活用できます。
具体的な使用例として、カスタマーサービス部門が Azure OpenAI Service を利用して、自動応答システムを構築し、顧客からの問い合わせに対する即時対応を実現しています。また、メディア企業がこのサービスを活用して、記事の自動生成やコンテンツのパーソナライズを行うことで、効率的な運営を図っています。
Azure OpenAI Service は、スケーラブルでセキュアなインフラストラクチャを提供し、企業が生成 AI モデルを迅速かつ安全に導入できるよう支援します。さらに、Azure の他のサービスと統合することで、データの収集、処理、分析をシームレスに行うことができ、生成AIの効果を最大化することが可能です。
Azure Machine Learning
Azure Machine Learning は、Microsoft が提供する包括的な機械学習プラットフォームです。このサービスは、データサイエンティストや開発者が高品質な AI モデルを効率的に構築、トレーニング、デプロイできる環境を提供します。
生成 AI の文脈では、Azure Machine Learning は大規模言語モデル( LLM )や画像生成モデルなどの開発と運用を支援します。プラットフォームは、データの前処理から、モデルのトレーニング、評価、そして本番環境へのデプロイまでの全工程をカバーします。
特筆すべき機能として、AutoML があります。これにより、コードをほとんど書くことなく、高性能な生成 AI モデルを自動的に作成できます。また、分散学習機能を活用することで、大規模なデータセットを用いた複雑なモデルのトレーニングも効率的に行えます。
さらに、Azure Machine Learning は、モデルの解釈可能性やフェアネスを評価するツールも提供し、責任ある AI 開発を支援します。統合された実験管理機能や MLOps ツールにより、モデルのライフサイクル全体を通じて一貫した管理が可能です。
Azure Cognitive Services
Azure Cognitive Services は、Microsoft Azure が提供する包括的な AI 機能群です。このサービスの中で、特に生成 AI に関連する主要な機能に焦点を当てて解説します。
Cognitive Services の生成 AI 機能の中心は、テキストと音声の生成です。Text to Speech API は、自然な抑揚と表現力豊かな音声を生成し、様々な言語やアクセントに対応しています。これにより、アプリケーションに人間らしい音声インターフェースを追加できます。
また、 Language Understanding と Text Analytics の機能を組み合わせることで、高度な対話型 AI システムの構築が可能です。これらは直接的な生成ではありませんが、生成 AI モデルと連携して、コンテキストを理解し適切な応答を生成するシステムの基盤となります。
Cognitive Services の強みは、これらの高度な AI 機能を API を通じて簡単に利用できる点です。開発者は複雑な AI モデルの構築や管理を行うことなく、既存のアプリケーションに迅速に生成 AI 機能を統合できます。
さらに、これらのサービスは継続的に更新され、最新の AI 技術を反映しています。企業は Cognitive Services を活用することで、革新的な生成 AI 機能を持つアプリケーションを効率的に開発し、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させることができます。
Bot Services
Azure Bot Services は、インテリジェントな対話型 AI システムを構築・運用するためのプラットフォームです。生成 AI の文脈では、このサービスは高度な言語モデルを活用して、自然な対話を実現するチャットボットやバーチャルアシスタントの開発を支援します。
Bot Services の核心は、生成 AI モデル(例:GPT )との統合にあります。これにより、ボットは単純な応答パターンを超え、コンテキストを理解し、適切で柔軟な返答を生成できます。ユーザーの入力に基づいて、関連性の高い情報を動的に生成し、人間らしい対話を維持します。
このプラットフォームは、マルチチャネル対応を特徴としており、Web 、モバイルアプリ、メッセージングプラットフォーム、音声アシスタントなど、様々な対話インターフェースでボットを展開できます。また、Azure Cognitive Services との連携により、言語理解や感情分析などの機能を統合し、より洗練された対話体験を提供できます。
Bot Services は、開発者にとって使いやすい環境を提供し、ビジュアルデザインツールや豊富なテンプレートを通じて、高度な生成 AI 機能を持つボットを効率的に開発することができます。さらに、継続的な学習と改善のための分析ツールも備えており、ボットのパフォーマンスを常に最適化できます。
具体的な使用例として、企業のカスタマーサポート部門が Azure Bot Services を利用して、よくある質問への自動応答システムを構築し、顧客対応の効率化を図ることができます。また、オンラインショッピングサイトでは、パーソナライズされた商品推薦や注文状況の確認を行うボットを導入し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
Google Cloud が提供している主な生成 AI サービス
Vertex AI
Vertex AI は、Google Cloud が提供する包括的な機械学習プラットフォームです。生成 AI の開発と運用に特化した機能を豊富に備え、最先端の AI ソリューションを効率的に構築できる環境を提供します。
このプラットフォームの中核は、大規模言語モデル( LLM )へのアクセスと、それらを活用したアプリケーション開発の支援です。Google の Gemini のような最新の LLM を利用でき、テキスト生成、コード生成、対話システムなど、幅広い生成 AI タスクに対応します。
Vertex AI は、データの準備からモデルのトレーニング、評価、デプロイまでの全工程を一元管理できます。AutoML やカスタムトレーニングオプションにより、開発者のスキルレベルに応じた柔軟な開発環境を提供します。また、モデルの説明可能性や公平性を評価するツールも統合され、責任ある AI 開発をサポートします。
さらに、Vertex AI Predictions や Vertex AI Pipelines などの機能により、モデルの本番環境への展開とスケーリング、継続的な改善を容易にします。他の Google の AI サービスとのシームレスな連携も特徴で、画像生成や音声合成などの多様な生成タスクにも対応可能です。
具体的な使用例としては、需要予測、カスタマーサポートの自動化、画像認識、異常検知などがあります。例えば、小売業者は Vertex AI を活用して、在庫管理や販売予測を行い、ビジネスの効率を向上させています。
このプラットフォームを活用することで、企業は最新の生成 AI 技術を迅速に導入し、革新的なアプリケーションを効率的に開発・運用することができます。Vertex AI は、Google Cloud の生成 AI 戦略の中心的役割を果たし、企業の AI 活用を加速させる強力なツールとなっています。
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Dialogflow
Dialogflow は、Google Cloud が提供する自然言語理解( NLU )を用いた会話型 AI プラットフォームで、チャットボットや音声アシスタントを構築するための強力なツールです。Dialogflow を使用することで、ユーザーとの自然で直感的な対話を実現することができます。
Dialogflow は、音声やテキストを通じてユーザーの意図を理解し、それに応じた適切な応答を生成する能力を持っています。これにより、カスタマーサポート、自動応答システム、インタラクティブな音声アシスタントなど、さまざまなアプリケーションに適用することが可能です。例えば、e コマースサイトでは、Dialogflow を使用して顧客の質問にリアルタイムで応答し、商品検索や注文ステータスの確認をサポートすることができます。
Dialogflow は、多言語対応や機械学習を用いた自動学習機能を備えており、ユーザーが簡単にボットをトレーニングし、継続的に改善することができます。また、Google Assistant 、Slack 、Facebook Messenger など、複数のプラットフォームとの統合が容易であり、一度構築したボットをさまざまなチャネルで展開することができます。
具体的な使用例として、銀行が Dialogflow を活用して、顧客の口座情報の照会や取引の履歴を提供するチャットボットを導入することで、顧客サービスの効率化と向上を実現しています。
Dialogflow は、スケーラブルでセキュアなクラウド環境で提供されており、企業が迅速に会話型 AI ソリューションを導入できるよう支援します。これにより、ユーザーエクスペリエンスの向上、コスト削減、業務効率化を実現することができます。
Google Vision AI
Google Vision AI は、Google Cloud が提供する高度な画像解析サービスで、開発者が画像から有用な情報を抽出し、アプリケーションに統合することを可能にします。このサービスは、画像認識、オブジェクト検出、顔認識、テキスト抽出など、さまざまな視覚タスクをサポートしています。
Vision AI は、画像に含まれる物体やシーンを識別し、ラベルを付けることで、画像の内容を理解するのに役立ちます。また、顔検出機能を利用して、顔の特徴や表情を検出し、画像の中の人々の感情や年齢などを分析することができます。さらに、テキスト認識( OCR )機能を使用して、画像内のテキストを抽出し、デジタルデータとして活用することができます。
具体的な使用例としては、e コマースサイトが Vision AI を利用して商品画像の自動タグ付けを行い、検索機能を強化することが挙げられます。また、メディア企業がアーカイブ画像の内容を自動的に分類し、迅速に検索可能にするために利用することも可能です。
Vision AI は、Google Cloud の他のサービスとシームレスに統合でき、データの収集、処理、分析を一元的に行うことができます。例えば、画像データを Cloud Storage に保存し、Vision AI で解析した結果を BigQuery で分析するといったワークフローが簡単に実現できます。
Google Vision AI は、高い精度とスケーラビリティを備えたクラウドベースのサービスであり、企業が迅速に画像解析機能を導入し、ビジネスの効率化や新たなインサイトの発見に役立てることができます。
Google Natural Language API
Google Natural Language API は、Google Cloud が提供する高度なテキスト解析サービスで、自然言語処理( NLP )技術を活用してテキストデータから有用な情報を抽出することができます。このサービスは、感情分析、エンティティ認識、構文解析、内容分類など、さまざまなテキスト解析タスクをサポートしています。
Natural Language API の感情分析機能は、テキスト内の感情を評価し、ポジティブ、ネガティブ、中立といった感情スコアを提供します。これにより、カスタマーサービスのフィードバックやソーシャルメディアの投稿の感情を自動的に評価することができます。エンティティ認識機能では、テキスト内の人名、地名、組織名、日時などの固有名詞を抽出し、関連情報を識別します。
構文解析機能を利用すると、テキストの文法構造を解析し、単語の品詞や依存関係を明らかにすることができます。内容分類機能は、テキストを事前定義されたカテゴリーに分類し、大量の文書やメッセージを効率的に整理することが可能です。
具体的な使用例として、メディア企業がニュース記事を自動分類し、読者にパーソナライズされたコンテンツを提供することが挙げられます。また、カスタマーサポート部門が顧客の問い合わせを自動的に分類し、適切な担当者に振り分けることも可能です。
Google Natural Language API は、他の Google Cloud サービスとシームレスに統合でき、データの収集、処理、分析を一元的に行うことができます。例えば、テキストデータをCloud Storage に保存し、Natural Language API で解析した結果を BigQuery で分析することができます。
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生成AIサービスの共通点と違い
開発プラットフォームの比較
先に紹介した
- Amazon SageMaker
- Azure Machine Learning
- Vertex AI
は、それぞれのクラウドプロバイダーが提供する統合機械学習開発プラットフォームです。
モデル開発の容易さでは、全てのサービスが使いやすいインターフェースを提供していますが、Vertex AI の AutoML 機能は特に直感的で、機械学習の専門知識が少ない開発者でも利用しやすいと評価されています。
次に、サポートされる機械学習フレームワークについては、Amazon SageMaker はTensorFlow 、PyTorch 、MXNet などの主要なフレームワークをサポートしています。Azure Machine Learning も TensorFlow 、PyTorch 、Scikit-learn など幅広いフレームワークに対応しています。Vertex AI は特に TensorFlow のサポートが充実しており、Google の強みを活かしています。
AutoML 機能については、全てのプラットフォームが提供していますが、Vertex AI の AutoML は特に高性能で、複雑なタスクにも対応可能です。Azure Machine Learning は、AutoML の結果の解釈性に優れています。
モデルのデプロイと管理機能では、Amazon SageMaker がシンプルなモデルデプロイとスケーリング機能を提供し、継続的なモデルモニタリングもサポートしています。Azure Machine Learning はエンタープライズ向けのデプロイと管理機能が充実しており、包括的な MLOps を実現します。Vertex AI は Google のグローバルインフラを利用してスケーラブルなモデルデプロイと管理を提供します。
最後に、スケーラビリティについては、Amazon SageMaker が AWS のスケーラブルなインフラを活用し、大規模な機械学習ワークロードに対応します。Azure Machine Learning は Azure のクラウドインフラを利用し、スケーラブルかつ柔軟なリソース管理を提供します。Vertex AI は Google Cloud のインフラを活用し、グローバル規模でのスケーラブルな機械学習モデルの運用が可能です。
総じて、各プラットフォームには独自の強みがあり、ユーザーの具体的なニーズや既存のクラウド環境に応じて選択することが重要です。
大規模言語モデル(LLM)アクセスサービスの比較
- Amazon Bedrock
- Azure OpenAI Service
- Vertex AI
は、各クラウドプロバイダーが提供する大規模言語モデル( LLM )へのアクセスサービスです。
提供される LLM の種類と性能に関して、Amazon Bedrock は複数の AI 企業のモデル(Anthropic 、AI21 Labs 、Stability AI 等)にアクセスを提供し、選択の幅が広いです。Azure OpenAI Service は OpenAI の最新モデル( GPT-4 等)を提供しており、高性能で知られています。Vertex AI は Google の独自モデル( Gemini 等)を提供し、特に多言語処理に強みがあります。
カスタマイズ/ファインチューニングについては、3サービスとも対応していますが、Vertex AI の Tuning API は特に柔軟性が高いと評価されています。
API 使用の簡便さでは、いずれも開発者フレンドリーなインターフェースを提供していますが、Azure OpenAI Service は OpenAI の API との互換性が高く、移行が容易です。
プライバシーとセキュリティ機能に関しては、3サービスとも高水準のセキュリティを提供しています。Amazon Bedrock は、AWS の豊富なセキュリティサービスとの連携が強みです。Azure OpenAI Service は Microsoft の強固な企業向けセキュリティ機能を活かしています。Vertex AI は、Google の AI 倫理ガイドラインに基づいた責任ある AI 機能を特徴としています。
選択にあたっては、具体的なユースケース、既存のクラウド環境との親和性、必要なモデルの種類を考慮することが重要です。
自然言語処理系サービスの比較
- Amazon Polly
- Azure Cognitive Services - Speech Service
- Google Cloud Text-to-Speech
は、各クラウドプロバイダーが提供する主要な音声合成サービスです。
音声の自然さと多様性において、3サービスともに高品質な音声を提供しています。Google Cloud Text-to-Speech は、WaveNet 技術を用いた特に自然な音声で知られています。Azure Speech Service は感情やスピーキングスタイルの調整が可能で、表現の幅が広いのが特徴です。Amazon Polly は、ニューラルテキスト読み上げ( NTTS )機能により、非常に自然な抑揚とリズムを実現しています。
サポートされる言語とアクセントでは、Google Cloud Text-to-Speech が最も多くの言語とアクセントをカバーしています。Azure Speech Service と Amazon Polly も幅広い言語をサポートしていますが、特定の言語や方言においてはサービス間で差があります。
カスタマイズ可能性に関しては、Azure Speech Service が音声フォントのカスタマイズや独自の音声モデル作成において優れています。Amazon Polly は SSML ( Speech Synthesis Markup Language )を使用した詳細な音声調整が可能です。Google Cloud Text-to-Speech も音声のピッチや速度の調整が可能ですが、カスタム音声モデルの作成は限定的です。
リアルタイム処理能力については、3サービスともに高速な処理を提供していますが、具体的なパフォーマンスはユースケースや設定により異なります。
選択にあたっては、必要な言語やアクセント、カスタマイズの必要性、既存のクラウド環境との統合のしやすさを考慮することが重要です。
まとめ
本記事では、AWS 、Azure 、Google Cloud の主要な生成 AI サービスを比較し、それぞれの特徴と利点を詳しく解説しました。
統合機械学習開発プラットフォームとしての比較では、モデル開発の容易さ、サポートされるフレームワーク、AutoML 機能、モデルデプロイと管理、スケーラビリティの観点で比較しました。
大規模言語モデル( LLM )アクセスサービスについての比較では、提供される LLM の種類と性能、カスタマイズ性、API 使用の簡便さ、プライバシーとセキュリティ機能を比較しました。
音声合成サービスとしての比較でも、音声の自然さ、多様性、カスタマイズ可能性、リアルタイム処理能力の観点から比較しました。
AWS 、Azure 、Google Cloud の生成 AI サービスは、それぞれ独自の機能と特徴を持っています。企業は、自社のニーズや状況に合わせて、最適なサービスを選択をしましょう!
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