Cloud Spanner の活用事例 7 選!事例から考える活用時のポイントとは?

Cloud Spanner の活用事例 7 選!事例から考える活用時のポイントとは?

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Cloud Spanner の活用事例 7 選!事例から考える活用時のポイントとは?

Cloud Spanner は Google が提供するデータベースであり、フルマネージドサービスとしての提供や高い可用性など、様々な特徴を有したサービスです。企業が Cloud Spanner を活用することで、自社の業務効率化や生産性向上など、様々なメリットを享受できます。

それでは、 Cloud Spanner は具体的にどのように使われているのでしょうか?本記事では、 Cloud Spanner の活用事例に加えて、その内容を踏まえた活用時のポイントをわかりやすく解説します。

Cloud Spanner はリレーショナルデータベース(以下 RDB と記載)に位置付けられるサービスであり、 Google Cloud の一機能として提供されています。なお、 RDB とはデータを複数の表として管理し、それぞれの関係性を定義することにより、複雑なデータ処理を実行できるデータベースのことです。

ただし、 Cloud Spanner は RDB の一種として位置付けられているものの、ホリゾンタルスケーリング(水平拡張)をサポートしている点で、従来の RDB とは異なる特徴を有しています。また、 Cloud Spanner は Google の専用ネットワーク上に構築されているため、状況を問わずに安定した稼働を見込むことが可能です。

さらに、一般的なデータベースシステムは、設計・運用において専門知識が求められるケースが多いですが、 Google Cloud のサービスは使いやすいユーザーインターフェースが大きな特徴であり、公式ドキュメントなどの学習リソースも豊富に提供されているため、初心者でも安心して利用可能です。

Cloud Spanner について詳しく知りたい方は、以下の記事が参考になります。

関連記事:Google の高性能なデータベース Cloud Spanner とは?メリットや料金体系、活用事例まで一挙に紹介!

Cloud Spanner の特徴としては、

  • 高い可用性
  • 柔軟にスケーリング可能
  • ダウンタイムなしのスキーマ変更
  • 直感的な操作性

などが挙げられます。

これらを踏まえて考えると、 Cloud Spanner は高い可用性と柔軟性を求められるデータベース構築において、有効に利用できると言えるでしょう。例えば、顧客が直接操作を行い、トラフィック量が時期によって変動するホテルの予約サイトなどが該当します。

また、 ​​Cloud Spanner はダウンタイムなしでスキーマ変更を処理できるため、通信サービスプロバイダや EC コマースプラットフォームなど、システム停止が許されないデータベースにおいても、安心して利用することが可能です。

実際に、多くの企業が Cloud Spanner を活用し、自社の業務効率化や生産性向上を実現しています。本章では、 Cloud Spanner の活用事例を 7 つに厳選してご紹介します。

ゲームの開発

エンターテインメント事業や EC 事業を展開する「株式会社 エイチーム」では、ゲーム開発の現場において Cloud Spanner を活用しています。従来、同社はシャーディング(水平分割)でデータベースを運用していましたが、運用・保守にかかる工数が大きな課題となっていました。

そこで、フルマネージドで提供されている Cloud Spanner を導入し、運用担当者の負荷軽減を実現したのです。さらに、 Cloud Spanner は Google Cloud のコンソール画面から簡単にノード数を変更可能なため、必要なリソースを最小限の期間で利用できるようになり、結果として自社のコスト削減に繋がっています。

タクシーの配車アプリ

タクシー事業を展開する「国際自動車 株式会社」では、タクシー配車アプリの開発に Cloud Spanner を活用しています。同社においては、どのように他社と差別化するかが課題の一つとなっており、これを解決するために新たなアプリケーションの開発に乗り出しました。

同アプリでは、数ミリ秒の単位でレスポンスを素早く返す必要がありますが、 Cloud Spanner はレイテンシなしで処理を実行できるため、この課題を見事に解決したのです。そして、今後は GPS 情報などを活用し、顧客がさらに便利にアプリを利用できるよう、機能追加やアップデートを行う予定となっています。

寄付用のプラットフォーム

お金を寄付するためのプラットフォーム「 kifutown 」を運営する「株式会社 ARIGATOBANK 」では、 kifutown の開発に Cloud Spanner を活用しています。 kifutown に求められる要件として、瞬間的なトラフィックの急上昇に耐えうるだけの柔軟性が挙げられていたため、自由自在にスケーリングできる Cloud Spanner の採用を決めたのです。

同社の開発プロセスにおいては、データベースの領域に Cloud Spanner を活用していますが、その他にも Google Kubernetes Engine ( GKE )や Cloud Load Balancing 、 Cloud Armor など、様々なサービスを組み合わせることで、効率的な開発を実現しています。このように、 Google Cloud の機能をフル活用し、自社の生産性を向上させた好事例となっています。

チケットの予約サイト

航空チケットなどの予約サイトを運営している「 Sabre 」では、予約サイトのデータベース構築において Cloud Spanner を活用しています。同社の予約サイトでは、 1 秒あたり数千件の予約更新を処理しなければならず、仮に障害が発生した際でも、問題なくシステムが稼働できる状況を作る必要がありました。

そこで、可用性の高い Cloud Spanner を採用し、安定的かつ高パフォーマンスなデータベース運用を実現しています。加えて、 Google Cloud の別サービスである Bigtable と組み合わせて使うことで、​​サイトの応答時間をさらに短縮し、利用者の満足度向上に繋げています。

動画コンテンツのプラットフォーム

動画プラットフォーム「 Vimeo 」を運営する「ヴィメオ・ホールディングス」では、 Cloud Spanner を活用して動画プラットフォームの構築・運用を行っています。 Vimeo は世界中で多くのユーザーに利用されており、毎日何十億という単位で動画コンテンツが視聴されているため、利用者がストレスなく動画を見られるような盤石なインフラ環境が求められていました。

そこで、同社はアプリケーションの再設計に Cloud Spanner を活用することで、高い可用性や容易なノード追加などを実現したのです。さらに、 Google Compute Engine ( GCE )や Google Cloud Storage ( GCS )を組み合わせて使い、動画コンテンツの高品質な再生・アップロード環境の構築に成功しています。

デジタルバンクの基幹システム

スマートフォン完結型のデジタルバンクを展開する「株式会社 みんなの銀行」では、 Google Cloud および Cloud Spanner を活用し、勘定系システムのプラットフォームを構築しています。同社においては、東京と大阪で同じシステムを同時に動かす「東阪両現用」がシステムにおける必須要件となっていました。

そこで、開発用のデータベースとして Cloud Spanner を採用した結果、システムのパフォーマンスを損なうことなく、東阪両現用の仕組みを構築することに成功したのです。また、実際のシステムは Google Kubernetes Engine ( GKE )上で動作させるなど、他の Google Cloud サービスも活用しながら、効率的なシステム運用を実現しています。 

スマホ決済サービスの開発

スマホ決済サービスの「メルペイ」を展開する「株式会社 メルペイ」では、サービス開発の現場で Cloud Spanner を活用しています。メルペイのようなスマホ決済サービスにおいては、ダウンタイムのないスケーラビリティや強固な整合性(データベース内の情報が互いに矛盾しないようにする性質)が求められますが、 Cloud Spanner の活用により、これらの要件を満たすことに成功したのです。

さらに、同社は GKE を使って Kubernetes を運用したり、 Cloud Pub/Sub でジョブキューやメッセージキューを管理したりするなど、様々な Google Cloud サービスを状況に合わせて使い分けています。このように、 Google Cloud の機能をフル活用することで、サービス開発の効率化や自社の生産性向上を実現した好事例となっています。

ここまで、 Cloud Spanner の具体的な活用事例をご紹介しました。本章では、前述した事例の内容を踏まえて、 Cloud Spanner を活用する際に意識すべき、重要なポイントについて解説します。

スケーリングが必要なシーンで活用する

Cloud Spanner はスケーリングが必要なシーンで活用することにより、その導入効果を最大化できるサービスです。例えば、前述した ARIGATOBANK では、瞬間的なトラフィックの急上昇に耐える必要がありましたが、 Cloud Spanner でプラットフォームを開発することで、自由自在にスケーリングできる柔軟なインフラ環境を実現しました。このように、スケーリングが必須要件となっている場面で活用することが、 Cloud Spanner 利用時の重要なポイントの一つであると言えるでしょう。

素早いレスポンスが必要なシーンで活用する

スケーリング同様、素早いレスポンスが求められるシーンにおいても、 Cloud Spanner を有効に活用することができます。例えば、国際自動車やヴィメオ・ホールディングスでは、膨大なトラフィックに対して遅延なくレスポンスを返すために、 Cloud Spanner を活用して迅速な処理を実現しています。このように、低レイテンシが要件となっている場面で Cloud Spanner を使えば、安定的かつ素早いレスポンスを実現することが可能になります。

他の Google Cloud サービスと連携する

Cloud Spanner は Google Cloud に内包されているサービスであり、他の Google Cloud サービスと連携することで、その利便性を大きく向上させることが可能です。例えば、活用事例でご紹介した Sabre は BigTable を利用しており、メルペイは GKE や Cloud Pub/Sub などを活用しています。

このように、 Google Cloud の各種サービスを Cloud Spanner と組み合わせて使うことで、様々なシーンにおける業務効率化を実現でき、自社の生産性向上に直結します。また、各サービスは Google Cloud の世界の中でシームレスに繋がっているため、手間なく連携できる点も嬉しいポイントです。 

本記事では、 Cloud Spanner の活用事例に加えて、その内容を踏まえた活用時のポイントをわかりやすく解説しました。

現在、数多くの企業が Cloud Spanner を活用し、自社の業務効率化や生産性向上を実現しています。この記事を読み返して、具体的な活用事例や活用時のポイントなどを理解しておきましょう。

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