ガバメントクラウドとは?生まれた背景やメリット、民間企業に与える影響まで徹底解説!

ガバメントクラウドとは?生まれた背景やメリット、民間企業に与える影響まで徹底解説!

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ガバメントクラウドとは?生まれた背景やメリット、民間企業に与える影響まで徹底解説!

ガバメントクラウドという言葉をご存知でしょうか?地方公共団体のデジタル化推進を目的として、日本政府が提唱している大規模な IT プラットフォームのことです。

本記事では、ガバメントクラウドとは何かという基礎的な内容に加えて、ガバメントクラウドのメリットや民間企業に与える影響など、あらゆる観点から一挙にご説明します。クラウドに関する知見を高めたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

まずは、ガバメントクラウドの概要について理解しておきましょう。

ガバメントクラウドとは、 2021 年 2 月に内閣官房情報通信技術( IT )総合戦略室が公表した「地方自治体によるガバメントクラウドの活用について(案)」というレポートの中で登場した概念であり、地方公共団体のデジタル化推進を目的に生み出された考え方です。

同レポートにおいて、ガバメントクラウドは「政府の情報システムについて、共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービス( IaaS 、 PaaS 、 SaaS )の利用環境」と具体的に定義されており、レポートの中では「 Gov-Cloud 」という英語表記が使われている場面もあります。

このように、ガバメントクラウドは日本政府が地方公共団体のデジタル化を推進するために活用するクラウドプラットフォーム環境であると言えるでしょう。昨今、多くの会社がクラウド技術を活用し、自社の生産性向上やビジネス成長に繋げていますが、民間企業だけではなく、日本政府も早急なデジタル化やクラウド活用が求められているのです。

また、デジタル庁は 2021 年 10 月に Amazon Web Services ( AWS )と Google Cloud を日本政府のガバメントクラウドに選定した旨を発表しました。事業の継続性やセキュリティ面など、計 350 項目を満たしたサービスであることが選定理由として挙げられています。

ここまで、ガバメントクラウドの概要についてご説明しましたが、なぜガバメントクラウドの概念が生まれたのでしょうか?

この背景を考えるうえでは、政府が 2018 年に発表した「デジタル・ガバメント実行計画」の存在が重要なポイントになります。同計画は行政手続のデジタル化を大きな目的として掲げており、行政サービスの利便性向上を狙った取り組みです。

デジタル・ガバメント実行計画では、国民・事業者が便利に行政手続きを進められるようにするため、「デジタル・ガバメント推進方針」というものを策定しています。これは、デジタル活用を推進するための基本方針を定めたものであり、行政サービス全般の見直しという広い視点で考えられています。

このように、日本全体におけるデジタル化の推進に伴い、日本政府や地方公共団体が保有する膨大なデータを安全に保管し、様々な行政手続きをオンラインで完結させるための大規模な IT プラットフォームが求められるようになりました。そこで、すべての情報を一元的に管理・運用するためのクラウド環境として、ガバメントクラウドが提唱されたわけです。

ガバメントクラウドでは、

  • ガバメントクラウドへのアプリケーション構築
  • 地方公共団体におけるアプリケーションの選択の自由
  • 基幹業務のオンライン化

という 3 つの対応方針が定められています。以下、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

ガバメントクラウドへのアプリケーション構築

ガバメントクラウドにおいて、アプリケーションの開発事業者は、基幹業務などのアプリケーションをガバメントクラウド上に直接構築することが可能となっています。ただし、対象となる事業者や具体的なアプリケーションの要件などは公表されておらず、今後検討が進んでいく予定です。

地方公共団体におけるアプリケーションの選択の自由

ガバメントクラウドには複数のアプリケーションが存在しますが、地方公共団体はその中から使用するアプリケーションを自由に選択できる仕組みとなっています。そのため、日本政府の指示に従ってアプリケーションを利用するのではなく、地方公共団体が裁量を持ち、利用するサービスを主体的に選ぶことが可能になります。

基幹業務のオンライン化

ガバメントクラウドのレポートでは、地方自治体は機関業務などをオンライン環境で利用できるようになる、との記載がされています。そのため、地方公共団体がハードウェアやソフトウェアを直接保有するのではなく、ガバメントクラウドの世界の中で、すべてがクラウド環境で完結する形になります。

ここまで、ガバメントクラウドについて詳しく解説してきましたが、地方自治体がガバメントクラウドを使うことで、どのような恩恵を受けられるのでしょうか?本章では、地方自治体がガバメントクラウドを活用するメリットを 4 つご紹介します。

コスト削減

ガバメントクラウドの活用により、サーバーやアプリケーションをクラウド環境で共同利用できるようになるため、結果としてコストの削減に直結します。さらに、ガバメントクラウドには、地方公共団体のアプリケーション選択の自由が存在するため、自然競争による価格適正化やアプリケーションの利便性向上なども期待されています。

セキュリティ対策の一元化

ガバメントクラウドは、すべての地方自治体が共通的に利用するプラットフォームです。そのため、ガバメントクラウドで一元的なセキュリティ対策を実施すれば、各地方自治体が個別にセキュリティ対策を行う必要はありません。これにより、行政全体におけるセキュリティレベルを統一化でき、安全なオンライン環境で行政手続きを進めることが可能になります。

効率的な庁内外のデータ連携

ガバメントクラウドの活用により、アプリケーションを移行する時などのデータ移行を手間なく実行できるようになり、庁内外のデータ連携が強化されます。その結果として、行政業務の効率化を図れることに加えて、住民が各種情報を入力する際の手間の削減にも繋がります。

迅速なシステム構築・拡張

従来、地方公共団体のシステムはオンプレミスで構築されていることが一般的でしたが、オンプレミスはシステム構築までのリードタイムや、低い拡張性が大きな課題となっていました。その点、ガバメントクラウドは迅速なシステム構築・拡張が可能なため、住民に対して円滑な行政サービスを提供できるようになります。

次に、ガバメントクラウド実現に向けたスケジュールについてご説明します。

以下、デジタル庁が 2021 年 10 月に公表した「地方自治体のガバメントクラウド活用に関する検討状況」に掲載されているスケジュール表です。

※参考:デジタル庁「地方自治体のガバメントクラウド活用に関する検討状況

このように、共通要件・機能要件の検討や標準準拠システムの開発など、項目ごとに具体的なスケジュールが定められています。そして、 2025 年度の末には、すべての地方自治体でガバメントクラウドの活用が開始される想定でプロジェクトが進んでいます。

※参考:デジタル庁「地方自治体のガバメントクラウド活用に関する検討状況

デジタル庁が 2023 年 9 月に発表した資料によると、ガバメントクラウドへの接続方法は大きく次の 5 パターンが存在します。

  • 地方公共団体から専用線で接続
  • ASP のデータセンターから専用線で接続
  • 都道府県 WAN を経由して接続
  • 既に接続しているパブリッククラウドの接続回線で接続
  • LGWAN 経由で接続

以下、それぞれのパターンについて詳しく見ていきましょう。

地方公共団体から専用線で接続

地方公共団体において、回線事業者から専用線を調達し、ガバメントクラウドに接続する方法です。なお、この接続パターンを選択する場合は、運用管理補助者(ベンダー)や回線事業者と個別に連携することが求められます。

ASP のデータセンターから専用線で接続

地方公共団体において、 ASP (アプリケーションサービスプロバイダ)のデータセンターから回線を調達し、ガバメントクラウドに接続する方法です。データセンターの利用料に回線利用料が含まれている場合もありますが、詳しくはベンダーと細かく調整することをおすすめします。

都道府県 WAN を経由して接続

地方公共団体において、都道府県 WAN の運用事業者から回線を調達し、ガバメントクラウドに接続する方法です。なお、この接続パターンを選択する場合は、都道府県と回線利用料等について調整する必要があります。

既に接続しているパブリッククラウドの接続回線で接続

地方公共団体において、既にパブリッククラウドの接続を行っている場合、その接続回線を活用してガバメントクラウドに接続する方法です。新しく回線を調達する必要がないため、工数をかけずに接続環境を構築できる点が大きなメリットですが、細かい点についてはパブリッククラウドに接続している回線事業者と調整を行う必要があります。

LGWAN 経由で接続

LGWAN (自治体間を相互に繋げる行政専用のネットワーク)を経由してガバメントクラウドに接続する方法です。まだ詳細未定の部分が多く、接続可能になる時期などの具体的なスケジュールについては、今後、地方公共団体情報システム機構( J - LIS )より情報が発信される予定となっています。

このように、ガバメントクラウドへの接続方法は多岐にわたり、様々な接続パターンが存在しています。

当社センティリオンシステム 大阪事業所では、お客様の既存環境に合わせて、ガバメントクラウドへの接続環境を整備するサポートを行っているため、関心のある方は問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

ガバメントクラウドは、地方公共団体のデジタル化を目的として、日本政府が主導で進めているプロジェクトですが、実は民間企業への影響も小さくありません。なぜなら、民間企業も日常的に行政サービスを利用するユーザーの一部であり、行政サービスの利便性が向上することで、直接的なメリットを受けられるためです。

また、デジタル・ガバメント実行計画においては、コネクテッド・ワンストップという考え方が採用されており、行政と民間企業の連携が重要なポイントの一つとなっています。なお、コネクテッド・ワンストップとは、民間サービスを含めて、複数の手続きやサービスをワンストップで実現することを意味する言葉です。

そのため、日本が本当の意味でデジタル化を推進するためには、政府と同じように民間企業も積極的にデジタル化に取り組むことが求められています。このように、公民一体でデジタル化を促進することで、日本社会全体における適正なデジタル・ガバメントを実現できると言えます。

昨今、市場には様々な IT ツールやクラウドサービスが存在するため、これらを積極的に導入・活用し、デジタル化の推進に向けて早めに準備を進めておきましょう。

本記事では、ガバメントクラウドの概要やメリット、民間企業に与える影響など、あらゆる観点から一挙にご説明しました。

昨今、日本政府は行政のデジタル化を推進するための様々なプロジェクトを立ち上げて実行に移しています。しかし、これらは民間企業にとって無関係の話ではなく、民間企業が積極的にデジタル化を推進することで、日本全体の適正なデジタル・ガバメントを実現可能になります。

そして、デジタル化を推進するうえでは、 IT ツールやクラウドサービスの導入が有効な手段の一つになります。企業がこれらを活用することで、あらゆる場面における業務効率化や生産性向上を実現できるため、ぜひ前向きにアクションを検討してみてください。

当社センティリオンシステム 大阪事業所はこれまでの多くのクラウド開発を支援してきた知見を活かし、Cloud Build の導入支援や CI/CD パイプラインの設計・構築などクラウドを活用した内製化に取り組まれるお客様を全力でサポートします。

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本記事を参考にして、自社のデジタル化やクラウドサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか?